見出し画像

【新刊試し読み】『辛酸なめ子、スピ旅に出る』|辛酸なめ子


稀代のエッセイスト・辛酸なめ子さんが全国24箇所のパワースポットを巡る旅エッセイ『辛酸なめ子、スピ旅に出る』が、8月23日(水)に発売されたことを記念して、「はじめに」を公開します。


本書について

俗世の全てから浄化されたいアナタに贈る、渾身のスピ旅案内。
エネルギーがフル充填できるガチの開運スポットから、ゆるゆるオモシロスポットまで、全国24のパワースポットを巡る旅エッセイ。
300 年以上こんにゃくをお供えされ続ける東京「こんにゃくえんま」、日本一占いの店が密集する大阪「石切劔箭神社」参道などの開運スポットを旅し、パワーの源に迫ります。
他にも栃木「岩下の新生姜ミュージアム」 、神奈川「二宮尊徳記念館」など変わり種スポットを巡るエッセイを収録!


試し読み

 はじめに

 急に頭の中に地名が浮かんだり、誰かに旅行に誘われたり、出張で行くことになったり……これはたぶん、呼ばれている、ということだと思います。自分のエネルギーをその土地が求めているのか、自分がその土地のエネルギーを必要としているのか、どちらかなのでしょう。そうして旅行しているうちに、マーキングみたいに日本や世界に自分のテリトリーが増えていくのです。
 でも、2020年からの2年半ほど、自由に旅行できない日々が続いてしまいました。私もいくつかの出張の予定がキャンセルになり、日本人が海外に行けなくなって、実質、鎖国状態になってしまったことを憂い、下田に向かいました。2020年、コロナ禍がはじまってすぐの頃です。開国といえばペリーなので、ペリーゆかりの地を巡って、心の中で報告してきました。せっかく開国を迫ってくれましたが、今は出入国が厳しくなってしまいました、と……。ペリーが黒船に乗って来航した時に、開国についての会議が行われたという了仙寺にお参りして、撮影したら不思議な光が映り込んでいました。その光には、浮き沈みが多い世の中、今は辛くてもその先には光がある、というメッセージを感じました。
 しばらく国内の旅行も難しかった日々、「Go Toキャンペーン」にちなんで「went to」「would go」という脳内キャンペーンを考えました。「went to」は、過去の旅行の思い出、写真や文章を眺めて追体験する、というもの。「would go」は、いつか行きたい旅先のことを調べたり、計画を立てたり、誰かの旅行体験記を読んで想像を膨らませるというものです。
 この本の原稿を集めたり、書きためていて気付いたのは、誰かの「went to」は、また違う誰かの「would go」になる、ということ。脳内旅行でも実行に移してもどちらでも良いですが、そうやって間接的に土地のエネルギーを感じるというのもスピリチュアルな旅行体験になります。旅行できない期間は、充電の時期だったのかもしれません。この本を読んでくださった方が、新たな旅行に向けてのエネルギーを充電していただけたら幸いです。


目次

第1章 気が満ちる! 本気の開運スポット

・徳川の威光にあやかりに東照宮へ 栃木・日光
・霊験オーラ漂うディープスポット 東京・雑司が谷
・「えんま堂」であの世の入り口に立ってみる  東京・えんま堂
・訪れた人が続々出世? 都心にある蛇塚 東京・蛇塚
・勝負運にご利益がある密かな人気パワースポット 東京・首塚
・日本一占いの店が密集しているパワー参道 大阪・生駒山
・穢れなき秘境の聖地 和歌山・熊野
・インナートリップできるご神体の山 奈良・三輪山
・女人禁制の地、天川 奈良・天川
・女同士の友情も深めてくれる縁結びスポットへ 島根・出雲
・LCC弾丸トリップでお手軽パワーチャージ 福岡・博多&糸島
・心の岩戸が開く旅 宮崎・熊本


第2章 気が抜ける? ゆるゆるオモシロスポット

・白い恋人パークで糖トリップ 北海道・札幌
・新生姜の浄化スポット 栃木・栃木市
・脱力系化学技術スポッチャ、つくばエキスポセンター 茨城・つくば
・埼玉の南部にひそタイムトラベルパワースポット 埼玉・桶川
・霊たちのメッセージに思いを馳せる心霊ツアー 東京・八王子
・物欲的パワースポットで、エネルギー充填 東京・商業施設いろいろ
・日本人のソウルの源、しょうゆの香りに癒される 千葉・野田
・全国にその名を轟かせる勤勉男子のふるさと 神奈川・二宮
・命の根源に癒される旅 山口・宇部
・昭和のエモい施設、フローラルビレッジ 大分・湯布院
・尾曲がり猫を探して 長崎・佐賀
・奄美大島空港妄想トリップ 鹿児島・奄美大島


著者紹介

辛酸 なめ子
漫画家、イラストレーター、コラムニスト。1974(昭和49)年東京都生れ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。興味対象はセレブ、芸能人、精神世界、開運、風変わりなイベントなど。鋭い観察眼と妄想力で女の煩悩を全方位に網羅する画文で人気を博す。著書は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『おしゃ修行』(双葉社)、『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)、 『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP)、『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)など多数。
関連サイト https://ameblo.jp/shinsannameko/

『辛酸なめ子、スピ旅に出る』著/辛酸 なめ子
【判型】四六判
【ページ数】168ページ
【定価】本体1,650円(税込)
【ISBN】978-4-86311-340-4


本書を購入する