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市中の山居

町家に入る時、異世界感を感じます。

外は近くにコンビニもあるし、行き交う人も車も多い現代の町。
扉を開けると路地のある町家で、脇には自然の草花。
お天気によってその日の土や草の香りが変わります。
建物は古いし自然は感じるしで、町にいながら田舎暮らしをしているような感覚でしょうか。

以前読んだ本の「市中の山居」という言葉を思い出しました。
名僧たちに日本人の理想で美しいとされた隠遁生活。
方丈記の、山に一人でこもる「山中の山居」が禅僧に理想とされていたそうで。
だけどそんな事、普通の人はなかなかできない。
そこで千利休が「市中の山居」、すなわち慌ただしい町にいながら山居の状態を作ると言い出し…だから茶室は母屋と離れた所に作ったとかなんとか…確かそんなお話。

私は禅僧でも茶人でもないですが(笑)
街の喧騒から離れて、自然や自分と向き合える場所を作る。
諸々「整える」には、現代の暮らしにも良いのではと感じています。

たまたま町家で感じましたが、折々の状況に合うやり方で。
暮らしの中で鉢植えに自然を感じたり、自分が落ち着ける空間で一人の時間を作ったり…
そういえば、私も川辺に寄り道してボーっとしたりしていたなぁ。

さて町家に厳しいと言われる冬がもうすぐ。
こんな事を呑気に思えるのは、きっとまだ寒くないから。
冬の町家を知る人たちの話に、ちょこちょこ脅されるこの頃です(笑)

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