海外学位留学(Ph.D.)Q&Aコーナー~欧州編
先日、日本での出身大学の留学団体さんからのご紹介で、
海外博士進学を考えている学生さんの個別相談に参加させていただきました。
その時聞いていただいたことが、他の方の参考になるかもしれないと思い、備忘録的に残しておきたいと思います。
国によって、分野によって、異なることも多々あると思いますが、
ジェネラルな部分は参考にしていただける方も多いのではと思います。
(肌感だと、アメリカ、イギリス、欧州ではそれぞれ事情が全く違いそうなので「欧州編」と題させていただきました。)
では早速!!
Q何をすれば海外大学院に進学できるのか?
フランスの博士課程に海外から進学する場合、基本的に、
①研究室が「テーマとお金」を持っていてPhD学生を公募しているものに応募するパターンか、
②奨学金(または研究費?)3年分持っているので、ここで研究させてくださいとアタックするパターンがあります。
②のように「お金」をもっていて断られるパターンは少ないです。ラボからすれば、予算を出さずに一人研究員を雇えるという形だからです。
3年分フルの奨学金持ってれば「あなたは女王」だと言われました。
※ドクタースクール(大学院)で行われるコンクールに参加するルートもあるのですが、マスター(修士)をフランスでやっていないと厳しそうです。
私は最終的に、①1つ、②1つ内定をいただき、②ルートの方を選びました。
Q大学院の探し方は?
Q先生の探し方は?
現ラボ(日本で)の教授のコネが1番大事です。
大っぴらにはおっしゃらないかもしれませんが、積極的に海外進学したい旨を早くから相談していれば、知り合いにこんなラボがあるけどどうかなど提案してくれる先生が多いと思います。
あとはインターネットが頼りです。
興味深い論文から検索してもいいですし、
国や都市、場所が絞れているなら大学や研究所のサイトから見てみるといいと思います。
(東京などのように大きくないヨーロッパの一都市なら、数えるくらいしか大学や自分の分野に沿う研究所はないと思います。)
https://www.laas.fr/public/en/job-opportunities
研究所単位、または研究室単位などで、例えば以上のようなリクルートサイトがあります。
とっても綺麗で見やすいとこと見にくいとこ、ちゃんと更新してないとこの差は激しいです。
ただ、行きたい研究室が見つかったならば、そういったサイトにリクルート情報がなくても、がっかりしないでください。
CVとモチベーションレター添付で教授にメールしアタックする(所属ラボの教授の知り合い等なら教授から送ってもらうのも良い)という手もあります。
本気のメールならば、無下にしてくる教授は多くありません。
必要ならビデオ会議でもなんでもしたいと、少々前のめり文章で構いません。
とりあえず行動してみたら、直接博士OKとはならずとも何かポジティブな返しをしてくれるかもしれません。
話聞くよ、知り合いのこのラボは博士募集してるみたいよ、などなど。
一生懸命な姿勢の学生には共感してくれます。
Q応募までの動き方は?
どうしても海外でということなら、前述の公募パターンと奨学金パターン両立で行くべきだと思います。
公募パターンはどうしても競争率高いです。(金額も高め設定が多い気がします。)
Q奨学金の探し方は?
フランスならまずフランス政府奨学金は候補に入るでしょう。
ただし、最長1.5年なのでもう半分は他の奨学金を探さねばならない。
フランスならキャンパスフランスに検索サイトがありますし、他の国でも似たような機関があるでしょう。
あとJASSOも検索サイトを持っています。そのほか有名どころは船井財団、中島記念国際、村井奨学金(敬称略)などでしょうか。
Q博士課程の先生を選ぶ基準は?
相性一択。
いくら有名でスゴイ先生でも、自分の仕事は自分がやるので、自分の仕事がしやすい環境を選ぶのがいいと思います。
Q博士課程は、海外でどのような扱いなのか?
国やラボによるがラボには、時々入ってくるインターン生を除けば学生はいないので、博士課程の学生が一番若造になります。(だからと言って雑用押し付けられるとかはありませんよ、、)
わからないことは素直に聞きやすいしいいですね。
とはいえ、給料(奨学金)もらって働いているという感覚はあります。
Qポスドクとの差異は?(ポスドクで海外も考えているので)
気づいたことはあまりないです。
実績や今までの研究内容よりもパッションとか将来性で採ってくれる最後が博士課程の学生ということは言えるかもしれません。
ポスドクからは、どんな研究をしてきたのかどんな実績を持っているのか、が重要視されると思います。
どこのタイミングで海外行くかは、海外に出る理由とかその後の展望によると思います。
Qプロジェクトにアサインされる形なのか?
Q研究費を自分で取ってきて、博士課程を行なうことは可能か?
それぞれ前述のパターン①②にあたりますね。
Q先生と事前に何をすり合わせておくと、自分の研究がやりやすいか?
自分のバックグラウンドの話はしました。
何をしてきたのか、何ができて何ができないのか。
修士までの研究でそこまで成果出しているのなら(*後述)、修士、博士、その後とある程度ストーリーが描けたほうが良いだろうとのことで博士の研究内容をそういう方針で擦り合わせられました。
Q給料が支払われるシステムと聞いたが、何に対して支払われるのか?
100%研究活動に対して。私の場合、TAやRAなども義務付けられていないです。
公募型でも奨学金型でも変わりません。
Qフランスに選んだ理由は?
フランス語を話せること、PhD studentの地位が日本よりは良いこと、英米の有名大学、有名研究室へのこだわりがなかったことなど。
これに関しては以前記事にしています。詳しくは、そちらでお願いします。
Qヨーロッパの大学院のシステム(何が卒業要件となっているか?)
日本と大きな違いはないです。博論とディフェンス、筆頭著者での投稿論文、が基本。
システム上の違いは、最低月1200ユーロ?貰ってないと、博士を始めることすらできないことくらいかなと思います。
私の場合、授業は100時間/3年です。ほぼないようなも…
Q実際の生活として、大きく違うところは?(日本と比べて)
日本、東京で実家くらし→フランスの大きくない都市の近郊で1人(2人)くらしという変化なので、国の変化だけを比べられないことは前提ですが。
・行政手続き遅い。
・休み取りやすいです。有給休暇を全員、年5週間以上必ず取ります。教授だろうが研究員だろうが事務の人だろうが、そして博士課程の学生だろうが全員です。
・週1まとめ買いスタイルを取る人が多いと感じました。
フランスと言えば朝市(マルシェ)で新鮮なお野菜買って、、のようなこと想像しますが、大抵は、スーパーより大きいハイパーマーケット(Hypermarché)に週一回通い、どっさりお買い物していますよ。カルフール、アシャン、ルクレールなど。
・都心から車で10〜20分でガチ田舎に出られる。
また、精神的な面として。
フランスの文化的に、
ギャップイヤー取る、
1年休学で旅行やインターンする、
マスターふたつ取る、
少し働いてから学業に戻る、
など、それぞれが自分の状況や将来の展望によって色んな選択するのが普通なので少なくとも人の選択を「足の裏の米粒」とか言う人はいないという点で精神的に楽です。
ただ自分もよく考えて選択する分、人のキャリアも気になるみたいで、雑談の中で深いところまで聞かれます。尋問みたいに聞いてくる人も。チョットウザイ…
いかがでしたでしょうか。
海外進学を目指す志高い皆様の疑問が一つでも解消されていたら幸いです☺︎
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