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創造性ある組織をデザインする、クリエイティブバックオフィスとは

メンバーひとりひとりの個性や強みを引き出し、掛け合わせる「Independent, Together」というカルチャースローガンを掲げているクリエイティブエージェンシー『monopo』。
今まであまり表には出てこなかったメンバーそれぞれのバックボーンや仕事観を、インタビュー形式で紹介する企画を連載しています。
第3回目に登場するのは、コミュニティマネージャーという肩書きで会社のまとめ役を担っている井坂友香。
「自分には何の能力もないと思っていた」という彼女が、バックオフィスの仕事を通じて自分のクリエイティビティに気づき、組織作りの面白さにのめり込んでいくまでの経緯を聞きました。

Profile
井坂 友香 Community Manager
大学卒業後、営業職を経てデザインの専門学校に入学。
クリエイティブな組織を求めて、大学時代の友人を通じてmonopoに入社。
広報・人事・経理・総務などあらゆる角度から組織・カルチャーをデザインしていく、Community Design teamを立ち上げ、リーダーとして環境作りを行っている。

「この人たちと一緒に働いていくために、自分ができることって何だろう」

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―井坂さんがされている「コミュニティデザイン」とは、どのようなお仕事なのでしょうか?

井坂:バックオフィスの業務を担当しながら、みんなが働きやすい環境を作る仕事です。私はこれまで、総務、経理、人事、広報、労務など、バックオフィス全般の仕事をしてきました。それらはすべて組織作りに関わる仕事なので、徐々に「コミュニティを作ってるんだ」という意識に変わっていったんですよね。そんな話を社内でしていたときに、「じゃあ、コミュニティマネージャーって肩書きに変えたら?」と言われて。

―そういうきっかけで生まれたポジションだったんですね。

井坂:もともとmonopoでは、メンバーそれぞれがクリエイティブ業務をやりながら、経理や人事の仕事も兼務していました。だけど、会社の規模が大きくなるに伴って、みんなが自分の仕事に集中するためにバックオフィス全般を担当できる人間が必要になってきたんです。

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―そもそも井坂さんがmonopoに入ったのは、どういうきっかけだったんですか?

井坂:私は大学が経済学部で、前職は営業や事務の仕事をしていたので、クリエイティブ業界とはまったく接点のない人間だったんです。だけど、仕事をしているうちに自分のできることを増やしたいなと思うようになって。自分のことを話すときに、「これができます」って言えるものを持ちたかったんですよね。それで20代のうちに何か新しいことをしたいなと思って、Webデザインの専門学校に通い始めました。手を動かして何かを作るのが好きだったので。
ちょうどその頃、知り合いがmonopoにいて、私もアルバイトとして働かせてもらえることになったんです。クリエイティブの仕事を間近で見せてもらいながら、みんなが分担していたバックオフィスの業務を手伝うというかたちで。それがmonopoに入るきっかけでした。

―プロのクリエイティブの現場を見てみた印象はいかがでしたか?

井坂:みんな本当にすごいものを作ってて、クオリティの差にへこみましたね(笑)。技術はもちろん、熱量も高いし、視野も広くて。自分みたいな甘い考えではデザイナーなんてできないと実感しました。
でも、みんなすごく優しくて。「頑張ればできるよ」って丁寧に教えてくれたり、フィードバックもたくさんくれたんです。それに、友達みたいに接してくれて、みんなのことがすごく好きになりました。今までいくつか会社を転々としてきたんですけど、そんな感覚になったのは初めてでしたね。

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―monopoの方々と話していると、そんな感じがしますよね。関係性がフラットで、距離感が心地いいというか。

井坂:そうなんですよ。みんな仕事に対してはすごく真剣なんだけど、友達みたいな距離感で付き合える居心地のよさがあって。そういう環境で働いているうちに、「この人たちと一緒に働いていくために、自分ができることって何だろう」って考えるようになったんです。
もちろんデザインのことも頑張ってやっていたんですけど、自分の能力が活かせるのは、そっち方面じゃない気がして。

―クリエイティブの業務よりも、別方面のほうが活躍できるんじゃないかと。

井坂:はい。やっぱりみんなにはクリエイティブに集中してもらいたいなと思って。そのためには請求書や経費の取りまとめなどの業務を、私がやったほうがいいよなと、すごく素直に思えたんですよね。
事務作業を「じゃあ、それは私がやっておくよ!」って言うと、みんな喜んでくれたし、私もそれが嬉しかったので。そんなことをしているうちに、総務や経理で任せてもらえる仕事がどんどん増えてきて、バイトを始めてから半年後には正社員として働くことになりました。

会社組織をいいコミュニティにしていくために

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―monopoには、いろんな国の方々がいらっしゃいますよね。

井坂:そうですね。オフィスは東京、ロンドン、ニューヨーク、サイゴンの4ヶ所で、出身地でいうと14ヵ国のナショナリティと10言語を母国語とするメンバーがいます。

―その方々とのコミュニケーションは、どのようにとられているのでしょうか?

井坂:基本的にはオンラインツールでコミュニケーションをとっています。月に1回、全社のメンバーがオンライン上で集まる会合があって、そういう場所でそれぞれが考えていることを共有してますね。ただ、私は英語がまったく話せないんですよ(笑)。

―あ、そうなんですね。どうやってやりとりをしてるのですか?

井坂:みんなすごく聞く姿勢でいてくれるので、拙いながらなんとか伝えています。あとは、文章でやりとりすることが多いですね。日本語で文章を作って、翻訳アプリで変換して、もう少し柔らかい表現にできそうな部分があったら直す感じで。
「書類を早く出してください」とか言わなきゃいけないポジションなので、なるべくキツイ表現にならないように文章を作っています。みんながよく使う表現をストックしておいたり、絵文字に頼ったりしながら。

―英語が苦手でも、できることは全部やってる感じがすごい!

井坂:急いで連絡しなきゃいけないときは、絵文字に頼って「伝われ!」みたいな感じでやってますけどね(笑)。

―言葉だけじゃなくて文化や習慣も違ったりするから、きっと伝え方の難しさはありますよね。

井坂:たぶん変なこと言っちゃったりしてるんですけど、みんな優しいからなんとか汲み取ってくれてるんだと思います。

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―会社組織というコミュニティをいいものにしていくために、何か意識されていることがあれば教えてください。

井坂:みんなと話していると、本当にいろんな意見が出てくるんですよ。「もっとこういうふうにできないかな」とか、「どうしてこういうやり方なの?」って。そういう声を拾っていくと課題が見えてくるので、ひとつひとつにちゃんと向き合うようにはしています。みんなの意見を汲み取って、反映していくことが、いい組織に繋がっていくと思っているので。
私のなかでは、「みんなが嬉しいかどうか」というのがすべての基準になっています。少しだけですけどデザインをかじってみて、クリエイティビティを発揮するためには安心できる環境が必要だと思ったんですよね。そのために自分ができることをいつも考えています。

―そういう部分に、デザインでの経験が活かされているんですね。確かに、自分がやったことのない業務の大変さって、想像だけではわかりきれないですもんね。

井坂:デザインだけじゃなくて、営業をやっていたときにお客さんに怒られたり、お金の調整で難しい場面を経験してきたからこそ、他のメンバーの大変さが想像できたり、寄り添えるっていうのはあると思います。

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井坂:私がパンクしそうになってるときに、助けてもらう場面もたくさんあって。社内のエンジニアが「井坂さん、何に困っていますか?」って、お医者さんみたいに聞いてくれて、アプリを作ってくれたりするんですよね。

―えー、すごい! ちなみに、何に困っていて、どういうものを作ってもらったんですか?

井坂:請求書を月締めで集めるんですけど、それがちゃんと揃ってて、入金があって、外注先に支払いも済んでいるかっていうのを全部チェックしなきゃいけなくて。それがけっこう大変だったんですよね。だけど、プロジェクトごとに管理できるアプリを作ってくれて、一気に作業が楽になりました。そうやってメンバーに助けてもらうことが、本当にたくさんあるんです。

―問題解決のためのツールをすぐに開発して実装できるって、めちゃくちゃ心強いですね。

井坂:割とひとりで抱え込んでしまう性格なので、今までは「もう無理」って勝手にパンクしていました。でも、monopoのメンバーは「何か困ってない?」って聞いてくれるんです。しかも、楽しそうにやってくれるんですよ。「趣味なので!」とか言ってくれて。そういうところは、本当にすごいなと思います。
仕事的に大変なこともありますけど、ひとりでやってるという感覚はありませんね。みんなが意見をくれるので。意見って、口にしちゃうと先を見届けないといけなくなるじゃないですか。そういう責任を恐れずに自分の意見を言ってくれるし、相談にも乗ってくれるメンバーが多いんですよね。

社員がやりたいことを絶対に聞き逃さない会社

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―みんなが責任を恐れず、自分の意見を言える環境って、どのように作られているのでしょうか?

井坂:monopoのメンバーって、みんな自立してるんですよ。自分の強みを知ってるし、個性的であるのはいいことだと思っているから、ちゃんと意見を言ってくれるんじゃないですかね。
あとは一緒に飲んだりする機会も多いので、ざっくばらんに話ができるというのもあると思います。

―なるほど。そういう下地があるから、コミュニケーションのハードルが低いんですね。

井坂:それと、みんな思いやりがありますね。小さなことでも「ありがとう」って言い合うし、ミスがあってもすぐに「ごめんね」って謝るんです。それって、簡単なようだけど、実はすごい環境だなと思ってて。
対面でのコミュニケーションだけじゃなく、チャット上のやりとりでも思いやりを感じるし、だからこそ物怖じせずに話し合える雰囲気なんじゃないかなって。私、monopoのそういうところが、すごく好きなんですよね。

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―そういう雰囲気って勝手に醸成されるわけじゃないと思うんですけど、メンバーとの意思共有のためにされていることはあるんですか?

井坂:うちの会社は、「COLLECTIVE CREATIVITY」という考え方を大事にしています。これは「どんな人のなかにも、クリエイティビティがある」という意味で、それを集めて化学反応を起こしていこうという姿勢を示しているんです。
monopoに入ったとき、私は自分に何の能力もないと思っていました。だけど、「COLLECTIVE CREATIVITY」という考え方に触れているうちに、「私のなかのクリエイティビティってなんだろう?」と考えるようになったんですよね。周りのメンバーも私の得意なことを見つけてくれるので、自分に自信が持てるようになりました。

―そういう環境にいると、みんな自分の個性に胸を張れるようになっていきそうですね。他社の製品をPRする仕事をしている人が多いから、相手のいいところを見つけるのが上手っていうのもあるのかもなと思いました。

井坂:そう思います。みんな「何を作るか」というより、「なぜ作るか」という根本的な視点を持ちながら、物事のいい部分を見つめているメンバーなので。

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―自分のクリエイティビティを意識できるようになってから、仕事への向き合い方は変わりましたか?

井坂:積極的になったと思いますね。monopoって、社員がやりたいって言ったことを絶対に聞き逃さない会社なんですよ。だから、いろんな仕事にトライするようになりました。最近だと人事をやってみたいなと思って、前任のメンバーが抜けるときに手をあげたんです。

―前々から人事の仕事に興味があったんですか?

井坂:みんな自分が働く環境をよくしたいと思ってるし、私としてもこれまでやってきたいろんな業務が繋がってきたフェーズだったので、今なら人事の仕事もできそうだなと思ったんですよね。総務や労務や広報の仕事とも繋がっているし、バックオフィス全般のことを知っているからこそできることもあるんじゃないかなって。今までの経験を活かしながら、今は採用の担当もやっています。

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―monopoの採用基準って、どういうところなんですか? どんな人を求めているのでしょう?

井坂:今だとWeb制作などのデジタル案件に強い人材を求めています。その上で、これまでとは違う視点でmonopoの付加価値を増やしてくれるような方と出会いたいですね。
あとは、多くのメンバーが「この人と働きたい」と思った方には来てもらいたいと考えています。実際、メンバーの紹介で入ってくるリファラル採用も多いんですよ。一緒に働く上で人柄って重要じゃないですか。でも、そこが一番見えにくい部分でもあります。リファラルなら、その点がクリアできてるので、ミスマッチを避けられるというメリットがあるんですよね。そういう積み重ねによって、働いているメンバーが自分の会社を自慢したくなるようなコミュニティーづくりをしていきたいと思っています。

バックオフィスから、挑戦しやすい会社を目指す

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―コミュニティマネージャーとして、今後はどんな仕事をしていきたいですか?

井坂:入社して4年経ちましたけど、みんなのことを知れば知るほど尊敬の念が止まらないし、心から「頑張って!」と思うんです。だから、私は自分のできることは何でもしたいし、意見を言ったらちゃんと吸い上げてくれる人だと思ってもらえるようになりたいですね。メンバーそれぞれが自分の意見を言えて、それがちゃんと届く状態を守っていくのが、自分の役目だと思っているので。
最近は「あらゆる障壁を超えていこう」という意味で、「Challenge boundaries」という言葉をよく使っています。社会的な規範という境界、文化/カルチャーの境界、専門分野という境界、困難な課題の境界、偏見や固定概念の境界など、あらゆる障壁を超えていくチャレンジをしていこうって。みんなが、もっとよくできるんじゃないかって思っていることを安心して表現できるようにして、バックオフィスから挑戦のしやすい会社を作っていきたいですね。

―バックオフィスから挑戦のしやすい会社を。

井坂:はい。そのために、ひとりひとりの個性を否定せず、そこにある違いをどうやったら活かせるかというのは常に考えています。
組織にはある程度のルールも必要ですが、上から押し付けるのではなく、みんなの意見を吸い上げてどんどんアップデートしていけるものにしていきたいですね。だから、普段からみんなの意見を聞いて、どういう意図や希望を持って動いているのか把握し、何事にもスピーディーに対応できる状態にしておきたいと思っています。

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―お話を伺っていると、monopoに入ってからの4年で井坂さんはずいぶん変わったんじゃないかなと思うんですけど、そういう自覚はありますか?

井坂:ありますね(笑)。入社したばかりの頃はやりたいこともざっくりしてましたけど、今はこうありたいという自分の姿が明確になってきました。
でも、この会社じゃなかったら、今のようにはなってなかったと思います。これまでは「会社のなかのひとり」という感覚で仕事をしていたんですけど、monopoでは「バックオフィスって、つまらない仕事じゃなくて、組織をデザインする役割なんだ」と思えるようになって。そしたら、仕事が単なる作業ではなく、すごく楽しいものになったんです。

―「手を動かして何かを作るのが好き」という部分は変わってないけど、作りたいものがWebデザインから、組織に変わっていったんですね。

井坂:ただ、組織作りって独りよがりでできることではないから、みんなが楽しく気持ちよくいられるように考えるようにはしています。どんな人が入っても抜けても、そういう雰囲気を守っていけるように、明るく、テンション高くやっていきたいですね(笑)。

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―井坂さんが思う「monopoらしさ」って、どういうところでしょうか?

井坂:みんなが自発的で、常に課題感を持っているところが特徴的だなと思います。言われたことをそのままやるのではなくて、「もっとこうやったほうが楽しくない?」って意見が絶対に出てくるんですよ。どんなに小さいことでも。それがまた「よくそんなことを思いつくなぁ」ってことばかりで。すごいなぁと思ってます。
みんな自立してるから、monopoって組織がなくなっても活躍できるメンバーばかりなんですよ。そういう人であってほしいって話は、代表も常々してますね。

―先ほどのお話に「どんな人が入っても抜けても、雰囲気を守っていきたい」という言葉がありました。組織って人によって変わるから、それってすごく難しいことでもありますよね。

井坂:変わる部分は変わっていくべきだと思うんですよね。けど、monopoを辞めた人もみんな友達のように繋がってるし、それぞれの場所で挑戦を続けています。そういう刺激があったり、どんな意見も馬鹿にしないという土台があることで、会社の雰囲気は守っていけるんじゃないかなって。自分たちがいいと思っている部分は、ずっと守っていきたいですね。

執筆:阿部 光平 (https://twitter.com/Fu_HEY )
撮影:馬場雄介 Beyond the Lenz (https://www.instagram.com/yusukebaba)

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