見出し画像

香りと匂いが奏でる日替わりハーモニー

朝10時の商店街を歩いたら、パンが焼き上がったような、ほわっとした匂いが漂ってきて、なんだか得した気分。
それは、自家製の焼き立てのパンを食べた時に感じた記憶を呼び起こす。

先に進めば、お惣菜のような香ばしい匂いに変わり、まだお腹は空いていないけれど、これにつられてついつい昼食用に買っていこうかしら……と、そのお店に吸い込まれる人が何人いるだろうか。

同じ商店街でも、ジェノヴァの目抜き通り、先日のヴェンティ・セッテンブレ通り(9月20日通り)で、あれほど香水の香りを感じたのは、はじめてではないだろうか。
化粧品店の近くだけかと思ったら、あの長い通りを歩く間、ほのかにずっと香っているのには驚きだった。それは、かすかに甘い、色にたとえると淡いピンク色のような香で、まったく煩わしくはない。
たくさんの人が行き交っていたので、彼ら・彼女らが身に纏っているパフュームが交わりあって、あの香りができあがっていたのだろうかと、
屋外では可能性が低そうなことを考えた。
また、辺りには、花屋の店頭は別として、街路樹などは見当たらないのに、芳香を放つ花でも咲いているところがあるのだろうかと思ったりも。

家の付近を歩いている時には、4月頃は特にトベラ(pitosforo)という白くて小さい花が咲く街路樹が芳香を放っていた。前からその木の存在は知っていたものの、これほど辺りを甘い香りで包み込む力があることには、はじめて気が付いた。
数年前、ジャスミンの香りが100メートルほど離れた家の庭から風に運ばれて届いた時にも、新鮮な驚きがあったものだ。
トベラは、ジャスミン以上に、ここかしこに植えられているので、その香りのパワーはつよい。

土曜日のお昼時には、パン屋から流れてくるフォカッチャの匂いや、どこかの飲食店で揚げているだろう魚介のフリットの匂いを堪能できるのが定番コース。ああ、美味しそう!

海辺を歩いても、日によって汐の香りの強さは異なるのだけれど、海を感じるモチーフとしては、多少の匂いがあったほうがリアリスティック。雰囲気を盛り上げる効果を担うだろう。

さて、この後はどんな香が感じられるかな。

ジャスミン


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?