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ザギンのOYATSU #書もつ

読むんじゃなかった。

読み進めたら、負ける・・。

空腹時には、絶対に、読まないように。

この作家さんの事細かな視点は分かっているつもりでした。目次を見ても、なんとなく知っているお店もありました。

それにしても、羨ましいぃぃ。

先に踏み入れた者からの忠告は、ぜひ参考にされて、この作家の「見せびらかすような描写」にヤキモキしてください。

毎週木曜日には、読んだ本のことを書いています。

おやつが好き お土産つき
坂木司

視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚・・五感を駆使して描かれる「おやつ」のこと。細かいのではなくて、緩急自在の視野に驚かされる。

くうぅ・・食べたいなぁ。

ちなみに、おやつの語源は「時刻」です。当時の「八つどき」に、丁寧語の「お」がついて、短縮されたもの。最近は、美味しいお菓子屋さんの店名としても「やつどき」って聞いたことがある方もいるかも知れません。

美味しいに決まっているのです。

読む前から分かっているんです。

何かと言うと、ここに出てくるおやつたちは、ザギンで買えるものばかり(銀座)。

とはいえ、高級店に入りまくって、庶民が食べられないおやつを食べて、想像できない味の描写をするような、そんな悪趣味な作品ではありません。

フードエッセイは、その店の雰囲気や、味の表現、食材の出自、食文化への考察など多岐にわたる視点によって、食べることへの興味が刺激され、書き手と食の関係性が滲み出ることで、ふだんのエッセイとは違った価値があるように感じます。

作家の豊富な語彙によって、読み手の口の中にも同じ状況が再現されそうな臨場感があります。いやこれ、試食とかつけて売って欲しかった(笑)

紹介されているおやつを、少しおすそ分けします。

まず感じたのは、食感です。サクサクのホロホロ。口の中でかしゅっとほどけて、やさしく広がるのです。こんなにきめの細かい、パウダーのような小麦粉を私は初めて食べました。
ウエスト ドライケーキ
余談ですが、わたしはおせんべいを食べたとき、奥歯のほうで砕けたせんべいが摩擦で熱を持つ感じが好きです。
瑞花 うす揚
それは子どものころに信じていた世界。 〜略〜 未来を目指しながら置いてきぼりにしてきたものをすくいあげるようなやさしさに、ふと切なくなりました。ああ、白いふかふかパンのお布団で泣きたい。
銀座千疋屋 フルーツサンド
おお、これは栗度が高いと食べ進めてゆくと、中心に濃いめの生クリームが出現。 〜略〜 そして下のほうには、かしっと焼き締められたメレンゲが。上のクリームと一緒に口に入れると、とろりさくりほわり、と口の中で消えていきます。
銀座みゆき館 和栗のモンブラン

こんなに短い引用だけでも、口の中で何か起こっていることが見えてくる気がします。

おやつを楽しむ、ただそのために、時間を使って、そして気持ちよく過ごす、こんなに贅沢なおやつ時間は大人の特権なのかもしれません。

また、和菓子の話題の時には、作家の作品である「アン」シリーズがふと思い出されます。膨大な取材と、多くの感動によって、一つ一つのお菓子が描かれていたことを知って、また読み返したくなりました。

「読書は人生のおやつ」

どこかで読んだこのフレーズは、これからも僕を励ましてくれそうです。



#おやつ #推薦図書 #読書 #銀座 #坂木司 #スイーツ #エッセイを読む


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