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子供部屋おばさん

私のお隣りの家には、子供部屋おばさんが住んでいる。
恐らく40代。
平日は仕事で不在なのか、全く見かけないが、休日はいつも見かける。

彼女は結婚もせず、出産もせず、何を楽しみに生きているんだろう。

私には主人と娘がいる。
数年前にマイホームを建て、この街へ引っ越して来た。
ご近所は古くから住む老夫婦世帯が多く、比較的若い世帯は我が家とお向かいのみ。
昔は高級住宅街だった為か、人間的にも金銭的にも余裕が有る方が多く、干渉も無く、住み易い。
順風満帆で幸せな人生だと思う。

悩みと言えば、
お向かいの奥様が、私よりも若くて綺麗な事。
お向かいの娘さんが、私の娘よりも可愛くて優秀で友人が多い事。
お向かいの子供は2人姉弟で、私の子供は1人っ子だという事。
お向かいのご主人は積極的に家事をして、私の主人は何もしない事。
位かな。

まぁ、何にせよ、孤独な子供部屋おばさんよりは、マシだと思う。

お隣りのご夫婦は可愛想だな。
小さい子供が遊びに来ているのを一度も見た事が無いから、恐らく、孫もいないんだろうな。

私はお互いの両親に孫の顔を見せられて、良かった。
それが何よりの親孝行よね。

主人が私に触れなくなっても、
娘に友人が全くいなくても、
お向かいの奥様が大きいお腹を抱えながら、ご近所の方々と仲良く話しているのを見ても、
もう良いの。
親孝行も出来ない子供部屋おばさんよりは、マシだと思う。

さ、娘と一緒に町内会費の集金へ行こう。
積極的に話して、私も皆さんと仲良くならなくちゃね。

「こんにちはー、町内会費の集金に来ました。」
「ご苦労さま。
 娘ちゃん、大きくなったわね。」

「はい、もう小学生なんです。
 お向かいのお嬢さんと同い年です。」
「この辺りは娘ちゃん位の年の子供が、あまりいないわよねー。
 愛ちゃんのお子さん達は大学生だし。
 
でも、近くに同級生がいて、良かったわね。」

「愛ちゃん?」
「お隣りだけれど、会った事が無いのかしら?
 ご家族で海外に住んでいるの。
 
愛ちゃんだけ仕事の関係で数年間、一時的に帰国しているのよ。」


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