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書きかけの小説

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頭の中にぼんやりと浮かんでいるだけの状態で書いた習作や、書きたまっていない小説の保管箱。もし、これ続きが読みたい、というのがあればリクエスト下さい。善処(絶対に書くとは言えないと… もっと読む
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2020年6月の記事一覧

聖痕の守護者 第11話 歪んだ心

聖痕の守護者 第11話 歪んだ心

 カロンが所属するジャスティス従属部隊の訓練場はロムルス王国の施設。二百名が定員の従属部隊だが、それは戦場に出る場合の人数。死傷者が出た場合などに備えて予備兵として、さらに二百名がいて、一緒に訓練を行っている。同数の二百名は死傷者に備えてだけであれば、やや多い人数ではあるが、全体訓練を行うには対戦相手が必要となるので倍の人数を揃えているのだ。これはロムルス王国だけではない。他国も同じだ。
 それだ

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聖痕の守護者 第10話 心の内

聖痕の守護者 第10話 心の内

 離れの寝室のベッドでカロンは横になっている。怪我が完治するまでは安静にしている、のではない。ほぼ完治しているのはもう分かった。義理の父であるローグのおかげで。
 ローグは、任務で大怪我を負ったカロンを労るどころか、その未熟さを責めてきた。亜人ごときに不覚を取るとは何事か、というところだ。実際は逃がしたことを疑われないようにわざと攻撃を受けたのだが、そんなことをローグに話せるはずがない。話せばもっ

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聖痕の守護者 第9話 それぞれの思惑

聖痕の守護者 第9話 それぞれの思惑

 視察を終えて教会に戻ったマイア。早速の結果を報告する為の会議が開かれた。各国の駐在武官を参加させない教会内部だけでの会議だ。いずれの駐在武官たちも視察結果を聞きたがっているが、それは知らせるべきではないと教会は判断した。視察はあくまでもマイアの聖女としての立場で行われたもの。守護戦士の選定に影響は与えない、という口実を作って。

「結論から申し上げますと、ジャスティスのこれまでの戦果はそのまま評

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