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かぼちゃパイと杉本好伸著『吉祥院本「稲生物怪録」』

 昨日は立冬、今日は皆既月食+天王星食。天体は日々動いておりますね。
 本日の特記事項としましては、ハロウィン名残のかぼちゃパイを焼きました。冷凍にしておいた蒸しかぼちゃと冷凍パイシートを使えばベーキング込みで一時間もかかりません。
 おやつは欲しいが麓まで買いに行く元気がないなんて時は夏はゼリー、冬はパイに限ります。手間がかかりませんからね。

 さて、本日から最近読んだ本、昔読んだ本をランダムに心のまま紹介していこうと思います。(ちょっといろいろあったもので)
 初回ご紹介するのは杉本好伸著『吉祥院本『稲生物怪録』 怪異譚の深層への廻廊』です。

 みんな大好き稲生物怪録ですが、文学方面からの研究はさほど前面に出てこない状況が続いていました。それを一冊で悠々打ち破ったのが本書です。
 お書きになった杉本好伸先生は近世文学の専門家で、国書刊行会から出ている『稲生物怪録絵巻集成』の編纂者でもいらっしゃいます。お化け関係の皆さんにはおなじみの堤邦彦先生ともお親しいのだとか。
 これまで長い時間をかけてやってこられた「稲生物怪録」諸本の綿密なテキスト研究の成果に、吉祥院本と呼ばれるものの本文、あらすじ、影印を加えたこの大著、もちろん正統派の研究書だけれども、同時にこれまで知られていなかった「稲生物怪録」の本当の姿が次々暴かれていく、スリリングな知的冒険の書でもあるのです。
「みんな疑いもせず実在の人物と考えていたあの人が、実は架空だったなんて!」
とか、
「平田篤胤、やっぱりお前か!」
とか、冒頭から驚愕の事実が乱れ打ち。千本ノック状態です。
 稲生物怪録を知っているつもりの人ほどおもしろく感じるのでは?
 同時に、大学で国文学をやった経験がある人は、なんとも懐かしい思いに浸れると思いますよ。私なんぞは、行間からかつて受けた教えの数々が蘇ってくるような、そんな気分になりました。
 我流で妖怪研究をしている向きには、学問としてまっとうな研究方法を学ぶのによい手引きにもなるかと。
 一冊で税抜き9800円というなかなか目を剥く価格ではありますが、お値段以上の知識と興奮を得られること間違いなし、です。




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