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三大疾病研究②がんとは?

三大疾病研究の第二弾です。

がんについて、自分が知りたかったこと、詳しく掘り下げたかったことを改めて調べて書きました。

第一弾はこちらからどうぞ!

がんとは?

そもそもがんとは何でしょうか。

がんとは、悪性腫瘍のことです。

身体の中では日々細胞分裂が行われています。
細胞が身体の中でどのぐらい増殖するかは通常コントロールされています。
このコントロールを逃れ、必要な量以上に細胞が増殖してその細胞がかたまりになります。
このかたまりが腫瘍と呼ばれ、悪性腫瘍と良性腫瘍に分かれます。

悪性腫瘍の特徴~増殖、浸潤・転移、悪質液~

悪性腫瘍と良性腫瘍を分けるものとして、悪性腫瘍における3つの特徴があります。

自立性増殖、浸潤と転移、悪質液です。

自立性増殖とは、細胞が止まることなく自律的に増殖していくこと。

浸潤とは、がん細胞が周囲の組織に入り込み腫瘍が拡大していくこと。

転移とは、浸潤したがん細胞が血液やリンパ系に入って身体の他の部分に移りそこで新しい腫瘍を作ること。

悪質液とは、腫瘍が身体に与える影響によって全身性の慢性炎症のために、栄養不良となり、身体が衰弱していくことです。

これらの特徴により、死に至ることのある病のために「悪性」と言われています。

癌と肉腫とがんの違い

がんを表現する際に、「がん」と平仮名で書く場合と「癌」と漢字で書く場合があります。
これらは厳密に言うと、使い方が異なります。
また、肉腫との違いもあるので解説していきます。

上皮細胞から発生するがんのことを「癌」と書きます。
上皮細胞とは、体の表面や呼吸器や消化器の細胞のことです。
具体的には、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、舌がん、肺がんなどです。

一方で、上皮細胞以外のがんのことを「肉腫」と呼びます。
筋肉や骨は非上皮細胞ですので、その部位のがんの例として骨肉腫や、繊維肉腫などがあります。

この他に、血液をつくる器官である骨髄で発生するがんもあります。
「造血器悪性腫瘍」と呼ばれます。
造血器悪性腫瘍には、白血病や悪性リンパ腫が含まれます。

「がん」と平仮名で書く場合は、肉腫や白血病を含んだもののことを差します。
「癌」と漢字で書く場合は、上皮細胞由来のがんのことを指します。

上皮内がん、上皮内新生物とは何か?

生命保険の世界では、上皮内がん、上皮内新生物、という言葉が使われます。

がんの特徴の1つに「浸潤と転移」をあげましたが、上皮内がんとは浸潤する前のがんのことです。浸潤していないので、この段階で切除できると術後が良好であることが多いと言われています。

がんは臨床、悪性腫瘍は病理学、悪性新生物は統計学で使われることが多いそうですが、基本的にはどれも同じ意味です。

なぜ、がんは発生する?

がんは、遺伝子の変異により起こる病気であることが分かっています。

生物は遺伝子に書かれてある情報を元に細胞を作ります。
その際、遺伝子になんらかの原因で傷ができることがきっかけで、がん細胞のような異常な細胞が作られます。
正常に働くなった細胞が積み重なることで、がん細胞になっていきます。
遺伝子の傷は、突然変異で起こることもあれば、ウイルスや有害物質などの外からの刺激で生じることもあります。

ただ、がん遺伝子だけでは、がんは発生しません。

がんを抑制する遺伝子(がん抑制遺伝子)があることも分かっています。
がん遺伝子が発生するのと併せて、がん抑制遺伝子が働かなくなっていることが原因でがんが増殖していきます。

がんは、1つのがん遺伝子から引き起こされるわけではなく、様々な遺伝子の変異が積み重なった結果です。
同じ部位のがんだったとしても、変異している遺伝子が異なります。

がんの悪性度、転移のしやすさなども個人個人によって異なります。

このことからがん治療は、個別性が高いものとなっています。
知っている人のがん治療が簡単に済んだから、お金がかからなかったからと言って、それが誰にでも当てはまるとは限らないのです。

がんの三大治療①手術

手術、放射線、抗がん剤ががんの三大治療と言われています。

早期のがんほど手術や放射線が選択されやすくなっています。

余談ですが、がんの治療方針は医師が単独で決めるものではなく、医師同士でカンファレンスを開き、決定していきます。
「あの先生はがんを切りたがる」というのは幻想で、そういった勝手な治療ができない仕組みになっています。

その中でも手術は、全てのがんを取り切れる場合に選択されるものとなっています。

以前は、開腹術や開胸術といった身体を切り開く手術が多かったのですが、現在は腹腔鏡手術、内視鏡手術のような身体を切り開かずに行う手術が増えています。
身体へのダメージが少ないことから選択されています。

1999年には40日だった入院日数も、2017年時点では19日(胃がんの場合)になっています。

また最近ではロボットが内視鏡手術をサポートする手術も出てきています。
手術支援ロボットの「ダヴィンチ」の名称を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
以前はダビンチを用いた手術の多くが先進医療に該当していましたが、現在ではダビンチを用いた幅広いがんの手術を保険適用の範囲で受けることができるようになりました。(一部は今も先進医療)

がんの三大治療②放射線治療

放射線治療では、放射線や電子線、陽子線を細胞に当ててがんを死滅させる治療です。
がん細胞の方が、健康な細胞よりもダメージを受けやすいため、健康な細胞がダメージを受けないギリギリの線量で行う治療です。

手術はがんを物理的に取り除くことができる場合に有効ですが、放射線治療は全身のどこでも治療することが可能です。

放射線治療は、体の外から放射線を当てる外部照射と内部照射があります。

外部照射では「週に5日放射線治療を行い、2日休む」というサイクルを数週間繰り返します。
最近では「体幹部定位放射線治療」といって、多方向から一気に高い線量の放射線をあてることで、治療期間が5日で済む治療も出てきています。

放射線治療は、平日毎日の通院が必要となることがあるため、時短勤務になったり休憩できる場所を会社に作ってもらったりとこれまでと同様の働き方が出来ないことも考えられます。(↓参考資料)

実際に、がんになった方の約40%が収入が下がっているというデータもあります。

このあたりのことを知っていると「社会保障があるので保険はいらない」と個人的には簡単には言えなくなります。↓(参考資料)

重粒子線や陽子線を使う先進医療については、シリーズ最終日の保険の動向について書く際に詳しく書きます。

がんの三大治療③抗がん剤治療

抗がん剤は、進行が早いがんや広範囲に広がったがんや、手術後に取り切れなかったがんを抑えるために使います。

抗がん剤だけで治癒を目指すがんは、血液系のがん(白血病や悪性リンパ腫など)と一部のがんだけで、基本的には手術や放射線治療と併用します。

抗がん剤は大きく2つに分けられます。
がんに細胞障害を与える「細胞障害性抗がん剤」と、がん増殖に関与する特定の分子だけを標的とする「分子標的治療薬」に分けられます。

分子標的薬が狙うのは、がん増殖に関するタンパク質や酵素分子です。
細胞障害性抗がん剤よりも副作用が小さく(※ない訳ではありません)、長期投与をすることができるのも特徴です。

がんの新たな治療法①免疫療法

元々細胞には「免疫」の仕組みがあります。

自分の身体の中にある悪いものを取り除く仕組みです。

がんは免疫から自らを守る仕組みがあることが研究によってわかってきました。

がん細胞は、自らを攻撃してくる免疫を無力化する力があります。
がんは、免疫系に対して「敵じゃないですよー」という分子を出していて、それにより免疫系からの攻撃を受けないようにしているのです。
「敵じゃないですよー」の分子のことを「免疫チェックポイント分子」と言います。

がんの出す「敵じゃないですよー」分子を抑えることで、元々の免疫に力を発揮してもらうための薬のことを「免疫チェックポイント阻害薬」と言い、非常に新しい治療の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬として有名な薬が「オプジーボ」です。
価格が高いことでも有名で、100㎎で約15万円します。

こういった薬が保険適用になっているがんもありますが、効果が証明されておらず自由診療での投薬になる場合もあります。

自由診療になると、薬価代も全額自費になるため注意が必要です。

ここで注意なのは、免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療と「免疫細胞療法」は全く別物であることです。

以前は、免疫細胞療法は先進医療になっていましたが、効果がほとんど認められず、ほとんどは先進医療から外れています。

本当に効果が期待できるものか、そうでないものかを見分けることは非常に大切です。

がんの新たな治療法②がんゲノム医療

がん組織や血液を用いて、遺伝子を調べて効果的な薬を調べて治療にあたる方法です。

現在は、標準治療が終了となった固形がんの患者に限り遺伝子パネル検査(ゲノム治療のため検査)は保険適用となっています。
それ以外の遺伝子パネル検査は自費になります。

順天堂大学で遺伝子パネル検査を自費で受ける場合には、検査代で615,780円かかる検査もあります。

なお遺伝子パネル検査の結果、候補となる薬が見つかる可能性は36%、そのうち国内で承認された薬が使えるのは9%です。
残りの27%は適応外薬や国内未承認の薬になるため、薬代も自由診療となり全額自費負担です。

運よく製薬会社の治験や臨床試験に参加できたりすると、自費での出費を抑えることは不可能ではありません。

最後に

がんはそもそもどのようなものであるかを体系的に学ぶ機会がなかったので、今回は4冊の本と3つの保険会社が出している資料、いくつかの厚生労働省や国立がんセンターなどのHPを参考にまとめてみました。

自分ががんについて思い出したいときに、このnoteを読めば知りたいことを思い出せる内容になるように、と書きました。
書き終える時には、ずっとがんのことを考えていたのでばっちり頭に入っていましたが。

がんの概要や医学の進歩についても知ることができ、非常に勉強になりました。

読んでみて「勉強になったよ」ということであれば、スキやシェアを頂けると嬉しいです。

文章作成にあたって、本の文章コピペは一切していませんので、ご留意ください!


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