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広報の専門家の視点から分析するSNSに見る炎上の構図。

ここ数日、高知県土佐市にあるカフェのSNSに端を発した、炎上が世間をにぎわせている。
そのSNS自体は、すでに1億数千万の閲覧数を超え、異例ともいえる再生回数に到達している。一方、土佐市役所にも、1000件以上を超える苦情をはじめ、市内の小中学校に対する嫌がらせ行為など、一時期収拾する気配すら見えなかった。

ここで、そもそもなぜ炎上するかについて、広報の視点で考えてみたい。
先般も「乃木坂46」のパワハラ問題について記事を寄稿したが、SNSの炎上には、細かく分析してみると、起因となる事象自体に対する批判やコメント、対抗的な構図、そして正義感という切り口が存在する。

初期の段階における炎上
炎上には、いつくかのフェーズが存在する。初期の段階においては、起因となる事象に対する、批判やそれに対するコメント。それに加えてそれを知ってもらおうとする拡散。これにより、炎上の端緒として、認知されていくという構図を持っている。
ニュースなどに取り上げられるタイミングにおいては、このフェーズである場合が多い。この段階になると、報道機関や番組の構成上、対抗図式として報道され始めることもあり、第二段階の移行が加速するリスクがあることを認識する必要が出てくる。

第二段階の炎上
ニュースや拡散により、炎上の原因が明らかになると、次の段階では、「良い」v.s. 「悪い」、「善」v.s.「悪」という2局的な対抗構図が出来上がり、「悪い」「悪」に対するいわゆるタタキが始まる。この段階で、当初の炎上の事象自体から、対応方法、個人情報の特定、晒しなど、炎上のステージが移行していく。この段階で、「悪い」「悪」と認定された場合、炎上がさらに加速していくことになる。
昔から判官びいきと言われるように、弱者に対して、てこ入れする傾向がある点は否めない事実だが、正しい情報と拡散には、情報の精査が重要である。

第三段階のうがった正義感による炎上
初期の段階から、第二段階の炎上まで行きついた場合、そもそもの原因であったり、発端が希薄化され、拡散内容に脚色や、事実に反する内容に基づいた正義感によるスパイラルが発生していく。今回のように、社会的弱者に対する嫌がらせ行為に発展したり、時によっては事件を引き起こしかねないリスクをはらんでいる。
特に、日本においては、インターネットの発展形態がスマホの成長とともに先行してきたこともあり、匿名でのコメントなどが主流であり、大げさなコメントや脚色といった内容の拡散により、大きな問題に発展していくことが問題視されている。

SNS炎上に対する情報リテラシーの必要性
ここ数年前から、名誉棄損や損害賠償請求など、SNSの炎上や誹謗中傷に対して、罰則強化や刑事事件等が散見されるようになってきている。
SNSは、フォロワーなどに簡単にリーチでき、その情報がよくも悪くも簡単に拡散できる仕組みだが、それを見たユーザーの情報リテラシーが今後は重要になってくる。
初期段階のSNSと第二段階、第三段階の炎上では、その性質と情報の正確性、議論のポイントなどがそもそも異なっている場合が多い。
ただ単に拡散するだけなど、内容を見ずに転送を繰り返したりすることで、最終的には、その意識がなくとも、名誉棄損等で訴訟になる場合があるリスクを認識してほしい。

インターネットやSNS上に転がっている情報の正確性をどのように判断するかということも、ユーザーとしての重要なスキルとして今後必要になってくると考える。

どちらが正しい、どちらが悪いでは図れない事実
今回の件だけではなく、炎上には「フラストレーション」と「見解の相違」である場合が多い、バイトテロや店に対する完全な嫌がらせ行為は別だが、
土佐市の場合には、双方に言い分があること、また、SNSを投稿した側も、このような影響を与えることになるとわ思っていなかったなど、思わぬ波及が出てきている。
確かに双方に思うべきこと、相手方に対するフラストレーションはあるのは間違いないと考えるが、安易な考えで、SNSに投稿することにより、解決までの時間や費用、イメージの失墜など収拾できなくなる状況に陥ることも想定して投稿は、心がけたい。




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