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いしのおはなし
いしがひとつ、ポツンとありました。
このいしは昔からずっとこの場所にありました。
昔は今よりもう少し大きないしでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1675253916095-KLhrSIoqlN.png)
いしは、この場所でいくつもの季節をこえてきました。
夏は、あつくてあつくて。
でも、いしはじっとガマンしました。
だからいしは、じわじわ溶けました。
![](https://assets.st-note.com/img/1675254087517-28ivPfmzca.png)
秋は、木枯らしがいしの心に吹きます。
なんだかさびしくて、いしの体にはヒビがはいり
涙のかわりにポロリといしのかけらが落ちました。
![](https://assets.st-note.com/img/1675254243265-Slm3VHkaBD.png)
冬は、寒くて寒くてこごえたいしは
だんだんちぢんで小さくなりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1675254403440-rFCNFsLJsH.png)
春、出会いの季節がやってきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1675254481201-8lwu0dRN27.png)
ある日、いしの方へ男の子がやってきました。
いしはだれかと出会うのはとてもひさしぶりでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1675254704639-ujASwhwY20.png)
しかし、いしはあまりにもたくさんの季節をこえたので
いしは小さな小さないしころになっていました。
だから男の子はいしに気がつきません。
![](https://assets.st-note.com/img/1675254722749-tJM3RdkHum.png)
バッタンっ!!
男の子はいしにつまづいてこけてしまいました。
「こんなところにいしがあったのか!えいッ!!」
![](https://assets.st-note.com/img/1675254768289-RsUUDuB8Ev.png)
せっかく男の子に気づいてもらえたのに
いしはほうりなげられてしまいました。
いしは、小さな軽いいしころになっていたので
どんどん遠くへとんでとんで
そしてコロコロっと転がっていきました。
とばされたいしは、小さな小さないほんのかけらになっていました。
いしが落ちたところには
いしと同じ、かけらのなかまがたくさんいました。
![](https://assets.st-note.com/img/1675254972695-dhJOxRrKFh.png)
いしは、いしではなくなりました。
たくさんのなかまの中で
いつまでもいつまでも、めぐる季節を過ごしました。
おしまい
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