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「全国最中図鑑」30 王将もなか(山形県天童市)

山形県天童市は、将棋の町として有名である。その天童市には当然、将棋関連の最中があるに違いないと調べてみると、やはりあった。大正10年創業の老舗菓子店・盛寿庵の「王将もなか」だ。
全国の将棋駒の生産量の9割を占める天童市が将棋の町になったのには、こんないわれがある。
織田信長の子孫・織田信学のぶみちは、江戸末期の天保7年に家督を相続して天童藩の2台目藩主となるが、当時の天童藩は財政の悪化が著しかった。そこで信学は、先祖より代々継承されてきた将棋の駒の製法を家臣一同に教え、家庭内の内職として生計の一助とすることを推奨。それが現代にまで受け継がれてきたといわれている。
その特産の将棋駒にちなみ、長年の研究の結果生まれたのが「王将もなか」。80年以上続く伝統的製法で、天童の名物菓子として人気を得ている。
王将の駒の形をしたわりと大きめの最中は、上質の小豆から作った粒あんがぎっしりと詰まっていて、コクのある甘さとなめらかな舌触りが特徴。皮の表面には大きく「王将」の文字が刻まれ、見た目も堂々とした最中である。

盛寿庵
山形県天童市小路1-6-5


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。


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