彼女の好きな人
僕の彼女には好きな人がいます。
それは僕、ではありません。
付き合っているのは僕だけど、好きな人は別にいます。
彼女はそれを僕が知っていることを知りません。
気づいていないと思っているのです。
だから僕は、気づいていないふりをしています。
彼女はその好きな人と僕の間で迷っている、
のではなく、
僕は比べる対象にもなっていない。
その人を選びたくても、自分に振り向いてくれないから
僕と居るだけ。
それなら独りになればいいと突き放したくなるけれど、
僕はつい、その一緒にいる理由に少しの希望を見てしまう。
彼女にとっては大した理由もないのだろうけど。
・・・いや、違うな。
「僕にとって」大した意味にならない理由なんだろう。
僕の彼女には好きな人がいます。
それは僕ではありません。
それは、僕ではありません。
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