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嘘をつくとき、魚肉ソーセージ

毎週月曜日には、読書の記録を書いています。

今日はエイプリルフール。これもカタカナの名前だから、外国からやってきた習慣?なのでしょうか。

仕事のことで考えたら、毎年、嘘みたいに忙しくなって、嘘みたいなことが起こって、嘘じゃない現実の始まりがあって。今年は異動じゃないから、自分のことは全く不安じゃないけれど、周りがぐるりと変わってしまうから、来る人は大変ですよねー、なんて思ってしまいます。

嘘をつくことは悪なのか、優しい嘘が家族を救うのか、2つの世界に生きる男の物語を。

AX
伊坂幸太郎

妻がニヤニヤしながら読んでいたので、何かと思って読んでみたら、鏡を見ているかのような描写に苦笑い。
恐妻家が主役の物語。
命や家族とはどんな存在なのか、そんな重苦しいテーマを、この作家らしい論文のような明確さと、映像のような奥行きで伝えようとしている、とても温かな作品でした。
読後の爽やかで、ほっこりした感じは、ぜひ多くの読み手さんに感じてほしいと、強く思います。
共感の強さの原因は、作り手も読み手も「父親」であるから、かも知れません。

もし、自分がこの物語の主人公だったなら、と考えながら小説を読むのは、多くの人が経験していることかも知れません。それが、追体験であり、対話でもあります。

きっと生きていたら、いちいち面倒くさい日常もあったり、逆に毎日つまらなくて、何か起こらないかなぁなんて期待しているかも知れません。

この作者の物語の中では思いもよらないことが起こり、また、一瞬で忘れ去られていくような展開もあります。つまり、とても身近で非現実的という独特の魅力があるように感じています。

この物語の主人公は人間味が豊かに描かれている反面で、陰の仕事が殺し屋、そんな風に生きていくのは、想像を絶する苦しみの連続でしょう。

自分が決して殺されることがない、と保証されていればまだいいのですが、生きるか死ぬかと言う世界があり、かたや、のほほんと暮らす世界がある、こんなに不安定な人生は送りたくありません。

殺し屋の父が、家族のために隠していた真実・・息子がその真実に近づくとき、命が狙われて・・息が詰まるような終盤と、その結末につながる温かな愛情が、単なるミステリーを越えた家族のドラマを見ているようでした。

作品のなかで、とあるエピソードとして、魚肉ソーセージが登場します。この場面を読んだ時、思わず「なるほどなぁ」と妙に納得してしまった自分がいます。

この作品を読んで以来、我が家には魚肉ソーセージが常備されるようになりました。もちろん、僕一人で夜な夜な食べるもの・・ではなくて、家族で食べるために常備しています。

魚肉ソーセージ(我が家では、ギョニソーと呼んでいます)をこっそり食べる感じのサムネイル。殺し屋が出てくるとは思えない画ですね(笑)infocus📷さん、ありがとうございます!


#推薦図書 #伊坂幸太郎 #AX #恐妻家 #ネタバレ #魚肉ソーセージ

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