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「薄墨心象」

いくつかの灰色の雲がありました
それは風景のやうに流れ
時間のやうに留まるのです

とつくに晴れは来てゐるのに
いつまでも雨に濡れるのは
きつとあの陽が美しかつたから

私は世の奥底にゐて
夜のすみつこで道化てゐる

もう一度(あの)陽を拝みたいと
願つてゐるのです

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