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外国籍エンジニアを採用するためのちょっとしたヒントになる話

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。


モノタロウには36人(全体の7.1%)もの外国籍のメンバーが働いています。そこで今回は、エンジニア広報チームが国籍も社歴も異なるケヴィンさん、ソンさん、リンさんに、日本で働こうと思ったきっかけや会社選びで重要視する点について伺いました。

本来であれば他の記事と同様、働くメンバーが感じるモノタロウの魅力をお伝えするはずでしたが、3人のお話を聞いていくうちに、外国籍のエンジニアの採用に有用となるようなヒントをたくさん得ることができました。

そこで本記事では、外国籍エンジニアの採用を検討しているEM(エンジニアマネージャー)の方に向けた内容に編集しお届けします。

(お三方の簡単なプロフィール)

ケヴィンさん
フランス出身。2020年入社。EC開発-Cグループのスマホアプリチームに所属し、Android版スマホアプリを担当。

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ソンさん
韓国出身。2018年入社。EC開発-Eグループのカイゼンチームに所属し、モノタロウのB2Bサイト、システムの改善を担当。

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リンさん
台湾出身。2018年入社。データ基盤グループに所属し、クラウドインフラの管理とデータ基盤の運用を担当。

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※所属は全て2021年3月時点

その1:日本で働く動機を知る

なぜ日本で働くのか?外国籍エンジニアを採用する上で、候補者のインサイトを知ることは重要です。今回、インタビューした3名には以下のようなそれぞれの理由がありました。

・日本の文化(映画やアニメ、漫画、ゲームなど)に興味を持っていた
・日本の技術力に憧れていた
・一度海外(ただし自国との近隣国)で働く経験をしたかった

具体的なきっかけは異なるものの、共通しているのは、以前から日本に興味を持っていたということでした。そして、やりたいことを叶える姿勢からは行動力の高さや意志の強さが伺えます。そのあたりも座談会で3人に大いに語っていただきました。

日本に興味がある、だから日本で働きたい

ーーみなさんが日本で働こうと思ったきっかけを教えてください。

ケヴィンさん:私は子どものころから日本の映画や漫画、アニメを見ていたので、日本に興味がありました。大学の最終学年のときに留学する機会があったので、1年間日本に留学し生活してみたんです。日本は景色も素晴らしいし人も優しかったですね。文化もフランスと違ってとても面白かったので、日本で働ければ個人的にもキャリア的にも良いかなと思い、日本で就職活動をしました。

ソンさん:小さい時から「Made in Japan」を見るたびに思っていたのは「ハイテクノロジー」「完璧」といったイメージでした。なので、私も日本の会社で優秀な人たちと一緒に開発したいなと思っていたのがきっかけです。

リンさん:台湾の大学で2年ほど日本語の授業を受けました。大学卒業後は台湾の外資系コンサルで働いていましたが、若いときに海外で働くことを経験したかったのでいろいろ考えたんです。日本は台湾に近いし、私は日本語ができるので海外で働くなら日本を第1候補に決めていました。


その2:転職プロセスと判断軸を知る

次に、「日本で働きたい」と思った外国籍エンジニアがどのような転職プロセスで、どのような判断軸をもっていたのかを理解しましょう。

転職プロセスでは以下のような発見がありました。

・会社を知ったきっかけは全員が転職エージェント経由
・求人票が候補者の母国語で書かれていると理解が深まりやすい

また外国籍エンジニアが入社時に重要視しているポイントも発見できました。

・自分がチャレンジできる環境
・技術力や日本語力を高められる社内勉強会がある

日本人採用と比較して、入社への判断軸に大きな差はないもの、全員が転職エージェントを利用している点が特徴です。自社への理解を深めてもらうためにも、求人票を複数の言語で書くことは必須ではないでしょうか。また、チャレンジできるかどうかを全員が決め手に挙げていたのは印象的です。

入社の決め手は「チャレンジできる環境」であること

ーーみなさんがモノタロウを知ったきっかけや入社した理由を教えてください。

リンさん:私は転職エージェントに紹介してもらったのがきっかけです。実は転職エージェントには他の会社も紹介してもらったので、それらの会社を自分で調べて検討したのですが、モノタロウは前職の経験が活かせるし自分のやりたいことに一番合ってると思って応募しました。

あと、モノタロウは求人票が中国語で書いてあったので読みやすかったです。面接も最終以外は中国語だったし、日本語で分からない部分は中国出身の面接官が翻訳してくれたので言葉のハードルは低かったですね。当時は今より日本語が下手だったので、中国語だったおかげで理解しやすかったです。

また、私は転職して自分の技術力を高めたいと考えていました。モノタロウの求人票に社内勉強会があると書いてあったので、ここがふさわしいなと思いました。

ソンさん:私はモノタロウに入社する前から日本で仕事をしていました。前職まではアプリやWebの開発をしていて、どちらかというと小さい単位のプロジェクトでした。なので大きなプロジェクトの開発をしたいと思っていました。

モノタロウは転職エージェントに紹介してもらいました。初めは転職しようと考えてなかったし、モノタロウを知らなかったのですが、調べてみると大規模なECサイトを運営していることが分かり興味がわきました。自分もこんな開発に関わりたい、チャレンジしたいと思ったのが入社のきっかけです。

ケヴィンさん:私も知った経緯はソンさんと同じでした。調べてみたらチャレンジできそうな会社だったので面接を受けてみました。

面接のとき、私を担当してくれたのが今のリーダーでした。話を聞くと、これからモノタロウのアプリはもっと大きくなる計画があって。チャレンジ的にも面白そうだし技術的にもやりたいことだったので興味が高まりました。面接でいろいろ話せたことで入社したい気持ちがどんどん強くなりましたね。

その3:カルチャーギャップを知る

外国籍の方が働く上で最も大きな壁となるのがカルチャーギャップです。お話を聞く中で見えてきたのは、ギャップは「仕事」と「プライベート」の2つに分けられるということでした。

仕事面のカルチャーギャップ

・詳細に記載するドキュメント文化
・技術的な言葉やシステムの固有名詞、和製英語といった難解な言葉

プライベート面のカルチャーギャップ

・ビザや税金面での不安
・日本での仕事、生活、言葉

仕事とプライベートの両方に共通しているカルチャーギャップは、日本語にまつわるものでした。これには日本語の習熟度と日常と仕事で使う日本語の違い、2つの要因があると考えられます。この点をフォローするためにも社内で日本語研修の必要性を感じました。

また、プライベートでは外国籍特有のギャップが挙がりました。この点を解消するためには会社やメンバーのサポートが必須ではないでしょうか。

ギャップをチャレンジできる環境と捉え直す

ーー実際に働く中でギャップはありましたか?

リンさん:台湾で働いた期間がそんなに長くないので、むしろ今台湾に戻って働いたら逆にカルチャーギャップが生じてしまうかもしれません(笑)

入社前は大きなプロジェクトや1つのシステムを担当すると勝手に思っていましたが、今はさまざまなプロジェクトを担当しています。想像とは違っていましたが、ネガティブなことではなく、むしろ個人的にはプラスになっています。

私は第二新卒で入社したのでやりたいことが固まっていませんでした。なので、チャンスをもらって興味のある領域をいろいろ試せることが良いなと思っています。

ソンさん:期待と少し違った点は、運用しているシステムは規模が大きいので、各分野が専門性によって分けられていることです。私が以前関わっていたような小さな規模のシステムなら全ての設計に携わっていましたが、今は分野ごとに分かれているので全体の流れや仕様を把握するのが難しいです。ですので、自分の専門以外の分野を理解するために、興味を持って勉強することを大切にしています。そして上司に教えてもらうことで、自分が対応できる領域を増やしています。

ケヴィンさん:私は特にギャップを感じることはなく、今は成長できる環境でアプリ開発にチャレンジできています。

あと、実際に働く中で面白いと思ったことがあります。私の今までの経験では、エンジニアは1つの専門領域に特化するイメージがありましたが、モノタロウではさまざまなことをしています。最初はびっくりしましたが、いろんなことをやる方が面白いですね。

ーー特にソンさんとケヴィンさんは前職までの豊富な経験があるので、感じ方が違うのは面白いですね!その上で、新しいことにチャレンジされている姿が印象的です。ちなみに日本と母国の会社で違いがあるとするならどんな点でしょうか?

ソンさん:母国ではありませんが、日本に来る前はニューヨークで働いていました。そのときと比べると業務プロセスがうまく整理されていると思います。段階に応じて検討・検証プロセスがあるため、あらかじめミスを予防できます。

あと、ニューヨークの会社にもドキュメントはありましたが日本のドキュメントの方が詳しく書かれているのは印象的です。初めて書くときは「こんなに書かなきゃいけないのか」と驚きました(笑)

リンさん:ソンさんと同じですが、日本の会社はドキュメントが多いですね(笑) 週報を書くと聞いて驚きました。台湾にはそんな文化はないんです。

ケヴィンさん:働く上で困っているわけではないですが、日本と比べると、フランスの方が休みが多いですね。有給は5週間あります。日本でも長期のお休みがあったら嬉しいです(笑)

ーー業務中、分からない日本語があったときはどうやって解決されてるのでしょうか?

ケヴィンさん:やはり日常と仕事で使う日本語はちょっと違います。技術的な言葉は特に違うので、最初は質問しながら覚えました。

ソンさん:漢字を読むことや書くことが少し苦手です。調べ方は、ドキュメントに書かれている内容であれば、コピペしてネットで調べています。あとは日本語の敬語が少し苦手ですね(笑)失礼な言い方にならないように気をつけています。

リンさん:私の場合は漢字を見れば意味が分かることも多いですが、発音だけ聞くと分からないこともあります。

ーー具体的にはどんな言葉がありました?

リンさん:システムの固有名詞や和製英語ですね。最近だと、聞いただけでは「セイシンエイセイ」が分かりませんでした。漢字で「精神衛生」と見れば分かるんですけどね(笑)

ーー働く上で困ったことはありませんか?

ケヴィンさん:仕事以外のことで個人的な話になりますが、ビザや税金などについての不安が時々あります。ですがモノタロウはどんな問題でも相談すればサポートやアドバイスをくれるのでとても安心です。

ソンさん:困っていることではないですが、コロナ禍の前は他の部署と親睦会もありました。ですがコロナ禍になって親睦会がなくなったので、まだ話をしたことがない方々もたくさんいます。他の部署ともっと親しくなれたらもっといいなと思いました。

リンさん:仕事ではありませんが、海外で働くのは想像よりしんどかったです。入社するまでは日本に住んだことがなかったので、仕事、生活、言葉と結構苦労しました。

色々苦労しましたが、モノタロウに入社してありがたかったのは住宅補助です。初めて日本に住むことになる外国人には助かると思います。あとはオンラインで実施されていた日本語研修ですね。入社してから2年ほど受けましたが、「日本語が上手になった」と周りの方に褒められています。

ソンさん:私もこの研修を受けています。まだ難しいですが、入社時と比べるとかなり上達したと思います。

ーー一緒に働く上司やメンバー、働き方についてはいかがですか?

リンさん:みなさん優しいです。私は第二新卒だったのであまりスキルも経験も持ってなくて、日本語もボロボロでした。でも上司がさまざまなことを丁寧に教えてくれました。

ソンさん:強く感じたのは、チームワークがいいということです。プロジェクトや案件ごとにチームを構成して進める点は印象的でした。そしてチームも個人も成長できるように、上司やメンバーがしっかりサポートしてくれています。いろいろとお世話になっていていつも感謝しています。

ケヴィンさん:オープンマインドな方が多いですね。上司やCTOも関係が近いですしみなさん話しやすいので、コミュニケーションを取りやすく相談もしやすいです。みなさんからグローバルな考え方が伝わってきますのでとても良いです。

その4:やりがいを知る

最後は働く上でのやりがいです。外国籍エンジニアが求めるやりがいを理解することで、入社意向を高め、モチベーションアップにつなげられるでしょう。

・新しい知識や技術を学べる業務
・積極的に新しいアイデアを試せる環境

海外に来て働いている方たちですので、仕事への意欲の高さがうかがえます。そんな方たちに提供すべきは、新しい知識や技術を学び、試せる機会ではないでしょうか。

新しい経験と学びが何よりのやりがい

ーー仕事をしていてどんなときにやりがいを感じますか?

ソンさん:新しいことを学び、経験するときですね。モノタロウには優秀な人材が多いと思うので、そういう人たちと一緒に働いて学べることにとても満足しています。入社する前はいろいろな分野での開発経験があったので自信はあったのですが、モノタロウは専門ごとに分けているから、その分野の方の知識はすごいです。

リンさん:私も学ぶことや自分ができるようになったときが楽しいです。前職ではある程度やり方が決まっていたので、仕事の変化が少なく新しいことを学びにくい環境でした。モノタロウでは新しい技術や知識に触れ、学び続けられるのが楽しいですね。

ケヴィンさん:Androidのセキュリティや新機能の開発をしていますが、知識はあるものの知らないこともいっぱいあるので、みなさんと同じく学べて楽しいです。

あとは新しいアイデアを共有し試しやすいです。Design Doc(デザインドック)に日本語でアイデアを書いて試すのですが、とてもやりやすい環境ですね。

ーーでは最後に、日本で働く外国籍の方にアドバイスするとしたら何がありますか?

ケヴィンさん:チャレンジしたいならモノタロウですね!

リンさん:とにかく日本語を勉強してください!特に飲み会に行ったときのコミュニケーションのために必要です。

ソンさん:言葉も含めてコミュニケーション力ですね。スキルや技術は入社してから身に付きますし周りがサポートしてくれますから。コミュニケーションを大切にしてほしいです。

ーーありがとうございました!