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産後15kg太った私がおしゃれ系ジムでひと暴れした話
「授乳してると勝手に痩せるよ」
どこかの誰かが無責任に言ったこの言葉を鵜呑みにして1年と少し。
一説によると、母乳100ml与えることで60~70kcal消費すると。1日8回授乳すれば、実に560kcalを消費するという。ちなみに500kcalを運動量に換算するとジョギング80分間に相当するんだという。
この説を真に受けて、自分を甘やかしに甘やかした結果、妊娠で15kg太って、出産直後6kg減ったものの、そこから1か月でなぜか5kg太った中年女性が爆誕しました。
授乳しても全然痩せねー。1日中家で赤子の監視してるから全然運動しねー。
ある日の早朝、赤子に授乳し終わってうとうととベッドで寝ていたら、スマホのシャッター音が「カシャ」って聞こえてきました。
私は思いました。きっと夫が"母と子が寄り添って眠る姿"を微笑ましく写真に収めたのだろうと。
温かい気持ちで二度寝してから数時間後、夫がニヤニヤしながら私にスマホの画像を見せてこう言うじゃないですか。
「よっ、肝っ玉母ちゃん!」
"肝っ玉母ちゃん"ってすごいワードセンスだなって思いながら、スマホ画面に写った我が身を見て絶句しましたよね。
ジャイアンのママやん!!!
圧倒的貫禄と全身から溢れ出る包容力。腕っぷしが強そう。かわいいママ…ではなく男の子5人くらい産んでそうな、完全なる肝っ玉母ちゃんがそこにいました。
本当の自分の姿から目を背けて1年。直視した等身大の自分が理想とかけ離れすぎてて泣けてきました。
もう産褥体操とかストレッチとか、生ぬるいこと言ってられません。こうなったらジムだ!ジムにいって自分をバリバリ追い込もう!
こうしてジム通いを決意。とりあえずの目標はマイナス10kg。
そういえば近所に以前から気になっていたジムがあったような。その「FEELCYCLE」は、暗闇のなかクラブのような爆音とライトでテンションを上げながら、エアロバイクを漕ぎ、ダンベルを使った筋トレができるのです。
さっそく体験レッスンを予約。ただいまキャンペーン中で、なんと3300円で1か月間通い放題なんだとか。通常の1回あたりの値段より安く1か月間も通えちゃうわけです。毎日通えば1か月で目標達成できるのでは?
体験レッスンを予約した時点で目標の半分くらいを達成した気になった私は、その夜夕飯をがっつり食べた後白玉クリームあんみつときな粉餅を平らげました。授乳中ってどうにもお腹が空く。
さて、体験レッスン当日。まだ健康的なアラサーだった頃に愛用していたヴィクトリアズシークレットのスポーツブラとランニング用スパッツを引っ張り出してきて着用してみたところ、引退直後の北斗晶さんかな?という雰囲気を醸していました。エアロバイクじゃなくて木刀振り回してそう。
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。
FEELCYCLEはおしゃれ系(主観です)ジムなので足を踏み入れるのに緊張します。ダサい中年はお断りと門前払いされたらどうしよう?とビクビクしていたものの、入口で優しそうなお姉さんが迎え入れてくれました。
最初に説明を受けていざレッスンへ。自宅からスポブラとスパッツを着用してきた私は気合い十分です。バイクのセッティングも完了。あとは照明が消えるのを待つばかり…上下ともパツンパツンのウェアからところどころハミ肉してるので、一刻も早く照明消えろ!という心境…。
「OK,let's go!」
インストラクターのお姉さんの掛け声で照明が落ち、爆音とライトの点滅が開始しました。
「Position 3 now!!」
え、なに?なに? 見渡すとみんな一斉に立ち漕ぎしており、慌てて私も立ち漕ぎしてみる……というかチャリの立ち漕ぎって何年ぶり??数秒漕いだだけで息が上がってふらふらしている自分がいました。
「push-up!push-up!」
次はバイクを漕ぎながら腕立て……って、なんで指示が全部英語なの?全然わかんないよーー(涙)
見よう見まねで座ったり立ったりしていると、ものの数分で汗だくに。息が完全に上がってしまいました。体力とリズム感には自信があったのですが正直まったくついていけません。
階段登ってる荒地の魔女か?ってくらいヘロヘロになりながらえっちらおっちらとペダルを漕ぎバイクにへばりつく私。読んだことないけど「弱虫ペダル」を思い出して気力を振り絞ります。
ふと、なぜか胸元がスースーしていることに気がつきました。
Tシャツの上から確認すると、なんと前開きタイプのスポーツブラのファスナーがほぼ全開になってるではありませんか。ちょっとしたValenti状態です。
タイトなジーンズにねじ込む私という戦うボディ
ヴィクトリアズシークレットのキュートなスポブラにねじ込んだ私というバストは決壊寸前です。ファスナーは一番下の噛み合わせ部分まで下がっていて、あと少しで噛み合わせ部分も外れてしまいそう…首の皮一枚つながっている状況とは、まさにこのこと。
さりげなくファスナーを押し上げようと試みますが、ペダルを全力で漕ぎながらなので手元が狂い、なかなかうまくできません。不審な動きをして注目が集まってインストラクターに怪しまれたらどうしよう…という焦りも相まって集中できないのです。
さらに、速乾性の真っ白なTシャツは汗で肌にピッタピタに張り付いてブラックライトに照らされて時折発光するというオマケ付き。
レッスンはまだ半分以上残っています。
選択肢1.諦めて何食わぬ顔でレッスンを継続する(スポブラが崩壊してCKBが露わになるリスクを抱える)
選択肢2.レッスンを中断してファスナー修復に全集中する(確実に注目をあびる)
答えは1です。バレずにやり過ごせるなら越したことはありません。上半身の動きを最小限にしながら全力で気配を消してやり過ごします。早く終われ45分。
そして、地獄のような45分間がやっと終わり、ダクダクと流した汗の大半は冷や汗だっただろうと確信。「時間がある人はストレッチをしていきましょうー」とインストラクターさんがアナウンスするも、ストレッチなんてしたら胸が弾け飛ぶので却下です。
そそくさとスタジオを出ると受付のお姉さんに呼び止められました。今後の月額プランがうんたらと仰っているようです。そんな話より今上半身が大変なことに…と事情を説明しようにも、どう説明してもマヌケなので言葉が出ません。
胸元を見るとギリギリ噛み合わせ部分はつながっている状態をキープしているので、そのまま何食わぬ顔で説明を受けることにしました。
ふんふんとお姉さんの話を聞きながら、「フフフ、真面目な顔したこの私のTシャツの下があんなことになってるなんて想像できまい」と、変態の気持ちが少し理解できたような気がしました。
そんなんで、なんの話かと言うと、ダイエット開始したよって話でした。