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7月20日(月) Mutian投与8日目 呼吸停止寸前

受診
初診時以来の女性の先生。
”初診時にヘマトクリット が10だったのに翌日さらに下がったと聞いて背筋が凍りました” と言われ、あらためて事の深刻さを実感する。

この日はねねちゃんの状態もさほど悪くなかったので比較的に穏やかな気持ちで診察を受けていたのだが、採血の結果を見て先生の表情が変わった。
ヘマトクリット 13.9% 下がっている。
”本来なら輸血をした方がいいのですが、明日獣医大の受診があることを考えると、今処置をして状態が見えづらくなるのもよくないかもしれません。
前回輸血をした後の採血ではそれほどヘマトクリットが下がっていなかったのですが、輸血の副作用を予防するために投与したステロイドに反応していた可能性があると思います。貧血の原因が自己免疫疾患であればステロイドで改善する可能性がありますが、確定診断ができない現時点でステロイドを投与するかどうか非常に悩ましいです。前回、ヘマトクリットが8%まで下がっても無事だったことを考えると、今の数値であれば明日の獣医大受診まで頑張れるかもしれません。” とのこと。

せっかく大学病院まで受診するのだから、治療の影響のない状態でしっかり診断をつけてもらいたいと思い、輸血等の処置は受けないことにした。補液はしてもらったが、それもたくさん入れると血液が薄まりすぎて亡くなってしまうかも、ということで前日の半分の量を入れてもらった。赤血球が少な過ぎて水分すら命取りになる状態なのだ。

会計の際いつもは怖い受付の方が“明日の大学病院、頑張ってきてくださいね。ねねちゃん小さいのにかわいそう“とにっこり笑ってくださった。みんながねねちゃんを応援してくれてるよ。

15時半
栄養剤投与直後に嘔吐にてそのままぐったりと動かなくなる。音にも反応がない。
今まで栄養剤で嘔吐したことはなく、体が受け付けていないと考えられる。このまま様子を見るのは危険と判断してすぐに病院に電話をすると、輸血をした方がよいと判断される。
輸血には人手が必要なため、この病院では輸血を行う場合は通常昼の診療休憩の間に行っているが、ねねちゃんの状態を鑑みてドナー猫さんの到着時間によっては夜に対応をしていただけることとなった。
すぐにボランティアさん達に連絡するが、平日でお忙しいのだろう、なかなか捕まらない。1分が長い。スマホを強く握りしめて連絡を待つ。
お仕事中であればご迷惑になることを承知で、気づいていただける可能性に賭けて何度も何度も電話する。
ごめんなさい!でも助けてください!!

40分後、ボランティアさんと連絡が取れ、他のメンバーさんにも応援を依頼していただいた。
直後、お一人の方が2匹の猫を連れて1時間後に病院に来てくださることになる。お会いしたこともない方が、ねねちゃんのために急遽駆けつけてくださるのだ。本当にありがたい。

ねねちゃんはドナー猫さんの到着に合わせて病院に連れて行こうと考えていただが、呼吸が異常に早くなり、いつもは聞こえない呼吸音が聞こえている。酸素を取り込もうと必死なのだ。
再度病院に連絡して酸素を投与してもらえないか尋ねると“すぐに連れてきてください”の回答。車に飛び乗り病院に向かう。

病院までの道のりは20分。袋から出すとねねちゃんは少し周りを見渡していたが、次第に眠たそうに頭を私の膝に預ける。
“ねねちゃん?ねねちゃん!”と大きな声で呼び掛けるが、意識が遠のいているようでだんだん反応がなくなっていく。
病院まで持たないかもしれない。再び覚悟を決める。
今亡くなるなら私の膝の上。しっかりと抱きしめてあげられる。できることは全部やった。後悔はない。

病院へ到着。もう1秒も猶予もないような状態。
さっき”頑張って!”と送り出してくださったばっかり受付の方にカウンター越しに“すぐに酸素室に入れてください!!”とねねちゃんを押し付ける。

17時50分 ドナー猫さん到着
ドナー猫さん達のママに、初対面のご挨拶もそこそこに書類手続きをしていただく。
来てくれたのはキジ猫レオくんと茶トラのクレマくん。ふたりとも大きくてかわいい。レオくんはキャリーの中でじっとしているが、クレマくんは鳴き続けている。対照的なふたり。そりゃあいきなり知らない遠いところまで連れて来られて怖いよね。ごめんね。だけど、ねねちゃんを助けてください!

その後ドナー猫さんたちが診察に呼ばれる。
まずはねねちゃんの状態が心配でねねちゃんの様子を尋ねると”呼吸は落ち着きましたよ。会われますか?”と穏やかな様子で言われ、少し安心する。
たくさんの方にねねちゃんを知ってもらいたい、ねねちゃんの生きた軌跡を残したいと思い、ドナー猫さんたちのママさんにも会っていただくようお願いした。
ねねちゃんはケージの奥に縮こまってはいたが、呼吸の苦しそうな様子はなくなりしっかり目を開いていた。
あぁ、また間に合った。いつもギリギリの綱渡りだけど、ねねちゃんはいつも瀬戸際で驚くような力を見せてくれる。でも名前を呼んでも寄ってこず、じっと睨みつける。“なんで私をこんなところに放っておくのよ”と怒っているのだろう。怒る元気があるならよろしい。

今回はねねちゃんが日本猫でメジャーなA型であることが分かっているので、ドナー猫さんがふたりも来てくれればどちらかが合致するだろうという前回にはない安心感があった。結果的に供血させられるドナー猫さんたちには申し訳ないけれど。
なので、待ち時間は長かったが落ち着いていられた。ドナー猫さん達のママとお話ししながら時間をやり過ごせたことが、気が紛れて有り難かった。

血液型は2匹とも一致。クロスマッチではクレマくんの方が相性がよさそうとのことでクレマくんに提供していただくこととなった。輸血後しばらく様子を見て、23時半(!)にねねちゃんお迎えに行くこととなる。当初は今日は入院になると聞いていたので、連れて帰れてよかった。ねねちゃんは入院をしたことがないし、病院では絶対におしっこをしない。輸血をすればショックを起こさない限り今夜帰宅後に急変することはないだろう。明日の獣医大受診に備えて家でゆっくり寝てもらいたい。

23時半
お迎えに行くと予想通りねねちゃんは復活を遂げていた。
車に乗せると慌てておしっこをする。帰り道に袋から出すと私の膝から景色を眺め、窓に手をついて立ち上がったり楽しそうにしている。ねねちゃんってドライブ好きだったんだねー。てっきり苦手だと思ってたよ。
元気になったらドライブ行こうか。

この日の医療費
1回目
再診料、血液検査、インターフェロン
計 15,950円

2回目
血液検査、酸素室、ステロイド注射
血液型検査(ドナー分)、クロスマッチテスト、輸血
計 84,810円

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