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彼は手紙が書けなかった...
子どもの頃から手紙を書くことが好きだった。
今の子どもだったら、チャットやメッセージなのだろうけれど。
とは言え、アナログに紙に記すか、デジタルに打って送信するかの差が問題なのではない。
グッと来る内容、読みごたえのある私信が書ける人は、紙の手紙でも、電子媒体のメッセージでも、文面については同じことだ。
ただ、紙の手紙の場合、内容は別として、レターセットや切手の選び方、文字の雰囲気などで+αの個性が伝えられる。
以前は、メールやメッセージが出てきてからも、普段から会ったり話したりする人たちに手紙やハガキを送ることがよくあった。
時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
無地の縦書きのシンプルな便箋と封筒に、フォーマルな様式の文体。丁寧ではあるものの、どこかの文例集を丸写ししたような文面。
線の細い女性的な繊細な文字。
見た目には上手で美しい。
たしかに、その文字はその人の達筆さを現していた。
ところが、毎回、その書簡の便箋を開く度、わたしはどうしようもなく物足りなさを感じていた……
これは、受け取っても受け取らなくても同じことかもしれない、と。
人それぞれ重視することは千差万別。
世の中には、文章を書かない人も星の数ほどいるだろう。
ただ、わたしにとってはそれは重要な要素だと気が付いてしまった。
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