【実話怪談5】不公平
「地元のX神社は森の中にあって、木に囲まれてて昼間でも陽の光があまり差さないからめちゃくちゃ暗いっていう噂だったんです。なので“探検”しに行こう、ってことになって」
千葉県勝浦市出身の男性、新田さんの体験談である。
小学5年ぐらいのとき。彼は友達と2人で、“探検”と称して街のあちこちを自転車で巡ることをしていたそうだ。
ある日の昼過ぎ、X神社にその友達と自転車で出向いた。
鳥居の近くに自転車を停め、拝殿やその周りを、特に何をするわけでもなく、ひとしきり見てまわる。確かに鬱蒼としており、薄暗い空間だったのを記憶している。
だが、そう広くもない神社の敷地で何か変わったものがあるわけでもなく、飽きるのに時間はかからなかった。どちらが言うでもなく、帰ることになった。
帰り道、友達と別れた後、新田さんは自転車を運転中に異変が生じる。
「急に眠くなってきたんです。そのままどうにかペダルを漕ぎ続けましたが、眠気は収まらくて。ふらふら走行してたから、何度も路肩に外れたり、民家のブロック塀に身体が接触したりしました。今までそんなことなかったのに」
その後。
「車に撥ねられました。見通しの良い三叉路で」
幸い、自動車は低速だったため軽傷ですんだ。
「呪いか、何かの警告か、わかりません。でも友達は何も起きなかったらしいです。不公平ですよね」
納得のいかない表情で、新田さんは零していた。
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