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渡したはずの5000円札が帰ってきて助けられた

彼との初めてのドライブデートは成田だった。

研究の息抜きに初めて仮病を使って休んで、いけない子になった日だった。この頃から私はすでに迷い始めていたんだと思う。そういえば元彼と別れた2日後でもあったことを日記を読んで思い出した。不誠実ってことは自分がよく分かっているから言わないでください。

成田空港に行って、隣で飛行機について語る姿を見て、聞いて、私が飛行機にハマってしまった日でもある。

初夏、夏が来る期待溢れる6月だった。

初デートは新宿からとにかく歩いた。
新宿集合も前日の24:30に決める無計画さだった。
ただ、この日は事前に話して、行きたいところを言って、なんとなく彼に計画してもらってのデート。

車で千葉まで遠出するのは私はほぼ初めてだった。
その時の私の頭の中は

車代ってどのくらい?

だった。車が趣味で持っているから、友達も送ったりするし、気にしなくていいよと言われたけれど、いや、気にする。私は気にしたい。知らない情報を調べた。運転もできないから、2/3いかないくらい、気を遣わせないくらいどうにか渡せないだろうか。

横浜から千葉方面まで、高速代とおよその距離からガソリン代を見積もって、運転のお礼で+‪αして5000円は出したいと思った。

この時までにすでに何回か飲みに行ったりしていたけれど、上手く支払われてしまうし、いくら頭で計算しても彼に多く出してもらっている。だからどうにか、払うか渡すかしたいと考えた。

結果私は、いつもより多くのお金と小さな封筒を持ってひとまずは家を出た。支払えなかったときに封筒に入れて渡そうと思った。


私たちのデートでのお支払いの8割はじゃんけんだ。
飲みなど額が大きい時は、お互い自ら支払いにいくか折半する。じゃんけんルールはこの時からあった。

どうしても勝ってしまって(笑)全然払えなかった。

だから、車から出る時にペットボトルホルダーにいるペットボトルの横に5000円札を入れた封筒を置いてきた。

その日から1ヶ月後に彼と付き合い始めた。
そしてその数日後、とんでもなく家に帰りたくなくて家出を図るも、電話越しにものすごく母に叱られて泣く泣くタクシーで帰る夜があった。その時、タクシーの乗り際、彼に5000円札を渡された。「これで帰りな」と。手持ちが少なかった私はそのお金に救われた。それが無かったら足りないところだった。


そして最近判明した。その時救ってくれた5000円札は、ドライブデートの日に置いていったものだったらしい。考えて考え抜いて渡した5000円札と彼の気持ちに私は助けられていた。

5000円札を渡したその日の帰り、封筒を見つけた彼は嬉しさに泣きながら帰ったそう。私のきちんとした姿勢に惚れたそうで、付き合いたいと思ってくれたみたい。「ありがとう」のメッセージくらい入れておけばよかったと、その日の帰り道から私は少し後悔している。今でもそう思う。だって、お札をいれた、ただの封筒を今でも大事に取っておいているらしいんだ。


車を使ったことがなく、高速道路もガソリン代も無知な私が、知らないながらに頑張って調べて「ありがとう」の気持ちを込めて残したあの5000円札のおかげで、もしかしたら今の私と私たちがあるのでは無いかと思った。彼との縁を私の行動で繋げていたのなら、それは凄く嬉しいことだな。

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