1600文字でカウンセリングを説明します。ご〇〇〇退治に例えて。

日々の中で溜まっていく小さなストレスが、ごきぶりだったとします。出てきた一匹一匹のごきぶりを退治していくことも大切ですが、それではごきぶりはいつまでも出てきてしまいます。

多くの方は、

一旦、手にした殺虫剤を置いて、

部屋のどこからゴキブリが入って来るのかと部屋を点検したり、隙間を確認したりもするでしょう。

水気がないようにしたり、ゴミを小まめに捨てるようになったり、環境を整えることも試みるかもしれません。

そして、バルサンを買ってきて、水を入れます。窓やドアを全部閉めて、部屋を煙に満たします。一旦、閉め切るからこそ、ごきぶりたちを一掃できるわけです。

バルサンが規定時間焚き終れば、あなたは窓を開けて、風通しのよい部屋で過ごすことができます。

また、時期が来ればごきぶりは出てくるかもしれません。けれど、今回、試行錯誤しながらごきぶりに対処できたあなたが、次の回はもっと手際よくごきぶりを退治できる可能性は高いです。


たとえば、カウンセリングの経過はこんな風にも説明できるのではないでしょうか。流れゆく日々の中、一旦、立ち止まってみる。そして、自分自身(身体や感情も)や環境を点検してみたり、整えたりしてみる。何をしようか考えてみる。別にごきぶりを一掃しなくても生きてはいけるとしても……。

それらを一緒に眺めさせてもらったり、伴走させてもらったりすることがカウンセラーの仕事でもあります。

そして、その作業は、カウンセリングという閉め切った部屋で行うことが大切になってきます。それも理由のひとつで、カウンセラーは時間や料金、頻度の決めごとなどをとても大切にするわけです(漏れ出してしまわないように)。そして、モラルの問題としてだけではなく、閉め切った部屋を作るために、守秘義務もしっかりと果たします。


時には、一旦、立ち止まって、家を点検してみたら、家の土台自体に問題を見つけて、大工さんを呼びにいくこともあるでしょう。そもそも、その賃貸物件にいる以上、ごきぶりの発生がまぬがれないとすれば、引っ越しを視野にいれることもあるかもしれませんね。そのときに頼りになるのは不動産屋さんや引越し屋さんです。

カウンセラー以外の専門家のほうが、あなたの力になれることを見つけたときには、そのことをお伝えします。他の専門家の方とカウンセラーが一緒にあなたと伴走したほうが良い場合は、同意の上でそうすることもあります。


もうひとつ、カウンセリングのおもしろい点。この話の流れだと、点検や環境整備、閉め切った部屋でバルサン、が大切なように読み解けるかと思います。しかし、一方で、一匹一匹のごきぶりを退治していくことも大切なんです。退治する腕前をあげること、よりごきぶりが小さいうちに発見できるようになること=早めに退治できるようになること。

退治が上手になれば、一匹一匹を退治することは苦ではなくなる可能性があります。それこそ、目隠しでもできるような名人になる可能性もありますし、退治しまくるうちに全滅させていた……なんてことも起こるかもしれません。

ゲーム感覚で倒せるようになり楽しみになる、なんてことはごきぶりの例えでは厳しいですが。


事後対応と、根本的対応と両方をバランスよくみていく。また、どちらかを解決しているうちに、いつの間にかもう一方が解決されていることなんかもあります。

そういった陰陽のようなバランスをみていくことも、カウンセリングには重要な視点かと思います。

また、上の方には「一緒に眺める」「伴走する」などと書きましたが、実際には、様々な技法を用いたり、戦略を立てて関わらせていただいたりもします。そこにもカウンセラーの専門性があります。


コロナの影響下では尚更ですが、ひとは日々の生活の中でストレスを避けることができません(ほとんどの場合)。

自力で対処していくことも大事ですし、なんとかこころの中に押し込めて対処できる部分もあるかと思います。けれど、それで疲れてしまったとき、それが有効でなくなってきたと感じたとき、このままじゃいけない気がすると思ったとき……。

専門的なカウンセリングを受けることも、選択肢のひとつとして思い浮かぶような社会であって欲しいと願っています。


追伸:カウンセリングとは何か、という短い記事はこちらにもあります。
https://monnakaco.com/counselingblog/

(心理臨床オフィスinemuri  臨床心理士・公認心理師 つゆき)

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