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「この香りの似合う大人になる」という目標。

ちょっとばかりの昔話から、このおはなしを始めさせてほしい。

10年くらい前、とあるシャンプー開発のドキュメンタリーを見た。
その時の開発者の一言がとても印象的だった。「大人の女性は”自分の香り”を持っている。だから、シャワールームでは香るけど、乾かしたときに匂いの残らないシャンプーを作りたい」

へえー、シャンプーの香りって好きだから残ってくれた方が良いのになぁ、と当時高校生の私はボヤいた。文句を言ってはいたが、あの日のドキュメンタリーを私は、ずっと、心のどこかに閉まっている。
”香り”の話が出るたびに、私はあのシャンプーを思い出すのだ。

最近の私は、自分らしさや次の仕事への気持ちの持って行き方に悩むことが多い。なんだか、今日に追われて時間を消費している感覚がちょっと気持ち悪いのだ。
自分をしっかり持っていたい、こうなりたいを明確にしたい。そう思った時、ふと「自分の香りを見つけたい」と思った。

30分後にはデパートの1階に居た。
リネンウォーターや、アロマは好きなので、自分の好みは何となく知っている。匂いに興味がないわけじゃない、でも人様に「私はこういう人間です」とバレてしまう香水は、なかなか手を出せずにいた
そんな私は等身大、というよりも「この香りの似合う人になりたい」「後輩に憧れてもらえる香りにしたい」というテーマを大事にした。
選んだのはジョーマローンロンドンの「ジャスミンサンバック&マリーゴールド」。等身大の自分よりも少し甘めでくぐもったお香系の香り。

いまの自分からこの香りがするのは、少し背伸びだなと思う。
でも香りってすごい。自分がどうありたいのか、文字以上に自分に語り掛けてくれる。「あなたはこうなるんでしょう?」って。

まだ、朝これを纏うのは少し気恥ずかしい。
だから私は眠る前に自分の嗅覚に言い聞かせるのだ、「私はこうなっていくんだよ」と。

外的要因だっていいじゃないか。
目標を感じるってことはワクワクと同義だ。

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