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トラでビータのゴトシ

大学生の頃、ビッグバンドのサークルに所属していました。ビッグバンド、と聞いてすぐに演奏形態が想像できる人は少ないかも知れません。しかも、わかる人は年齢がかなり上の方が多い気がするのです。

有名なバンドは、カウント・ベイシーや、グレン・ミラーでして。もっと多くの人が知っているのを狙うならば、映画スイング・ガールズのそれです。

グレンミラーを日本で有名にしたのは、「イン・ザ・ムード」という曲で、エビ料理のレストランのCMで使われていました。

昭和のことだけれど、「エビ食べた〜い!」のあとに始まる曲、きっと一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

そんなビッグバンドは、大学にだいたいひとつあったりします。ほかに、ジャズ研究会や、軽音部のような立て付けでサークルが存在しているが、学生ビックバンドを略して、“がくバン”といっていました。

よく、芸能界の業界用語が面白おかしく使われていますが、学バン界でも同じような言葉遣いがあります。一説によれば、それが発祥とも。

コーヒー→ヒーコー
無料→ダーター
ボーイ→イーボ
黒人、白人→ロイクー、ロイシー
女→ナオン

など、学校によっても違う言葉があったりします。

さらに、数字を音名アルファベットに当てはめる習わしがあり、1年生はツェー年、2年生はデー年。40,000円はF万円となります。アルファベットの読みはドイツ語音名です。

飲み会などで、「E年はFで、C年はダーター」と言った言葉が使われていました。

そんな学バン、色々な場面で共演したり、コンテストがあったりするので、大学が別でもそれなりに仲良くなれました。学校を超えて友好関係があるということは、男女の仲も繋がるケースはままありました。

そして、仲良くなるとたまに他大学のバンドに、エキストラとして呼ばれることがあります。授業や就活など、メンバーが出られないとき、他の大学からメンバーを呼ぶのです。

学バンは、ある程度定番の曲があり、テイストが似ているバンドで、楽器とパートが同じなら、意外と対応できるのです。

そんなエキストラのことを「トラ」と略します。前置きが、長くなりすぎたのですが、これは僕がトラに行った時の話です。

毎週月曜日、旅の記録を書いています。

トラとして声がかかったのは、K大学のLというバンドでした。僕の学力では到底入学できなかったものの、メンバーと少しずつ仲良くなっていたし、実はトラのトラとして参加をしていました。

練習のため三田の校舎に入った時は、なんとも嬉しくなったのを覚えています。普段とは違う緊張感の中、見ず知らずの先輩たちに睨まれながら、練習に加わり、時間を過ごしました。あれは怖かった(笑)。トラ・・少なからず一定の技術レベルを求められていたわけです・・。

そのトラは、パーティでのBGM演奏でした。LとVが印象的な鞄のハイブランドの日本法人が主催したパーティで、東京と大阪の帝国ホテルが会場でした。

さすがK大学。

会場には、あの独特のマークのバックが飾られ、トランクがクリスマスツリーのように積み上げられていたのです。

東京のパーティの2日後、大阪に移動し演奏。大阪では、終演後はホテルを用意してくれて演者は一晩泊まって帰りました。しかもトラは、すこしお小遣いがもらえました。まるでプロプレイヤーのように。

大阪では、夜の商店街で見つけた、えびせんにたこ焼きを挟んで食べるやつ(ご存じの方、なんていうのか教えてください)がとても美味しかった。

新幹線代も、ホテル代もダーターで、G千円のお小遣いをもらった、ビータのゴトシ。演奏は緊張したけれど、普段知らないすごい世界でした。

お客さん側も、酔っ払って大声で騒ぐような人たちはおらず、落ち着いたパーティー・・圧倒されました。

ちなみに、K大学を”オーケー”大学と学バン用語で呼ぶことはありませんでした。念のため(笑)。普段は、バンド名で呼び合うのが学バン界の通例でした。

なんでも、後日メンバーにはそのブランドのストラップが配られたそうで。

さすがK大学。

きっと、トラのお礼として貰ったお小遣いでは買えない金額のものだったと思うと、K大生ともっと仲良くしとくんだった・・・と後悔したのでした(笑)


演奏を聞いて、カッケー!ってテンションが上がった時に叫ぶのは、「イエイッ!」でした。まさにこのサムネイルを見たときに、心の中でイエイ!と叫んでいました。infocusさん、ありがとうございました!

#旅 #学生時代 #サークル #他大学 #豪華 #思い出


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