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新しいおみやげ

その店は、今まで見てきたどんな店よりもきれいでした。遠出した週末に出会った、珈琲豆屋さん。旅先での、不意の出会いに感謝するとともに、ぜひコーヒー好きには知って欲しいお店です。

毎週月曜日は、旅の記録。
先日、家族で山梨県へ行ってきました。

ふつう、珈琲豆は焙煎されていて茶色くツヤツヤしているものが並んでいることが多いから、そのツヤめきが美しく感じられることは否定しません。

でも、生豆(なままめ)と呼ばれる、淡いグリーンの豆が、同じ大きさの瓶に詰められて並んでいる様子もまた美しかったのです。

店内には、初めて見る機構の焙煎機が置かれていました。縦長で、お洒落なストーブと言った印象でした。丸いガラスボールに、チャフと呼ばれる珈琲豆の表面の薄皮がくるくると回っていました。

この焙煎機を見て欲しかったし、
この店は地元の若者に向けた
メッセージのような店なんです。

勢い込んで、お店の方に「この店、すごいですね!」と話したら、オーナーさんを呼んできていただき、こんな話をしてくれたのでした。


僕たちは、初めてお店にきた人ということで「試飲しながら、豆を選んでもらう店です」と説明をもらいました。小さな紙コップを受け取って、コーヒーが注がれて試飲。

小ぶりのタンブラーに、番号を書いた付箋が貼ってあり、番号は、豆の瓶の横にあるカードにも書いてある。その数、50。・・多い。

珈琲豆の専門店と謳う店でも、こんなに並ぶことはなさそう。店内は広くて、壁に作りつけた棚に豆が並んでいるけれど、圧迫感はなくて。

味の好みを伝えたり、提案をもらったりして、どんどん試飲。その度に色とりどりのタンブラーからコーヒーが注がれ、僕は、こんなに試飲が気軽にできるなんて!と感動していました。

ふわっと香るもの、コクが広がるもの、後味がさっと消えるもの、好みが分からなくなるくらいに、それぞれ個性が出ていました。コーヒーが美味しくなる季節だなぁとしみじみ。

見回してみると、「ブレンド」と書かれたカードは無さそうでした。

すべて、シングルオリジンと呼ばれる、単一種類の豆たちだったのです。それに気がついて、また驚きました。

オーナーさんは、東京で仕事をしていたけれど、独立して地元に貢献したいと、その店を始めたのだとか。稲城から来た、というととても嬉しそうに、仕事で行ってましたよー、と言ってくださったのです。

知っている場所を共有できると、心の距離は一気に縮まるもので。どの豆も買って帰りたかったけれど、鮮度の問題もあり、とりあえず2種類。

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「なんか食べたい」と言う子のために、カウンターに並んでいた焼き菓子を買ったり、同じ店内にあったドライフラワーのお店をのぞいたり。

ちょっとだけ覗いてみよう

と、足を踏み入れて、たっぷり30分ほどいてしまった。お店の外には、豆の自動販売機もあったけれど、なによりも見た目がお洒落なお店。

桃と葡萄だけじゃない、
ここで暮らす若者が、
夢を持てる場所にしたいんです。

珈琲が好きで、堀口珈琲がある街に暮らしたオーナーさん。店で淹れているコーヒーは、特に難しいことは言わずに、量をきちんと測るだけ、と笑っていました。

「誰でも淹れられる」そんな手軽さは、シングルオリジンを扱う店では聞かれない、“逆の”こだわりでした。

それを聞くと、買い手も肩の力が抜けて、ドリップするのが楽しみになるのです。

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店名も、優しくて温かい。

シングルオリジンの珈琲豆が、山梨の、新しいおみやげになりました。

おしゃれなサムネイル、infocusさん、ありがとうございます!冬の始まりに、暖かいコーヒーは似合いますね。あぁ、美味しいコーヒー飲みたいなぁ。



#山梨 #山の焙煎所 #コーヒー #シングルオリジン #夢

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