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「JapanExpo Sud」を通じてみるフランスでの日本ポップカルチャー

2020年2/28~3/1にフランスのマルセイユにてJapan Expo Sudというイベントが開催されました。

日本にいた頃からJapanExpoに興味があり、参加してみたいなと思っていたので留学中でバカンス期間だったということもあり参加してみたのですが、日本人が行っても日本文化があるだけで面白くないだろうと思うじゃないですか。

いや、普通に面白い

ロックダウンやEU圏内の航空便削減などの影響で緊急帰国せざるを得なくなり、てんやわんやな日々を過ごしていたため、かなり遅れましたが、私のコロナのパンデミックで短縮された七ヶ月間の留学での体験を絡めながら、JapanExpoを通じてみる日本のポップカルチャー・サブカルチャーについて書いていこうと思います。

(※あくまで個人の感想と考えであるということを念頭において読み進めてください)

JapanExpoってそもそも何か?

JapanExpoとは、ヨーロッパ各地から、漫画からJ-Pop、ゲーム、民芸にアイドルやボカロまで様々なジャンルの日本文化を愛するものが集うイベントです。

JapanExpoには2種類があり、Japan Expoはパリで開催され、Japan Expo Sudはマルセイユで開催されるイベントです。

Japan Expo Sudはパリで開催されるものと比較すると規模は劣ります。

この二つは通常は交互に半年周期で開催されます。

なぜフランスでJapanExpoなのか?

フランスでなぜJapanExpoなのか。ここは疑問に思う方が結構いらっしゃるのではないかと思います。

でもJapanExpoは世界最大級の日本ポップカルチャーイベントの一つとしてフランスで1999年から開催されているのです。

みなさんがエンタメ市場として日本よりも大きい国をイメージすると、どうしてもアメリカや中国が真っ先にくると思います。

しかし、意外と知らない方も多いのですが、フランスは世界で日本に次いで漫画が読まれている国です。

そのため、日本の漫画ファンや任天堂やSEGAのゲームファンもフランスでしばらく過ごしていると会う機会は多いですし、アニメの影響で、道端で日本語を話す機会があると日本語が話せないフランス人でも日本人だと認識して話しかけてくれる方も結構いました。

それを踏まえるとフランスで日本ポップカルチャーイベントを開催はかなり需要があると思われます。

実際、私が留学していたフランス南東部のリヨンでもJapan Touchというコスプレイベントが開催されていました。

リヨンにはSEGAさんのヨーロッパの拠点が存在していますし、リヨンやパリにはフランス国内でもトップクラスで日本語学科が優秀な大学がある影響か、特に日本を含むアジア圏に関心が高い若い世代が多い印象があります。

JapanExpo Sud 2020の様子

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JapanExpo Sudは主に、企業ブース・アニメ関係やロリィタ服や着物といった日本独自のグッズを取り扱うブース・同人ブース・ライブやイベントブース・民芸ブースで構成されています。

これ以外にもご飯を食べるための出店が複数ありました。日本食はもちろん、ホットドッグなどの軽食も食べることができました。

企業ブース

NintendoやSEGAの歴代ゲームが遊べたりする場所があったり、新作ゲームでゲーム実況で有名な方(?)が参加者とバトルしてその様子を実況している場所もありました。

Harry Potterに関するものも企業ブースとして出ていたので、このイベントでは特に「日本文化」にこだわっている訳ではないのだなと感じました。

(ヤクルトさんの出店があり、フランスで久々にヤクルトを飲むことができました笑 美味しかった…)

アニメ関係やロリィタ服や着物を扱ったお店

出店しているお店の中には韓国・ベトナム・中国から出店されたお店もたくさん。

他にもハリウッド映画作品のフィギュアやポスターが日本のアニメ関係の商品と一緒に扱われているお店や、k-popのアイドルに特化したお店や、中国製のロリィタ服や着物を取り扱ったお店もありました。

私が見た限りでは、日本関係のものを扱ったお店だと、アジア系はたくさん見られたものの、日本人が出店しているお店はほとんど見られませんでした。

同人ブース

フランス人に限らず他のヨーロッパからのクリエイター参加も目立ちました。(ブース前に「○○出身で、フランス語は話せないので英語で話しかけてください」と書いてあるところもちらほらありました。)

同人ブースに関しては、アジアからのサークル参加はあまり見られませんでした。

扱われているジャンルは、その期の放映アニメよりも、ディズニーやNetflix Franceで視聴できるアニメが中心で、二次創作のイラストが目立ちました。

日本風のアニメのタッチとはまた違った作品を描くクリエイターさんたちが多かったので、文化の融合という印象を受け、興味深かったです。

ブロードウェイミュージカルの二次創作もちらほら見られたので、日本よりも版権がゆるいというのもあるのか、本当にジャンルは自由でみんな好きなように描いていました。

(日本よりもアメリカのエンタメを普段からみる層が多い&言語的にフランス語と英語は近いというのもあり、日本よりもディズニーやブロードウェイミュージカルやアメリカの洋画に関する二次創作が盛んな印象を受けました。)

完全オリジナルの小説や漫画も販売されていましたが、語学力的に日常会話が限界で、フランス語で小説を読むのはまだ難しく、よく分からなかったので今回は割愛します 笑

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参加者の様子

プチコミケという印象で参加したので、始発ダッシュのようなものがなかったのにまず驚きを受けました。

フランス人の国民性が出ているのか、全体的にゆるい笑

参加者の結構な人数がコスプレをしていて、ガチコスプレ勢も一定数いて、ジェダイがBB-8連れて歩いていもするのですが、大半がゆるいキャラのかぶり物をしていました。

コスプレジャンルもキャプテン・アメリカンから「賭ケグルイ」や「ダンガンロンパ」、フランスのCGアニメの「ミラキュラス・レディバグ」のキャラまで歩いている感じなので、東京コミコンにコミケが混じったような、不思議な視界が広がっていました。逆にコミケで見られるネタコスプレは見られませんでした。

作品ジャンルは二次創作で使用される作品と同様、やはりNetflix Franceで視聴できるアニメのキャラが大多数。

参加者のコスプレの様子からみる限り、「鬼滅の刃」「ダンガンロンパ」「ゼロから始める異世界生活」「進撃の巨人」が人気な印象です。私が所属していた大学の学生の間でも「進撃の巨人」と「鬼滅の刃」はダントツの人気を誇っていました。

このリストをみる限り、フランスで購入可能な漫画、あるいはPS4などで日本国外でもプレイ可能なゲーム原作が人気が出やすいのかと思われます。

全体的な印象

以前、日本の東京コミコンに行った時にも感じたのですが、JapanExpoもエンタメをどこの国発祥かは問わず扱っている印象を受けます。

「JapanExpoなのになぜ?」と最初は感じていたのですが、留学中日本の文化が好きなフランス人は他のアジア圏の国への関心も強いことが多い印象があるので、そこが大きな要因だと思いました。

これに対して批判的な意見を抱く方もいらっしゃるんだろうなとは思いますが、個人的には興味深かったです。

これをきっかけに日本の文化に興味を持つ人たちもいるでしょうし、海外の方に日本のポップカルチャーに興味を持っていただく入り口として素敵なイベントだと思いました。

こちらはパリでのJapanExpoなのでSudとはまた異なるのですが、雰囲気を掴む上で参考になる動画なので貼っております。

JapanExpo Sudの課題

(あくまで個人の主観です。JapanExpo Sudの方にしかフランス滞在中に参加することができなかったので、そちらのみについての個人の考えであることを念頭に置いてここからは読み進めてください。)

JapanExpo Sudは私自身かなり楽しんだのですが、課題と思われる部分もありました。

その一番の課題と思われる点が日本からの出店がほとんど見られないことです。

販売されている安価なアニメグッズは価格帯的におそらく日本の製品ではないものが多く、ロリィタ服・着物は中国製のものと見られる裁縫の甘いものが多く販売されています。

また、日本からのサークル出店がほとんど見られませんでした。

もちろん、これは日本を含むアジアの文化を知るという入り口としてのイベントとしては非常に良いと思うのですが、一人の日本人としては「日本の文化を好きな人が楽しむ」というイベントのコンセプトとして大丈夫なのだろうかとも不安に思いました。(以前パリのJapanExpoに参加した方も同じような状況だったと耳にしているのでSudだけの状況ではなさそうです。)

日本のポップカルチャーを扱うヨーロッパのイベントの中でも最大規模のイベントなので、競合もそこまでいないでしょうしビジネス的に問題なさそうですが、私の周りのコアな日本好きのフランス人で日本を知っていくうちにどんどんJapanExpoには行かなくなってしまったというのも聞きました。

JapanExpoにサークルなどで出店していた方々の話を聞いてみると、日本からの出店が少ない状況になっているのには2つの理由があるそうです。

①日本からの遠征費用で、そもそも売り上げよりも交通費が上回り、赤字になってしまう。

②中国製の安価な商品が販売されているため、参加者がそちらで購入してしまう。そのため、自分の商品が売れない。

この2点のため、何度かJapanExpoに遠征はしたものの、日本からの参加を諦めるクリエイターが多数いるというのが現状です。

今年のパリでのJapanExpoは残念ながら中止の運びとなったそうですので、これからどのような方向になっていくのか・内部の事情は全くわからないものの、この点が課題になってくるのではないかと感じました。

フランスのコスプレとTikTok

コミケでよくある、コスプレイヤーがいて、それをカメラマン(カメコ)が撮影するというのはほとんど見られませんでした。(一部いたにはいましたが極少数)

むしろ、コスプレイヤーがコスプレイヤー同士で集まってセルフィー(自撮り)を撮影し、その後はTikTokでリップシンクやダンスを音楽(アニソンやk-popやアニメの音声)に合わせて撮影するというのが主流だったように感じられます。

日本でも同じようにTikTokでの動画撮影は盛んなのでその点はフランスでも変わらないのですが、コスプレ姿を撮影してもらうというのはフランスではあまり浸透していないようでした。

フランスは日本よりもTikTokの利用率は低いものの、日本を含むアジアに関心の強い層はTikTokを利用している子も多いようです。

文化は土壌によって変化していくもの

文化はたとえ同じ国でも時間が経てば変化するのですから、もちろん国を変えれば大小はあれども変化は免れません。

それをあーだこーだと外部が言うのはナンセンスですし、結局日本のアニメや漫画文化は少々形を変えながらも楽しんでもらえているのだと感じられるイベントでした。

他のアジア文化とちゃんぽんになってしまっている印象は受けましたが、個人的にはそれも文化の変化の一つなのだと思います。(フランスで寿司は人気ですが、それも日本のものとはかなり形が異なりますしね)

日本のポップカルチャーを知ってもらう入り口としてうってつけのイベントが存在することは素晴らしいことですし、そこから日本文化を深く知っていってもらえるイベントでもあると思います。

ただ、現地の方が日本のことを深く知って、掘り下げていくうちに足を運ばなくなってしまう傾向があるというのは少々もったいない気がしてなりません。

その点に関しては日本からの出店やサークル参加が増えることが改善につながるのではないかと感じます。内部の事情が全くわからないので何も言えませんが、出店の規制などが鍵を握ってくると思います。

オマケ

(ここはオマケで、今後JapanExpoに行ってみたい日本人へのアドバイスですが、会場周辺や公共交通機関の待合周辺にはたくさんの詐欺を働こうとする人や変な人が多いです。外国人観光客と見分けがつきやすい、アジア人一人旅(特に女性)は格好のカモなので特に注意が必要です。

私自身、JapanExpoの募金詐欺をしてこようとした人と口論する羽目になりました笑 経験上、フランスの土地勘のない場所ではフランス語も英語も話せないフリが得策かもしれません。語弊があるのは百も承知なのですが、もちろん日本と同様フランス人の大半の方は良識がある方々です。しかし、海外慣れしていない外国人だとわかりやすいとそういうヤバイ層に絡まれる確率が高くなりますので念頭に入れといてください。

JapanExpoのスタッフの方は日本に関心がある方も多く、日本語が通じる方も多いので、万が一面倒なことに巻き込まれそうになったらオフィシャルスタッフに助けを求めるのをオススメします。)

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