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自転車でのメキシコ旅日誌 / 2022年1月2日

退屈な道が続いた。筋肉がついてきてスピードが上がり、相方を待つ事が増え、少しもどかしい。変哲のない工場や農地や投棄ゴミだらけで交通量の多いハイウェイの一本道は楽しい道ではないし、そもそも大晦日の大雨の時から気持ちが沈み気味で、景色を楽しむ精神状態でもない。しかもイヤホンが壊れて音楽も聴けなくなり、漕いでる時間がもはや修行だった。

水を補給するために寄った人口120人の小さな町で好物のスーパーフード、乾燥ナツメを見つけて購入。前回と比べると新鮮さに欠けるのか甘味が少ないが、食べ過ぎなくて良い。商店の子供にナツメ食うかと伝えたら断られ、お返し?に小さな花火を3つくれた。正月に町中から子供の声と一緒に爆竹の音が聞こえたから、その余りだろうか。あのやりとりもかわいい花火のお返しもうれしかったけど、爆竹で大喜び出来るほどの純粋さは残念ながら無くしてしまった。むしろうるさい。威嚇とか何かに使えるかな。

水の補給場所では、陽気なおじさんがビール片手にずっと喋っていて、この先レストランしかないから、泊まっていけばいいと言ってくれた。今日はまだそんなに距離を走ってなかったから断った。良い町だ。メキシコに限った話じゃないけど、人口の少ない場所の方が旅人に寛容で気さくな人が多い。その代わり隣人には目を光らせていて粘質なのかもしれない。

大きめの港町に近付いてきたからか、ハイウェイ周辺の土地には所有者がいて柵があり、テントを張る場所が見つけにくい。あのお喋りおじさんが言ってたレストランを見つけ、敷地でキャンプさせてもらえないか尋ねたら二つ返事でOKをもらう。せっかくだから料理も試してみたところ、エンパナーダ(餃子と同じ形の、砂糖とクリームと小麦粉で作ったお菓子)とブリトーがめちゃうまだった。ブリトーの中身は、干した牛肉を味付けして焼いて細かく刻んだもの。メキシコ流ビーフジャーキー。干し肉最高。干してる所を見に行ったら料理人のおばちゃんが作り方を教えてくれたが、スペイン語だったから理解できず。ジェスチャーと想像でなんとなく概要は伝わったが、牛か豚かという質問さえ出来ず。奥から英語を喋れる若い子を連れてきてくれて、なんとか確認できた。最後におばちゃん揚げパンくれた。今日はなんだかよく貰う日だった。スペイン語喋れたら旅が格段に面白くなるなあと感じ始めてつらい。

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