新春家事と大濱普美子『十四番線上のハレルヤ』

 三が日が終わり、四日から仕事始めとはいえ、まだ気分的にのんびり感が残っています。けど、そろそろ気を持ちを引き締めないといけないし、今日は朝から張り切って掃除と洗濯をしてみました。家事も仕事のうちですから。
 で、物書き仕事の方はといいますと、ちょっと滞り気味の「もっと文豪の死に様」を進めると同時に、二月から新連載「老い方がわからない」(仮)を始めなければいけません。目下執筆中でして、更新日&連載開始日など詳細決まりましたらこちらでお知らせします。どうぞご注目ください。
 また今月はいくつか書評やエッセイが複数媒体で掲載されると思いますので、こちらも出次第告知いたします。他にも新しい案件をいくつか進める予定。乞うご期待。
 
 ライター仕事は随時募集しております。何かありましたらinfo*monga.jp(*は@に置き換え)までお気軽にお声がけください。(年始の宣伝)

 さて、本年紹介する本の第一弾はこちら。大濱普美子『十四番線上のハレルヤ』です。

 大濱普美子さんといえば『たけこのぞう』で鮮烈なデビューを果たし、昨年『陽だまりの果て』で泉鏡花文学賞を受賞されたことで俄然注目を集められました。
 『十四番線上のハレルヤ』はその二作の間、二つ目の作品集です。
 表題作を含め六作の短編が収められていますが、私が一番好きなのは巻頭作「ラヅカリカヅラの夢」に出てくる虚言癖婦人でして。文字通り息をするように嘘を言う女性が、一つの会話の中で自らの設定でしたはずの境遇話すらどんどん変えていってしまう。その目まぐるしさは万華鏡のようで、現実にこんな嘘つきを目の当たりにしたらあっけに取られるだろうけれども、小説だと一人の人間からマルチユニバースが次々と噴出していくのを眺めているような、なんとも不思議な体験ができるのです。
 著者は日常と幻想をたくみに織り交ぜ、くるくる捲りながら、物語を紡いでいきます。このリズム感、そして完成品の風合いは他に類を見ない。
 「この人にしか書けない世界」を見せてくれる作家さんって貴重です。
 寡作な方なのですが、受賞を機会に作品発表の場が広がるといいなあなどと願っております。
 それにしても、日本の現代幻想文学は圧倒的に女性優位ですね。皆川博子さん、山尾悠子さん、梨木香歩さんなどなどあげるとキリがありませんが、この方々は私にとって世界を生きる価値あるものにしてくれる恩人です。

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