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友情の香り

僕には、高校の吹奏楽部で一緒になって以来、大学の学部もサークルも同じだった友人がいます。

性格はあまりにも違っていて、追従型の僕は、独立系の彼に憧れを抱いていたのかも知れません。彼の思考はシンプルで、洞察が鋭く的確でした。

テストが終わるたびに筆記用具を捨て、卒業アルバムをその場で手放した時には驚かされました。言行一致、とはこのことかと思う反面、不安にならないのかと心配すらしてしまったものです。

あるとき、彼から「もつ(私のあだ名)は、視点が違う」と言われました。自分の意見に何となく自信が持てなかったこともあって、それは僕にとって褒め言葉でした。

他人と違うこと、彼がそれを「いいね」と言ってくれることは、自信につながりました。

大学生のとき、サークルで一緒になると(僕があとからサークルに入った)、いつも知らぬ間に、僕は笑わされ、怒らされていました。彼が僕をイジり、それに反論するというパターンは、傍からはどう見えたのでしょうか。僕は、不思議と「嫌だったなぁ」と思うことがなかったので、楽しかったのだと思います。

社会人になると、学生の頃とは全く違う時間を過ごし、趣味のバンドの練習で一緒になるくらい。さらに数年経つと、家庭を持ち、引っ越しを経てますます疎遠になりました。

でも、彼とは年に1度くらいのペースで会い、家族の話しをしています。住まいも遠くなく、簡単に会えそうだったけれど、そのくらいが僕にも彼にも心地よいタイミングでした。

実は、ここまでが前置き(長い!)。
回想はこのくらいにして、最近のことを。

段々と暑い季節になってきました。

暑いとかくのが汗、汗をかくと気になるのが匂い。書いているだけでも、何だか鼻の奥にあの感じがよみがえってくるようです。でも、秋に向かっていくと自然と忘れてしまうものでもあります。

それなりに年齢も重ねたこともあり、身だしなみにも不安を感じつつ、新しいことを体験したいという思いもあって「香水」を着けてみようかという気になりました。

以前、「俺の壁」という記事を書きましたが、僕にはいくつかの"壁"があって、香水もそのひとつ。挑戦と言っても過言ではない、冒険でした。

すぐに、彼に相談しました。確か、ふだんから着けていた記憶があったのと、それが間違っていたとしても、何か教えてくれるだろうという期待があったのです。

返ってきたメッセージは、とても真摯な長文でした。

香りのイメージに、具体的な場所やエピソードを交えて紹介してくれたのです。彼のおすすめは、カルバン・クライン、アバクロンビー〜、シャネルという3種類でした。良かった、辛うじて知ってた(笑)

「文才ないから、お店で試してね」という言葉を受け、店でいくつか試してみました。本当にいろんな香りがあって、迷いましたが、結局「あー、これだ」と思い出した香りに。

彼が使っているのと同じものを買って帰りました。

初めての香水、緊張しつつも着けてみると、彼のメッセージにもあったように「気分がアガる」感じがします。香水なんて、と思っていた自分から少し踏み出してみる、ということも彼がいなければ出来なかったかも知れません。

いつでも連絡を取るとか、すぐに会って飲む、そんな関係は仲良しの典型です。でも、僕はそういうスピード感が苦手だったりします。

こうして書いてみると、僕は彼を頼りにしているのだと気がつきました。でも、真似するほどの度胸はなくて、ちょっと迷ったら聞いてみる。そんな感じの距離感で、ほんのりとしたつながりを続けること、それが彼との友情の表現なのだと思うのです。

K、ありがとう!


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