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木人トレーニングの有効性

このかたは木人を使用しておられ、木人の有効性を非常によく理解しておられます。サンドバックにはサンドバックの良さがあるし、木人には木人の良さがあるのです。

さて、サンドバックと木人の違いは何でしょうか。
それは

打たれたものが動くかどうか

です。
サンドバックの方がいいとか、
木人の方がいいとかそういう話ではありません。
用途が違うのです。

サンドバックの場合、打たれたサンドバック側が動きます。
自分のパンチの威力や、キックの威力を図るのにいいし、
サンドバックは中空に浮いているので、まわりを周りながら攻撃する練習なんかにもいいと思います。

では木人は何がいいのでしょうか。

木人自体は原則動きません。
ハザカイユウさんの記事にもありますが、
ジャッキー・チェンさんの映画上の演出です。

木人が動かないことによって何がいいかというと、

『反作用』を感じることができる

のです。
僕が考える木人の一番いいところです。
パンチをしたり、掌底をしたりすると、
その『反作用』をビビットに感じることができます。

ハザカイユウさんは慣性や重力の話などもこの記事でしておられますが、
そういった物理の話は非常に大事です。

自分が発生した力が『作用』そして、相手が動かない場合、
その力と同じだけの力が返ってきます。
その力を『反作用』と言います。

正しく立ち、正しくパンチを打てていれば、
『反作用』の衝撃は身体を通じて地面に抜けます。
力みがあると、力みがある部位に衝撃が留まります。
肘に力みがあれば肘に、肩に力みがあれば肩に衝撃がきます。
ハザカイユウさんはこのことについて「上半身は脱力した状態での攻撃が有効になるか」という表現を使っておられます。これは実に奥の深い内容です。

よく武術の極意は『脱力』だと言われます。
これ自体に異論はありません。
しかし、力を込めたり、力んだりしたトライアンドエラーがあってからの『脱力』だと考えています。

なぜなら力を入れるところは入れないと、グニャグニャで立っていられませんし、ひとは動くのに力を最低限は入れているはずだからです。

ハザカイユウさんは「その動作にどれだけの力を籠めるか、力を抜くか、自分で自分の身体をコントロールする身体能力を高めてくれる道具だと思います。」としておられます。

全くその通りだと思います❗️

そして最低限の力で最大限のリターンを得るところを探るのです。
動きに必要な力が最小限ということはスピードも速いし、
読まれにくいという利点もあります。

日本にも動かないものを突いたりするトレーニングは存在しています。
空手道でいう巻藁や、相撲の鉄砲なんかはそういったトレーニング器具です。

巻藁は部位鍛錬や、根性論の要素が強く出てしまっていますが、
本来は木人のような意味合いが強かったのではないかと僕は思っています。

相撲の鉄砲は四股の状態や、立ちながらも力士は行うことがありますが、
あれは完全に『反作用』を地面に抜けさせたり、身体の中を物理エネルギーがどう通っているかを確認している作業だと僕は思っています。

特に相撲はとんでもない物理エネルギーが発生している競技です。
しかも無差別級という現代スポーツではかなりナンセンスな競技になっています。
だからこその魅力があり、僕は相撲が大好きです。

最近はマシーントレーニングをしている力士も多いですが、相撲という競技性を考えるとマシーントレーニングは怪我の元です。

余程身体の使い方がうまい力士が、力をつけるのに身体の使い方を崩さないようなマシーントレーニングをするに限ります。
それ以外は怪我の元です。

最近の力士は怪我での休場が多いように思います。
場所の多さもあるとは思いますが、マシーントレーニングも
原因の一つだと考えます。

うまく身体を使えたら自分が発生した力と同等の力が返ってくるはずの『反作用』が地面に抜けることによって、あまり手応えを感じることなく、相手には最大限の力が伝わるようになるのです。

そういった身体の使い方を学ぶ上でも木人は非常に優秀なのです。

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