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すき間を狙うのも戦略なのよ−なぜおフランスでPhD?

なんで生物学でフランス留学なの?
ってよく聞かれます。

生物学専攻が、わざわざフランス語を習得して留学しに行く国というイメージがないらしいです。

※フランス語全く話せず留学される方もいます、特に理系や博士課程は。

確かに、おフランスといえば愛と情熱、アート、美食、バカンスの国というイメージが強いでしょうか。

はい、当たっていますねぇ。
何にでも文句を言うのが好きというのも加えといて。


この質問、いつも困ってしまうのです。
私は特にフランス留学に焦点絞ってきたわけでもないからです。笑


ここでは、私がフランスに学位留学をしようと決断するに至った経緯を書き連ねてみることにします。

なぜPhDを取ろうと思ったのか 

まず留学フランス云々の前に、PhDが欲しいと思った理由です。
一番は下心が大きいです。これはマジ。(誇ることではない)

「この世のディプロムの中で最高位(の一つ)なんてカッコよくね?」
「飛行機乗るときDr.って表記されるのカッコよくね?笑 」

あとは、
・修士で少しだけアカデミアでの研究に触れたのがとても楽しくて、もう少しアカデミアの世界にいたかった。
・非常に狭い分野だけど、PhDはその分野の金メダルだよというどこかの誰かの言葉が印象に残っていた。
・PhDを持っていれば、多くの場合「相手にしてもらえる」。口下手な私のお守り。

など細かい理由はいくつかあります。

要は、面白い研究ができてPhDさえ取らせてくれるのであればどこにでも行きますという状態。

そしてここからは消去法で、PhD取得の戦略を練りました。

有名大学の有名研究室がいい?ー No.

わたしにとっては重要なことではありませんでした。
 
有名大学、有名研究室を出ていたところで、PhDを取ったその後は自分次第だなと思うからです。
(学部や修士に、学歴フィルタがない!とは言えないけれど)博士では、研究内容であり実績の方が重要だし、そういう見方をしてくれる人も多いのではという楽観的な考えです。領域によると思いますが。

研究室や大学、ましてや国でフィルターをかけなくても、自分が興味を持って良い環境で研究できるところが選べればいい。

有名大学、有名研究室に入るための競争に(そもそも勝てる気もしないし)労力を割かなくてもいいのではと思いました。

日本に残りたい?ー No.

何より譲れなかったのは、
学生であっても「働く社会人」として社会的地位が保証される状態でいたかったです。
年齢も若くはないし、物理的にも精神的にも、親から独立したかった。

その時点で残念ながら、日本での学位取得の道はほとんど消えました。
就職して社会人博士のチャンスがないことはないですが、そのチャンスが自分に回ってくる可能性は低すぎると思いました。

英語圏へのこだわりがある?ー No.

論文を読む、ディスカッションをする、研究発表をする、といった最低限の英語はある程度できるものの、私は特に英語に自信がある方ではありません。こだわる理由はありませんでした。

また運良くフランス語を勉強する機会を得たことで(現地インターンシップ)生活していく上で必要なフランス語会話はできるし、全く馴染みのない国よりは、と思いフランスとフランス語圏を中心にラボを探しました。
研究ではいっぱい悩みたいけれど、生活のあれこれで悩み困らされることは最低限にしたいなと。

たまたま良いラボとご縁があり、一年働かせていただけることになりました。本当にありがたいことです。(博士課程もこちらでお世話になります。)

私、フランス学位留学します

決断したのは、

フランスの博士課程は学費が低い(数万円。フランス政府奨学金(BGF)に通ればそれも免除)
日本人に人気の英米の大学よりもハードルが低い

ことが大きいです。
生活費さえ奨学金で手に入れれば良いということ。(それだけでも大変だったけれど)
これなら自分にもいける、ビクビク過ごさずともよく、集中できるかなと。

そして、フランスでは博士課程の学生は、学生ビザではなく研究者ビザで受け入れることから形的にも社会人。立派なキャリアの第一歩という自覚も得られます。



結果的に、なんともマイナーな選択をすることになりました。

他の学生はあまり取らない選択、あまりしなさそうなこと。でも自分の目的は達成できる。
そういった「隙間」を狙うのは、ずるくないです。戦略だと思います。

思えば、中学も苦手な体育の試験がなくなったあとだったから受かったし、大学もAO入試一年目で知名度が低すぎたから受かったなあ。
ペンネーム「すきま産業」ちゃんにする?笑


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