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上海常設店オープンと直前の残念なミス

前回、書かせていただきましたように、過去3回の上海久光百貨での実績を踏まえてか、先方より2019年12月のポップアップ後にそのまま常設店として展開してはみないかと言うありがたいお話を頂いた。その時点で、海外のフロントランナーであり、上海と同様に約2年間のポップアップを経て常設化した香港が、常設から約1年半が経過しており、順調な伸びを記していたため、直感的にも実績的にもイケると判断し、即決した。
しかしながら、展開エリアがちょっと微妙で、過去3回ポップアップをやってきたプロモーションエリアではなく、そこから吹き抜けのエスカレーターを挟んで向かい側の人通りがやや少なくなる少し奥まった場所だったのである。実はそこは、過去に一度初めて上海にチャレンジした際に展開して痛い目を見た場所でもあったのである。しかしながら、あの時に比べて、展開商品も格段に増え、顧客特性も理解しており、何よりも実績があったので、運営手法次第で何とかできる自信があった。

一枚板も含め充実のラインナップ※日本のmonmayaです

常設の開始タイミングは2019年12月16日だったので、約半年あったが、その前のポップアップ開始が10月15日からであり、僅か4ヶ月と相変わらず時間的余裕がほとんどなかった。本来であれば、どちらもまとめて進行した方が無駄は無いのだが、納期的に不可能と判断したため、多少の無駄はあるが、それぞれの準備を併行して別々に進める事とした。ポップアップに関しては、過去3回分、もっと言うと高島屋分の在庫も倉庫にそれなりにあったので、アイテム数的には十分であった。ただ、そうは言っても、売れ筋の補充は必要であり、配送期間も踏まえると開始の1か月半前には出荷していなくてはいけないので、もはや、2か月半しかなく、明日にでも補充分を決めて、製造に移らなくていけなかった。
一方で、常設に関しては、多少時間があるとは言え、スペースもそれなりで、常設展開なので、商品の展示だけではなく、簡単な壁面装飾のプランも求められていたため色々とギリギリだった。更には、常設の展開エリアに関しても、少し欲張って常設エリアの正面及び脇の空きスペースも使えるか確認ところ、快諾されてしまい、結果的に当初よりも更に広めになり、在庫とポップアップからのスライドだけでは、明らかに足りないことが判明した。そのため、常設用の補充製品を確定し、10月中~下旬くらいまでには出荷することを余儀なくされたので、ポップアップの補充分も含めた全体の製造計画をより精緻に組む必要が出てきた。

製造に数ヶ月かかる製品も多い

それぞれの会期のスタートに合わせて、ギリギリのスケジュールで動いているため、これがちょっとでもズレてしまうと会期に間に合わない、もしくは、その製品は送れないとなり、色々な意味で機会損失が発生してしまうのである。以前、このスケジュールを某物流会社が天候悪化を見越してこちらの許可なくズラしたため、会期に間に合わずに、百貨店サイドに迷惑をかけたことがあったのでより慎重になっていた。もちろん、余裕を持ったスケジュールで組めるのが一番良いのだが、実際には中々そうもいかず、ほんのわずかの余裕はあるもののギリギリと言う、やや矛盾した状態を作るのが限界であった。
 そして、残酷にも月日は流れ、あっという間に10月15日を迎えた。しかしながら、今回は、慎重にスケジュールを組んだ甲斐もあり、売れ筋の補充分他、パンフの追加等、8月のお盆開けすぐに日本から送ったものは、全て約1週間前には倉庫に入っていたので、気持ち的にかなりの余裕を持って上海入りできた。上海は、観光ビザの限界である2週間フルでいることが多かったので、この頃になると、上海にもだいぶ慣れ、毎回発生する事件さえ起らなければ、かなり、満喫していた。そして、今回は、ポップアップの後に常設が控えていたので、ポップアップで売り切るというよりは、ポップアップを皮切りに、常設の方に、短期間では決められないお客様を誘導していくことも念頭に置いていたので、いつもよりも色々と気持ち的な余裕があった。

もはや常設のような貫禄であった(笑)

売場のレイアウトに関しても、流石に同じ場所で3回もやっているため、だいぶこなれてきた感もあり、周囲の売場に違和感なく溶け込んでいた。更には、販売員もこの頃になるとレギュラーメンバーとなっていたため、特に事前レクチャーの必要もなく、安心して見ていられた。それもあってか、開始翌日から小物ではあるが、成約し、その後も小箪笥やチェア等、金額こそ高くはないが順調に売れていった。 そして、あっという間に12月となり、気が付けばブレイクとまではいかないもののそれなりに売れており、見込み客も結構いた。まさに、当初想定していたように、決めきれないお客様を常設の方にうまく誘導していく流れもできていた。色々なことが上手くいっており、このままの状態であれば常設も良い感じに推移するのではないかと思っていた矢先に、事件は起きた。
何と、常設スペースのオープン記念の目玉商品が間に合わないことが判明したのである。またしても、某物流会社がやらかしたのである。しかも、今回に関しては、オープン記念の目玉商品と言う事もあり、余裕を持って約2か月前に搬入していたにも関わらずである。いったい何が起こったのかと思い、事の経緯を確認したところ、スケジュール的にかなり余裕があったため、担当者判断で、搬入後2週間以上も放置しており、その後、手配はかけたものの物流会社サイドの書類の不備等もあり差し戻され、更に2週間近くの時間を要し、ようやく出荷のタイミングになったと思ったら、悪天候に見舞われ、船が想定以上に遅れてしまったとの報告を受けた。しかも、到着予定日を確認したところ、おそらくたったの2~3日程度の遅れなのである。本当に残念過ぎる、クソしょうもないミスのなのであった。

やけ酒とやけ食い(笑)

状況的に、ポップアップの商品と在庫分でお店自体はオープンできるものの、数日間は事前告知した目玉商品が無く、売場もちょっとスカスカという、色んな意味でかなりダサい状態になることが予想され、もはや笑うしかなかった。百貨店サイドからは、「またですか」と失笑され、極めて居たたまれない状態で、目玉商品と補充分到着までの数日を過ごしたのであった。結果、オープン3日後に目玉商品及び補充商品が無事に搬入され、ようやく、常設の売場がコンプリートしたのであった。

その後の某物流会社とのハードネゴは想像にお任せします(笑)

オープン後の状況や、その後のコロナ禍での運営については次回書かせていただきます。

メインの売場のコンプリート状態

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