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⑧モンキー125と感動の熊本巡り: 地元の温かさと歴史の軌跡

昨夜は夜更けまで熊本市の街を歩き回った。新市街のアーケード街だ。久しぶりの夜遊びは心地良い開放感があった。

サクラマチというショッピングモールの中のお店で、私は「あか牛丼」を賞味した。これがもう絶品の一語に尽きる。牛肉の旨味と甘辛いタレの相性が抜群だった。

絶品のあか牛丼とデコポンのジュース

夜の街をぶらりとする内に、いつしか私は夢心地になっていた。無酒の身ながら、まるで酔っているかのような浮かれた気分に包まれていた。

どうにかこうにかホテルに辿り着くと、そのままベッドに倒れ込んで夢の中へ墜ちていったらしい。

翌朝、東の空から朝日が覘き見える。窓の外に広がる熊本市街の朝景色は、昨日に続き快晴を予感させた。

「よし、身支度を整えて朝食をすませたら、すぐさま出発だ」

眠気こそ残るものの、ぐずぐずしている時間的余裕はなかった。今日は熊本城と熊本駅の観光を済ませてから、フェリーで島原へ渡り、そこから長崎へと向かう。いよいよツーリングも終盤を迎えているのだ。

ホテルの朝食会場では、豪勢な郷土料理が目の前に並べられていた。私はだご汁、とり天、さつま揚げ、からし蓮根、高菜の油炒め、馬肉みそ、明太子にデコポンのゼリーなど、さまざまな小鉢に盛りつけて味わった。

法華クラブの朝食はとても豪勢でした☺

遠出のたびに地元の味覚を堪能できるのが、何よりの喜びだ。美味なる朝餉を心行くまで楽しんだ。

穏やかな時が流れる朝の静けさの中、私は歯を磨き、出発の身支度を整えた。階下でチェックアウトを済ませると、駐車場に向かった。そこで相棒のモンキー125が私を待っていた。鍵を手に取り、そろそろと出発の時だと感じた。

ところが、駐輪場から外に出ると、にわか雨がぱらぱらと降り出してきた。

「ありゃあ、にわか雨が降ってきたかあ。天気予報では雨は心配ないと言っていたのに…」

昨日の暑さから一転、肌寒さを覚えた。空一面を雲が覆い尽くしている。

それでもツーリングの興奮は収まらない。九州入りしてからの日々は、まさに夢のような体験の連続だった。静かな街道を走り、人々の活気に触れ、歴史の重みを感じた。間もなくこの旅も終わりを迎えるが、そればかりに残された時間への期待がふくらむ。

慌てずにガソリンスタンドに寄り、燃料を補給してから、スマホのナビに従い熊本城へと向かった。遠くから巍然と構えるその城郭の姿が視界に入る。典型的な日本の城という風情だ。

熊本城天守閣を望む

駐輪場に止め、私は最寄の門から中に足を踏み入れた。歴史の荷重を肌で感じずにはいられない。

熊本城は2016年の地震で甚大な被害を受けたことが知れ渡っている。当時のニュースでは城郭の惨状が流れ、修復の難しさが伝えられていた。しかし、映像ではその実態が伝わり切れなかった。目の前に建つ城郭の姿に、胸が熱くなるような思いがした。

本丸の御殿は優先して修復され、その中には入ることができた。展示資料から熊本城の歴史的背景を知ることができたが、最も印象深かったのは地震後の修復過程を克明に記した映像だった。

「みなさん、本当に熱い思いを持って取り組まれたことだろう」  

映像から住民一人ひとりの想いが伝わってくる。郷土の誇りと失った痛手への執念が、修復の原動力となったに違いない。自分の地元にも、同じように愛着のある存在があるだろうか。

歴史的遺産は人々の手によって守り継がれてきた。そういった思いに気づかされた。見学を終え駐車場に戻ると、通りがかりの人々が城郭の威容を写真に収めている光景が目に入った。

「こんなにも大きな被害だったというのに…。それでもくじけずに、ここまで修繕を重ねてきたのだ」  

無残にも崩れ去った石垣と城郭の惨状を前に、胸が痛んだ。決して簡単ではなかった復興の道のりが、目に見えない形で肌で感じ取れた。

城壁の修復作業が進んでいる

風雲急を告げた熊本城。かつては地震の荒波に揺れ、その壮大な姿が危ぶまれた。しかし今、その城は復興の兆しを見せ、かつての誇りと気品を取り戻しつつある。その壮大な姿は、ただただ感嘆に堪える。

一通りの見学を終えると、早速私は熊本駅へと足を運んだ。あの駅舎の風情も、一度は肌で感じてみたかったものの一つだった。

しかし道半ばで、車の進入を制止する標識に出くわしてしまう。どうすれば駅前まで行けるのか、途方に暮れていると、たまたま通りかかったスクーターの男性に声をかけられた。

「熊本駅の写真を撮りたいんでしょう?ちょっと付き添ってあげましょうか。いったんこちらの車線に入ると良いですよ」

「ご親切に感謝します。ちょっとわからず、どうやって駅前に行けばよいのか迷っていたところです」

「ここの信号からだと駅前に入れませんからね。私に付いてきてください。駅の隣に無料の駐輪場がありますから」

親切な男性に導かれるまま、熊本駅横にあるという無料駐輪場へと向かうことにした。せっかくの機会、何がなんでも撮影したい一心だった。  

「どちらから来られたんですか?」

「千葉からまいりました。フェリーを乗り継ぎ、四国から九州へとやって参りました」

「おおっ、それはすごいですね! 赤バイク(原付二種のナンバーがピンク色のため)でそれだけの長距離を走るなんて」

「はい、ありがとうございます。最初で最後かもしれませんが、とにかく楽しみたくて」

信号待ちの間、そんな会話を交わしながら、男性は青信号の機会に私を手振りで誘導してくれた。

やがて熊本駅の真横の駐輪場に着いた。なんと本当に無料なのだ。感激のあまり、バイクを置いた後は近くに停めた男性に感謝の言葉を述べずにはいられなかった。男性は笑顔で手を振り返してくれた。この土地の人々の温かさに触れ、心からの感謝の念が沸き上がった。

男性と別れた後は、熊本駅正面に出た。私は何故か地方の駅が好きだ。ツーリングの度に地方都市の駅を訪れ、写真を残すようにしている。

JR熊本駅をパチリ✨

時刻はお昼少し前になっていた。朝がっつり食べてきたので特に空腹は覚えていなかったが、せっかくなので駅中にある熊本ラーメンの店に入った。

熊本ラーメンをペロリと平らげてから、さて次は島原行きのフェリーだ。再び駐輪場に向かうと、嬉しさのあまり口走ってしまった。

「いいぞ!このツーリングは最高だぞ!」

周りに聞こえそうな大声で、そう呟いてみた。

念願の熊本ラーメン、駅内にある「天外天」にて。美味!

<筆者 自己紹介>
私は現在40代後半に差し掛かり、子供たちも徐々に自立し、自分の時間を満喫できるようになりました。免許を取得したのは30代後半でしたが、仕事と家庭のバランスで中々バイクに乗る機会がありませんでした。しかし、最近になってようやく自分の時間を楽しむ余裕ができました。大型バイクは維持にお金がかかりますが、手軽に乗れて維持費も抑えられるバイクを模索していました。そこで私が出会ったのがモンキー125です。このブログでは、私のモンキー125にまつわるエピソード、ツーリングの思い出、カスタムの詳細など、私自身が体験したことを共有していきます。
それに加え、私のYouTubeチャンネルでもいくつかの動画を公開していますので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。🏍️✨
モンキー125の走行シーンと独特のサウンド、そしてツーリング体験を、まるで現地にいるかのようにお楽しみいただけます!ぜひご覧ください👇

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