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なまえのない感情たち

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今までの小品たちを集めました。 ひっそりと読んでください
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#エッセイ

名前のない感情を書く理由#わたしの執筆スタンス

 最初に物語を書き始めたのは、確か小学生の時だった。でも、何か表現したいことがあってとか…

moon
4年前
26

暗闇に溶ける

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作者・朗読 moon 「暗闇に溶ける」の世界観を音声で表現してみたくて、初めて朗読noteに挑戦…

moon
4年前
18

海水を飲む

膝を擦りむくと誰かが大丈夫?と言ってくれる。 擦りむいた傷口から血が出てると誰かが慌てて…

moon
4年前
21

わたしがコツコツと階段を降りる音にひとつ下の階段の誰かの声が含まれていることを知った。 …

moon
4年前
16

月を見上げる

今日は中秋の名月だ。 わたしの家では、毎年お月見の日にはベランダに台を用意して、ススキと…

moon
5年前
29

月が綺麗ですね

月明かりが綺麗な夜、好きな人に「月が綺麗ですね」と微笑まれたら、きっと頬を染めてしまうだ…

moon
5年前
27

甘い毒

甘くてふわふわな感性で、何かを書こうとしてみた。それなのに、甘さは脳でじんわりと広がって、いつのまにか苦みに変わってしまう。 わたしだけなの?。 真っ白でふわふわなクリームが降り積もった目の前のショートケーキ。 ケーキは芸術作品だというのは本当だ。 ひとつとして全く同じものは無くてそれぞれ個性をもっている。 それゆえに、可愛いを固めた鎧を纏って出来ているように見える反面、ひとひらの風がはらりと吹くなら、たちまち崩れてしまいそうな儚さを持ち合わせている。 いくら眺めていて

暗闇に溶ける

家に帰った瞬間、疲れ果てて思わず布団に倒れこんで、しばしの間眠ってしまった。 さっきまで…

moon
5年前
22

夕焼けはずっとなまえのない感情

小学生の頃から、綺麗なグラデーションを描いて染まった夕焼けの空を見たり、早朝のちょっと冷…

moon
5年前
34

冷酒

「今日もきみの料理は美味しいね」 そう言って微笑むあなたの笑顔がわたしは好きだった。 こげ…

moon
5年前
15

なんといえばよかったの

ごめん、と振りほどいた視線は瞳を捉えることもできなくてただ行き場を失ったまま。 並んで歩…

moon
5年前
5

散ってゆくけれど

「もうすぐサクラもお終いだねぇ。きっと、今夜の雨で全部散ってしまう。」おばあちゃんは、縁…

moon
5年前
4

知らない。

だから心の扉だけは固く戸締りしていたのに。 ひとり、しんとした部屋で夜を迎えるのが少し…

moon
5年前
8

午後15時の紅茶

基本のステップなんて、アン・ドゥ・トロワ 先生のカウントが無くても簡単に踏めてしまう。 口ずさむメヌエットも踊るように指が勝手に鍵盤を舞うのに任せてしまえばいいの。 日が傾くリビングでティーカップを見つめて ただいま、と帰ってくるのを待つ静寂 この時間は、時計の長針の足取りも重い もしかしたら、このままずっと針は4をさしたまま進むのをやめてしまうのかも。 そんな期待を裏切って、冷めて湯気を出さなくなったティーカップの影がさっきよりも少し長くなった。 いつからだろう。感じ