「夏の終わりの雨」
窓を打つ雨に意識盗まれ
ひび割れた水滴に視界は盗まれ
手だけは鍵盤のうえで遊んでいた
そうまるで別の生き物のように
ふと肩を叩かれた気になって
振り返る部屋は誰もいなくて
時計針打つ音だけが響いてた
なんかやけに色が失われてた
夏に日焼けしすぎてしまった手紙も
錆びついた忘れ物のヘアピンも
埃を被って白んだマグカップも
いま何を語ってるんだろな
君のためベランダに隠したタバコ
ぐちゃぐちゃになって
煙たそうに雨を吸ってる
もういいよ
夏祭りのあとに萎んだ水風船
なんか捨てられなくていまでも
浴室の窓辺に置きっぱなし
もういいよ
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