見出し画像

拝啓 死にたがりの君に


拝啓 死にたがりの君に

死のうとした君に、死ねなかった君に、ふと言葉をかけてあげたくなりました。

初めは高校3年生、6階のベランダ柵に足を掛けていました。今なら楽になれる、そう感じたんでしょう。その思考が恐ろしく、その可能性を必死に消し去ろうとしました。

そして大学3年生、暗い夜が怖かった。ただただ、長い長い夜明けで1人で狭い箱で丸まってました。君は後では信じられない量の薬を飲みました。そして、自分で助けてと言いました。

ばかです。大ばか者です。
ただ、死ねなかったことに絶望などしないで。
最終的に生きたがったのが君の選択です。
その選択に深く感謝します。ありがとう。

君は死にたがりの生きたがりです。
君は死にたいです。認めましょう。
君は自身が憎いです。仕方ありません。
でも、そんな君は、自身の身の周りをとても大事に思っています。

ひとつ 鼓動が聞こえる夜は深い
明日になって言える こともない
虚無の予感が部屋を満たしていく
今日の終わりは暗い
窓の向こうに明日が待ってる
見えてくるよ 
                       後悔に包まれて
心の底で俯いている
夕立ち前の空に急ぐ
君に会いに駆けていくのさ

(響きわたる環境音にのまれてく
夕暮れに沿って街も閉じていく)      

騒ぎ立てるようにずっと流れてる
この音楽よりもはやく
音楽よりもはやく        

(そのままどこか連れてって 
連れてってよ)     

明るい家はない
ずっと夜までも
真澄の空が月へと 続いていく
深く呼吸をして 今日はもう眠ろうか

そのままどこか/崎山蒼志


あの日あの時、狭い箱にいたように感じたけど、顔を上げればドアがあります。
他人でも心配してくれる人はいます。
私を必死に守ろうと考え、行動してくれる人がいます。夜は明けます。
そのことに今更気づいた君は大ばか者です。

ただただ怖かったね、大丈夫、大丈夫だから。
顔に触れて、生きてることを理解して、
何回も気づき直してください。
それが君が嫌いな君にできる、周りへの孝行です。

君を高校3年生の時救った曲に、今も救われています。何も変わっちゃいません。

まだ、生きたがりの私には撮りたい写真があって、一緒に笑いたい人がいて、話したいことがあって、見たい景色があるんです。

死にたがりの君を否定しないから、死にたいと思い続けていいから、生きたがりの私も否定しないで我儘を聞いてやって。

いつかの死にたがりの君に備忘録。

敬具 生きたがりの私より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?