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育成すべき資質・能力とは何か

アメリカでは、長らく国民の幅広い素養の育成を主眼としたSTEM教育を進めてきました。STEMは、Science「科学」、Technology「技術」、Engineering「工学」、Mathematics「数学」の頭文字に由来しています。日本ではこれらにAgriculture「農業」を加え、STEAM教育を推奨しています。

 近年、社会の変化に伴い、子どもたちの資質や能力の育成が一朝一夕にはいかない難しいものであり、各国とも資質や能力の育成が国家として喫緊の課題であることから、NGSS教育というものが出て来ました。Next Generation Science Standardsの頭文字に由来しています。

 資質や能力については、小学校では、思考力・判断力・表現力と定位されていますが、一般に資質とは、個人の潜在的な可能性とされ、能力とは、教育や環境など後天的な要因と資質に見られる生得的な要因の複合によって形成されると言われています。評価の仕方によって、規定されるものは、若干異なりますが、大まかに言うと、認知とか、スキルとか、態度とかを含んだ広い概念と似ています。

 様々な言葉によって、教育の方針が言い換えられていますが、社会・文化、技術に対する能力や多様な社会グループにおける人間関係形成力、個人の自律性と主体性をどのように身に付けるかということであり、これまでのように「知識の獲得だけでは国民の育成は不十分である」というのが世界の流れです。フランスも、フィンランドも、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどで、こうした議論が活発に行われています。

 さて、日本はどうか。新しい学習指導要領は、しっかりと世界の教育改革の潮流を意識したものであり、次世代につながっているものです。教育も文化である以上、日本の歴史や文化的背景を加味した設計と運用になる必要があり、遅れているように感じても、今後、21世紀後半に向けて、自己実現を目指す子どもたちが現れて来ることを確信しています。

 2020年度からようやく始まる新しい教育。フランスは、教育方針の中に「文化」という用語を加えるなど、重要視されているのに、新型コロナウィルスのため、教育活動が止められています。ここで、教育の歩みを止めてはいけない。文化の流れを止めてはいけない。北海道大学の鈴木誠教授は、これからの教育の要素を4つのカテゴリーに分類して整理しています。

○ 学び方を学ぶ

○ 主体的に課題に取り組む

○ 五感を通して感性を磨く

○ 証拠に基づき事象を理解・探求する

 OECDが指摘する「一つの文脈で学び、他に転用できる力の育成」を分析しながら、数学や国語、芸術や体育とのリンクを教師はもちろん、保護者や地域の人材、芸術や経済の人たちが一丸となって創造し、新しい教育の実践を試みていく時代になります。

 わくわくしませんか?やっとおもしろくなってきましたよ。この未曽有の大ピンチ、大きな変化を起こし、成長できるのです。大変とは、大きく変わるとき。いまこそ変わろう。

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