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当時者だから

男性による育休取得が話題になっています。

少なくとも僕にはそんな印象があります。そういう風潮は特異であって、本来は・・云々、という人は放っておいて、喜ばしい変化だと思います。育児ができる出来ないではなく「する」ために、仕事から離れて、子どものみならず家族、そして親族、さらには地域とも向き合える、とっても貴重な制度だと思っています。

以前、育休中のことを書いた投稿はこちら。(二人目のとき)

初めての育休は4年前でした。

初めての子どもを迎えて、子育てを夫婦で一緒にしたいと考えていたのです。それは、立ち会い出産の経験があまりにも強烈で、そして同時に父としての無力さのようなものを感じたからです。仕事の忙しさも考慮して、2ヶ月の取得を考えていました。妻に相談し、さらにお互いの両親にも伝えていきました。

そのさなか、事件は起きました。

「考え直したほうがいい」

本当にショックでした。確かに、うがった視点もあったのは否めませんが、あまりにも強く反対され驚きました。

それは、僕の母親から発せられた言葉だったのです。

母親は、まだ制度が十分整っていない当時、仕事を休むことで冷遇されたのだと言っていました。男である僕が育休を取ったら、家庭崩壊してしまうかも知れないとまで言うほど強硬でした。制度があるからって使わなくてもいい、お互いの両親が近くに住んでいるんだから、母(妻)ひとりで大丈夫だ。

母親の説得が続きました。

さらりと報告し、賛成してもらうつもりだった僕は絶句し、しばらくしてから、落胆した自分に気が付きました。

母親の経験は聴いて良かったと思う反面、僕が生まれたのは30年以上も"昔"でした。制度も変わっていること、職場でも取得が勧められていること、将来の職場でのことは分からないけれど、個人の経験として一生に一度しか出来ないかも知れない、そんなことを切々と訴えました。

何度も話をする中で、僕たち家族の問題だから、と折れてくれました。そうと決まれば切り替えて元気になった母親は、実家に遊びに行くたびに、娘の着る服を作っておいてくれたり、成長を喜んでくれました。

男性が育休を取るときに、その妻があまり好意的ではないことがある、といった調査結果もあるようです。収入のこと、家事負担のこと、変化への不安は守るべき存在が増えてこその思いでもあります。なにより不安なのは、育休中の男性がどれだけ家庭に貢献できるのか。

育休をめぐる、性別と世代の違いを感じる体験でした。

※タイトルの「当時者」は筆者による造語です。正しい表記は「当事者」です。念のため。

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