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鋳物工場のモンブラン

自己紹介のところにもありますが「モンブラン」が好きです。

もちろん、ケーキのほうです。好きすぎて、こうして書く時には何度も「モンブラン」と書いてしまうため、読みやすさを重視して「モン」と短く表記することにしています。久しぶりに、モンのことを書いてみたくなりました。(いや、読みにくいから、と妻からのツッコミはありました)

それは一つのお店との出会いから始まります。

FOUNDRY

店名のFOUNDRYは、日本語にすると”鋳物工場”・・・え?どゆこと?

僕が初めてこの店を知ったのは、大宮駅で新幹線に乗り換えるときでした。いままでに見たことのない形をした大きなケーキと、キラキラのフルーツ(ゼリーを塗っているのと、たぶんケースの照明がすごく明るかった)に目を奪われました。食べたい・・・。

また別の時期に店の前を通りかかると、以前見かけたお店ではないかのように、ケースに並ぶケーキが様変わりしていました。良く見ると、生ケーキの種類は少なく、4種類程度しかなかったように思います。

そこに、モンがいたのです。一般的な糸状のクリームで絞りだして縦に重ねるように巻いてあり、チョコスティックが刺さっていました。大きいうえに、この形って何なの・・と驚いてしまいました。

この時も、残念ながら購入することが出来ず、いつかきっと・・と思いながら、その時を待ちました。

と思っていたら、異動によりターミナル駅が最寄りの職場に変わりました。駅ナカと呼ばれるお店が集まった場所や、地下街、ショッピングモールがある、憧れの都会(笑)・・そこに、この店を発見しました。

慌てず騒がず、秋を待ちました。

すでにお店のHPで、季節にあった果物をつかったケーキしか出さないことを読んでいたからです。ケーキの金額も、他の店にくらべて高めでしたが、大きさやその意義を知ると、むしろ当然だろうなぁと思っていました。

そして、秋になっていよいよモンの登場です。お店に行くと、以前みかけたモンのほかにも、いわゆる一般的なモンがありました。イタリア栗のモン、そして和栗(小布施栗)のモンでした。

和栗のモンについていた数量限定の文字が気になりましたが、まずはお店の看板モンを。

「イタリア栗のモンブラン」

外側のチョコスティックははっきりしたビター、焼き栗は香ばしくて、しっとりしたマロンクリームとあわせると、味の変化がありました。中のクリームはマロンクリームに合わせた甘さホイップとカスタードが重なっており、台はアーモンド系の柔らかい台でした。

モンによっては、アクセントに酸っぱい味を入れたりするのですが、僕の経験上その役目はカシスが担うことが殆どで、個人的にはそれがアクセントにしては強すぎて苦手な味でもありました。

お店によっては粒のカシスを入れているところもあり、工夫はあるのですが、栗の淡い甘さが吹き飛んでしまうくらい強い味には、モンとしてのバランスが取れていないように感じていました。

そして、この店もまたアクセントが存在していました。でも、何だか優しい・・。何度か食べながら考えてみると、オレンジのような風味・・。後日、お店に行くとアイテムカードに「オレンジの隠し味」と書いてありました。なるほどです。

そんな風に、それぞれの素材の味がしつつ、まとまったモンになっていました。ボリュームもかなりあって、パフェを食べているような感覚。とても美味しかったです。

「和栗のモンブラン(小布施栗)」

そして、次に数量限定だったモンを。店頭から無くなってしまうのが不安で、イタリア栗のモンブランから日を開けず、昼休みに速攻で買いにいったモン(笑)

写真だととても分かりにくいのですが、トップにある栗の渋皮煮の大きさがとても大きくて驚きました。5㎝くらいあったように思います。

栗は、ご存知の通り処理がとても面倒くさいのです。一般的な甘露煮は、あのきれいな色合いと粒感を出すために、渋皮だけでなく、実も多くの部分を削り取ってしまいます。

なので、渋皮煮というだけで僕はとても嬉しくなります(僕は、栗の生まれ変わりかも知れません笑)。しかもとても大きい。産地によっては、大きな栗を甘露煮にして一粒1,000円程度で売るところもあるにも関わらず、ケーキに乗せるなんて・・と驚きました。

一口目にその甘露煮を頬張りましたが、しっかり味がして、きゅっとした酸味が残り、食感も抜群でした。正直、この甘露煮が食べられただけでも幸せでした。

和栗特有の淡い甘さと、頼りない香り(笑)洋酒も殆ど感じられないほどに、素材の味を出しているようなマロンクリームでした。中は、おそらくホイップとカスタードを混ぜたもので、台はチョコでコーティングされたメレンゲでした。

がっつりとしたクリームにマロンダイスが隠れていたり、メレンゲがヘーゼルナッツ風味だったりと、あのイタリア栗のときのように工夫がこらされていました。

前回がパフェなら、今回のは”ご飯”という感じでした。たっぷりのボリュームで、国産のしかも小布施の栗というのは価値があるモンでした。

そして小布施栗のモンが、たった1ヶ月ほどでケースから姿を消しました。数量限定だったから仕方ない・・と思ったところに、新たなケーキが。しかも色はモン・・ケースに近づいてみると、「新栗」の文字が・・今年獲れた栗を使ったモンって・・普通はそういう栗じゃないのか・・という発見。そして、ドレスのような造形は独特で、一体どんな味がするのか気になりました。

「新栗のモンブラン」

バター風味が豊かなマロンクリームは、見た目よりもしっかりと固めでした。トップの栗は小布施よりも小ぶりでしたが、しっかり甘くて期待が高まります。栗の粒感が残るマロンクリームがはがれると、栗のムースを固めたようなプリンのような中の素材が・・。ホイップが控えめになっていて、それまでのモンよりも甘さが抑えられている印象でした。

台は、柔らかいフィナンシェのような台で、この台がしっかりと甘かったように記憶しています。

実は、このモンだけは去年も食べていました。なんとなく最近の事のように書きたかったのですが、去年と比べたことをどうしても書きたくて、白状しました(笑)

去年も新栗のモンはありました。今年のほうが、去年よりも小さくなった印象があるのです。

これは推測ですが、今年は果物があまり生育が良くない年だったのかもと思っています。稲城でも、梨の出来はあまり芳しくなく、その理由は季節外れの降雪でした。花が咲いた頃に雪が降り、日照不足もあって、あまり大きく育たなかったのだそうです。

▲  ▲  ▲

どのモンも、素材や味のことをきちんと考えていて、単に材料を変えただけではないこだわりが見えました。個人的には、モンは日本独自の発展を遂げたケーキだと思っています(世界を知らないだけかも)。

1つの店だけで、こんなにも作り込めるのは職人の心意気もさることながら、このケーキ屋の矜持のようなものが大切に守られているからではないかと思うのです。

買ったケーキを持ち帰るとき、袋の店名の下には、Respect&Thanksと書かれています。それを発見したとき、この店のケーキを買ってよかったと思いました。果物そのものやそれを作った農家の方々への思いを、消費者としてケーキを楽しむ僕たちが受け取って昇華させる。

その証拠に、FOUNDRYの生ケーキは、どれも期間限定なのです。時期が変わると、ケースの風景が一変します。そして、何種類ものケーキが並ぶことはありません。美味しい時期の果物しか使わないからです。

ショートケーキやタルトなど、決まった形のあるケーキは、季節ごとに果物が変わりますが、飾り付けも果物に合わせているのがすぐにわかります。ほかの店に比べて値段は高めですが、果物の美味しさが違うような気がします。

数えてみると週1回くらいモンブランを食べているかもしれません。

子どもの頃、ケーキはとても嬉しいおやつでした。大人になって、かなり有り難みが減ってしまうくらい食べてしまっています。そんな中で、国産や旬にこだわって作られたケーキは当たり前のようでいて珍しいのかも知れません。

この店に限らず、どのモンブランも美味しくて、そのたびに「こういう発想もあるのか」と発見がありました。僕はモンブランを作ることもなく、食べるだけですが、健康上支障がなければ、これからも食べ続けていきたいです。

長々と、失礼しました。
モンブラン、美味しいですよ。

#モンブラン #好きなもの #ケーキ #偏愛 #栗好き #FOUNDRY #とは

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