遠くからあなたへ 短編小説

 ニルは工場でいつもの人形を創る。天辺が丸くて腕が二個、足が二個あり胴体がある。ニル達、人類とは違う形をしている。横からオプターがやってきて「頑張ってんじゃん」とニルを茶化す。ニルは「三個上手くいかなかった」と暗い顔で言う。オプターは気にすんなと彼を励まし、「十個創って一個上手くいけば上出来だ」とニルと自分にも暗示をかけるように言った。ニルは失敗した三個の人形をもう一度みた。そうすると、「運動神経悪い」「頭が悪い」「コミュニケーション能力低い」と書かれたシールが貼られていた。きっと他の部の人がこの人形達を見て判断したんだろうけ僕にはこの字が読めない。だけど、良いニュアンスではないのは雰囲気で分かった。「この人形達も売れるといいな」とニルは他人ごとではあるけど憐憫よりも優しさの気持ちで言った。オプターは「売れるよ、いらない人形は無い」と励ますように言い放ち自分の仕事場へと戻って行った。

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