傷病手当金と健康保険組合
障害者手帳についての過去のnoteをTwitterにあげたところ、こんなコメントを頂きました。
社会保障の1つである傷病手当金。
正しい知識を広めたいと思ったので、今回は傷病手当金について整理していきます。
傷病手当金とは
社会保障制度の1つに傷病手当金があります。
傷病手当金とは、
被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった
日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、支給される。(厚生労働省HP)
簡単に言うと、
働いている時以外の病気やけがで仕事を3日以上続けて休み、
それ以降も仕事が出来ない時に、4日目から最長1年半お金が支給される制度。
傷病手当金でよく勘違いされているのは、上記にもあるように傷病手当金の支給元。
会社がお給料代わりに払っている訳ではありません。
傷病手当金は健康組合から支給されています。
では、そもそも健康保険組合の原資は何かということも整理します。
健康保険組合の原資
傷病手当金はそれぞれが加入している健康保険組合から出ています。
会社が払っている訳ではありません。
どの健康保険組合に属するかは、ご自身の【保険証】をご確認ください。
例えば、
全国協会保険組合(協会けんぽ)だったり、
「関東ITソフトウェア健康組合」のようないくつかの企業が集まった総合型の健康組合だったり、
「YKK健康保険組合」といった企業の単独型の健康組合だったり、
「地方職員共済組合」と公務員の健康保険組合だったりします。
それぞれの組合が傷病手当金を支給するための原資は、
健康組合に払われる健康保険料です。
同じ治療をしたときに医療費として病院で払う分は同じですが、
健康保険料は所属する団体や自治体によって異なります。
企業型の健康組合の中で、健康保険料の個人負担が高い会社は日本マクドナルドの5.35%。
逆に低い会社は、日本郵船の1.5%。
協会けんぽでは、個人負担が高い県は佐賀県の5.365%、
低い県は新潟県で4.79%。
これほど料率が異なるのは、その母集団が使っている医療費が異なるからです。
所属する健康保険組合内で、傷病手当金や医療費など健康保険を使う人が多ければ多いほど健康保険料はあがる傾向にあります。
特に高齢者の医療費は大きく影響を与えています。
傷病手当金の支給元となる健康保険組合の原資は健康保険料です。
傷病手当金を受け取ることになると、企業型であれば間接的に保険料に影響を与える可能性はありますが、直接会社の利益から払われている訳ではありません。
次は、傷病手当金を受け取ることになる原因を見ていきます。
傷病手当金を受け取ることになる原因の傷病
こちらは厚生労働省のデータです。
傷病手当金を受け取ることになる原因の傷病は、
55歳以下は「精神および行動の障害」が1位であることが読み取れます。
精神および行動の障害とは、
統合失調症や気分障害、アルコール依存症などのことです。
発達障害を原因としたうつ病などもここに入ります。
もし精神疾患により仕事が困難になってもすぐに退職せずに、復帰に向けて傷病手当金を受け取るという選択肢を1つ持っておいてもいいと思います。
傷病手当金の金額
傷病手当金で1日に受け取れる金額は、基本的には以下で求められます。
直近12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額
ざっくり言うと、今貰っている額面の66%ぐらいです。
また、所属する健康組合によっては付加給付と言って、傷病手当金に独自に上乗せされる制度もあります。
ご自身の健康組合をネットで検索されると、付加給付があるかないか分かります!一度検索してみてください。
まとめ
傷病手当金、ざっくりとした理解になっていることも多いと思ったので、今回まとめました。
傷病手当金は、相互扶助の仕組みである健康保険料を払っている方が受けられる社会保障の権利の1つです。
傷病手当金の支給を受けることが目的になってはいけませんが、困った時は大いに使って欲しい制度の1つです。
正しい社会保障の理解を深められるように今後も発信していきます!!
私自身、ADHDの当事者です。
発達障害の方専門のFPとして活動しています。
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