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住めば都

7月、大学生の時のアルバイト先に呼ばれて、塾のアルバイトを再開していた。アルバイトは当たり前だか大学生の時住んでいた実家にちかい。2人暮らしの家からは少し億劫になるくらいには距離が離れている。

無職の私はありがたい塾のアルバイトに行くことにした。そのときは億劫な距離を避けるために、また塾は時間も遅いため、久しぶりに実家に帰って1泊することにした。
5月頃から2人暮らしをはじめて、約2ヶ月ぶりの実家。同時に2ヶ月ぶりの自分の部屋で眠っていた。

当初は大好きな自分の部屋に帰れることが嬉しかった。お気に入りの空間。好きなもので囲まれる、自分の部屋が私は好きだ。だから「これやりたい」「あれしたい」と、限られた時間の使い方を考えていた。

ところが、いざ部屋にいると落ち着かなかった。
なんだか少しソワソワした。

何も変わらない、ただ少しだけ綺麗に掃除をして出てきた、久しぶりの部屋。ワクワクはソワソワに変わっていた。

くつろげないことはない。ただ、普段より少し落ち着けないだけだ。

生活に必要なものは最低限、彼の家に運んでいた。だから生活感が無いのが原因なのかもしれない。でも13年間勉強し、寝て…いろんなことを共にした部屋ではある。はずなのに、どこか落ち着けないのだ。

その時気づいた。
“今の私”がくつろげるのは、彼と暮らすあの家なのだ。


住めば都って言う。
初めての土地で彼と暮らしても思う。
あの町 街は私は結構好きだ。

街もだけれど、家も好きだ。

彼の趣味いっぱいの家の中。
でも私は既にそこで3ヶ月ほどほぼお篭もりの日々を過ごしていて、寝るも食べるも、生活の全てをそこで営んでいる。

あの街とあの家の全てが「住めば都」なのだ。


実家に帰る忙しい日々も就職と同時に終わりが来た。帰らなくなるとまた、あの部屋が恋しくなる気もする。でもこれから先、あの大好きな私の部屋で思いっきり心から落ち着ける日は来ないような気もしている。

そのことが少しだけ寂しい。

それでも、今日も私は彼と住む家に帰る。

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