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小さな街の小さなブルワリー

この街には小さなブルワリーがある。

その小さなブルワリーの名前はのらねこ工房。

猫獣人の三姉妹がお互いの趣味を活かして作った工房だ。

彼女たちの両親は農園をやっていて、大麦や小麦、ホップも栽培していた事もあり長女であるミルが両親から畑を譲り受けビールに使う作物を栽培し、品種改良している。

次女であるミーニャが、他のブルワリーにはないビールを作りたいと試行錯誤しながら作り出した。

クセのあるビールは、ビール通の中で評判が高く、魔女さんが作った薬草と手摘みホップを使った魔女の力は、飲むと元気になるエナジーエールと呼ばれ大人気である。

1番摘みのホップを使ったフレッシュホップビールや、柚子ピールとシトラホップを使った柚子物語も人気が高い。

ミーニャは、現在旬のフルーツをふんだんに使ったトロピカルラガーを試作中だ。

三女のマロニィは食いしん坊な事を活かして、ビールに合うソーセージや燻製肉を作っている。

色んな獣や魔獣の肉を使ったソーセージを作っているのだが、魔獣肉はこの街では手に入らないので、知り合いの冒険者に頼んで届けてもらっているようだ。

「今日はオーク肉を使ったあらびきウインナーを作ったの!

黒生に合うと思って!」

蒸しあがったばかりの薄ピンク色のウインナーが大皿に山盛りになっている。

「いい香りがするわね?

マロニィの自信作なんでしょ?

早く食べましょうよ」とミルがフォークでウインナーを刺した。

「その前に乾杯しましょうよ?

みんな黒生でいいの?」とミーニャがビアグラスに黒生を注ぎ出す。

「「もちろん!黒生で!」」

ミルとマロニィが、はもっている。

「それじゃ、我らがのらねこ工房に乾杯!」

「「乾杯!」」

「うっひょー!

オークウインナーうまうまー」

「熱っ!

この旨み…ビールすすむわね!

フレッシュホップビールにも合いそうね。

あ~このソーセージをピザにたっぷりのせたいわ。

マロニィ、明日はソーセージピザの試作をお願い出来るかしら?

ピザとビールをセット販売しましょう?

この程よい塩加減とハーブの香りがたまらないわね!」

ふたりの姉が幸せそうにウインナーを食べているのを見てマロニィは満足そうに黒生を飲み干した。

「美味しく出来たのはいいけど、オーク肉を定期的に仕入れられるかが難点で…」

「あらっ、冒険者ギルドにクエスト依頼出せばいいじゃない?

隣国のギルドならツテがあるの」

ミル姉には、太いパイプがあるらしい。

「それとも、アーライ神国のノティス商会に聞いてみる?

アーライ限定のフルーツビールの話をするついでに…

何だったらノティス商会にオークウインナーの製法を売って工場作るのもいいかも」

ミル姉には、品種改良の才能だけでなく、営業の才能もあるのだ。

「オークウインナーの製法は売ってもいいよ!

工場が出来れば他の製品も作りやすくなるし!

交渉は、ミル姉に任せるよ。

私は新製品の開発がしたいから…

オークウインナーを量産してるヒマないもん」

マロニィの頭の中は既に新製品の事でいっぱいらしい。

「アーライ神国は、甘党が多いからトロピカルラガーと季節限定のフルーツビールを売り込んで欲しいんだけどミル姉!」

ミーニャも張り切っている。

のらねこ三姉妹は、3人ともビールと美味しい食べ物が大好き。

そして、仲良しなのだ。

ひとりひとりの特技を活かしてビール作りをしているのだ。

「ねぇ、次は何飲む?」

ミーニャの言葉に、ふたりは…

「柚子物語!」

「フレッシュアロマ!」と好きなビールの名前を叫ぶのだ。

ビール好き三姉妹のビール作り物語は始まったばかり。

ビールが大好きな方は、この街に来た際にはのらねこ工房でビールを試飲してみては如何でしょうか?

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