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著作権、それ美味しいの? #創作大賞感想

法律、と聞くと少し身構えてしまうのが多くの人の思いだろう。ただ、例えば大学で法学部だった人にとってみると、法律はちょっと身近な存在かも知れない。法律に書いてあることは膨大だけれど、法律に決められていることの方が安全だと分かっているからである。

中でも、法学部ならみんな触れているであろう法律は、憲法だろう。おそらく小学生からでも、社会科目の中に憲法を学ぶタイミングがある。日本の法律の最高法規として、ほかの法律を統べている(便宜上この表現にしているが、厳密には異なる)もので、法律を勉強し始める者に、分かりやすいものだからだ。

法律のことだ…!と少し嬉しいような怖いような気持ちで読み進めて行ったのは、みくまゆたんさんの「それは、パクリではありません!」だ。

まず、展開がスムーズで分かりやすい。また登場人物も絞られていて、頭の中でするすると映像化できるような、読み易さがあった。物語の内容も、昨今社会的に問題になったことを思わせるようなテーマでもあり、ここnoteで創作している人であれば、起こりうる問題なのかもと思って、ほどよい緊張感を抱きつつ読める。

一方で、主人公がたった一人で考えて行動していることを丁寧に描写しているからか、よくある話だね、という印象がなかった。

とはいえ主人公の、ちょっとした甘さのようなものは、すごく多くの人が持っている感覚なのかもと思う。読み手の性別によっても変わってくるかもしれないし、読み手の知識不足もあるかもだけれど。


法学部では、著作権法についてはほとんど学ばない。もちろん、僕が選択しなかったからでもあるけれど、法律と呼ばれるものは膨大で、法学部とはいえ、その一部分しか学んでこないのだ。

僕は、音楽や読書など、著作権に関わっているであろう活動をしてきたけれど、実際に法律が何を規制していて、具体の内容を知ってるかといえばほとんど分かっていない。ただ、それは“読み手”のような消費者としての視点だ。

作り手ともなれば、その法律の存在は、大きな助けになるだろう。今後、AIでの動画化なども発達してくれば、さまざまな問題が起こりそうな気がしている。ただ楽しんでいただけでは済まされないような、自分の善悪の判断を試されているような。


読書の醍醐味である追体験をすることで、自分の身を守る知識が得られるような作品だった。応援しつつ、自分も気をつける、続きが気になる、そんな心地よいスピード感で読めた。

ネットとリアル、さらには、何を書くかではなく誰が書くかという、創作している人にとってジレンマというか、命題のようなものを突きつけられる。

しかし、主人公のように、自分の作品に思い入れと愛情があればこそ、思いがけずそばにいてくれたファンの存在にも勇気づけられて、戦いに挑んでいけるのではないかと思った。


#創作大賞感想 #法律 #著作権 #パクリ


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