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「このシュートが決まったら俺と付き合ってくれ」の亜種Verで告白したときの話

やぁ。わたらいももすけです。
思い立ってしまったので今日からブログを書こうと思う。

SNSが台頭する現代にブログなんてものは廃れていく一方なのかもしれないけれど、まぁなんだろう。
後で見返した時「うわ!俺昔こんな恥ずかしいこと書いてるよ笑える!」って楽しく笑えたらそれでいい。


今日はちょっと昔話をしようと思う。
高校3年の春くらいの話。

僕には好きな子がいた。
ツイッターで何気なくやり取りしてた女の子だった。
よくよく聞くとその人は僕の通っている高校の1つ上の先輩だったらしい。

そんなミラクル起きるか?とも思ったんだけど
僕が住んでたのは九州のど田舎。

「隣人は皆家族」くらいのテンションの田舎だから
SNSも「知り合いカモ?」だとか「おすすめユーザー」に乗ってくるのは大概友人の友人くらいだ。

ただでさえ隣人は皆家族なのにSNSまで隣人ばかり出現したのではたまったもんではない。もっと広い世界で生きたい。


とまぁ、確率的に奇跡でもなんでもないのだが、当時の僕はそれを奇跡だ!!と喜び恋に落ちた。
いやこんな風に書くとまるで、「ツイッターで知り合った女の子が同じ高校の先輩だったから恋に落ちた」とあまりにも突拍子もない恋の落ち方をしているようにも見えるが断じてそんなことはない。

多分もっと恋に落ちるまでの複雑なプロセスが絡み合っていたに違いないのだが、正直あまり覚えていないので、端的にこういうことにしておこうと思う。


恋に落ちた僕はそのA子ちゃんと次第に親交を深めていった。
幾度となくデートを重ねるうちに次第に互いに惹かれあっていった。

「2人で会うと落ち着こうね」
「そうだね」

なんて甘いやり取りを交わした気がする。多分気のせいだけど。


ド田舎では18超えたら免許がない死活問題なのでみんなこぞって免許を取得する。A子ちゃんももちろん免許を持っていた。

僕らは良くドライブに行った。
初めてのドライブではA子ちゃんの親父のハイエースを勝手に借りたりもした。免許取って初めてのドライブにハイエースを選ぶあたりただ者ではないA子ちゃん。

深夜のハイエースでドライブはまるでバンドマンが遠い遠征に向かうかのような気分にさせてくれた。
Gt.Voわたらい「今日、ここにいる皆が、なにか。何か、何かをつかんで...うっ...つかんで帰ってくれたら...いいなって...思います」
Gt.Vo「最後の曲です。”FORE○×△◆~”」(照明の光がパーーーン!)

これを書いていて思ったんだけど、バンドマンはMCの後に勢いで曲名を言うときはもっとはっきり言った方がいい。大概のやつらがなんて言ってるか分からない。見てるこちらとしては「え?」「曲名なんて?え?え?何?」となってしまいちっとも演奏に集中できない。

話が大分逸れたがそんなこんなで僕のA子は関西のライブハウスに向かってはいない。

うん。いい加減切ろうか。悪乗りを延々に引き延ばすのは売れないバンドマンと芸人だけで十分だ。


とまぁそんなこんなで次第にA子ちゃんと親しくなって言った僕は次のデートで告白しようと決めたのだ。

次のデートは地元でも有名な「丘」
詳細に地名を出すと特定されるのでいい感じの「丘」とだけ言っておこう。

海が見渡せるいい感じの「丘」だ。


デートの当日、二人で丘に向かった。丘につくなりなぜかバドミントンを始めた。海が見渡せるいい感じの丘でなぜかバドミントンを始めたのだ。

いやまず海をみろよ。と突っ込みたくもなるが当時の僕はなぜかバドミントンこそ至上。告白にはもってこいのスポーツだと思っていたんだろう。

ところがどっこい思ったより潮風が強かった。
彼女は追い風。僕は向かい風。
カッコいいところを見せてやろうと思ったはいいが、彼女のスマッシュは強烈だった。
彼女のスマッシュは潮風に乗って全く減速することなく僕の腹部へと何度も何度も突き刺さった。
さっきまでの可愛らしいA子ちゃんの姿はどこにもない。
このままではヤられる・・・。

僕はバドミントンをやめようと言った。

このままでは想いを告げる前に殺されてしまう。
気を取り直して僕は


「立ち幅跳びをしよう」

と提案した。


「え?」
彼女はぽかんと口を開いている。

僕は再び口を開いた

「立ち幅跳びだよ!」

うん。

もし当時にタイムスリップできるのなら自分をぶん殴ってやりたい。
なぜおまえは当然のごとく「立ち幅跳びやろうよ!」的な空気にもっていこうとしたのか。「バドミントンやろうよ!」でも「鬼ごっこやろうよ!」でもない。

「立ち幅跳びやろうよ!」
なぜ当時の僕はこれが最良の道だと信じて疑わなかったのか。

A子は戸惑い気味に
「走り幅跳びじゃなくて・・・?」と聞き返してきた。
いやそうじゃねえよ。お前もぶっ壊れてるのかよ。

戸惑っているA子を見ながら僕はこう言った。






僕「立ち幅跳びでこの線超えられたら、俺と付き合ってください」






は・・・?

と思っただろう。僕もそう思う。

なぜそんな言葉が出たのか今でも不思議でならない。でも当時の僕は本気で行けると思っていた。

「このシュート決めたら、付き合ってくれよ」
「お前を必ず甲子園に連れて行く」

これらスポーツラブコメの王道決め台詞に続く次の王道は

「立ち幅跳びでこの線超えられたら、俺と付き合ってください」

だと信じて疑わなかった。


僕に「黒歴史」があるとすればこの日のこの出来事は
間違いなく「黒歴史」に分類されると思う。

どこでどう間違ったら「立ち幅跳び」で行けると思ったのか。
いや決して立ち幅跳びをバカにしているわけではない。

ただ、この当時のぼくは立ち幅跳びのプロでもなんでもないくせに、なぜこんなにも立ち幅跳びを過信し熱量を注いでいたのか分からない。

しかし暴走機関車わたらいは止まることなく、地面に線を描きはじめ「ここから飛ぶね。」と言った。

いや飛ぶなよ。馬鹿かよ。


ちなみに線までの距離は恐らく2m80cm位はあったと思う。
地味に跳躍力も持ち合わせてんじゃねえよ。


戸惑うA子ちゃんの顔を「期待のまなざし」と勘違いした暴走機関車はお構いなしに準備を始め、颯爽と飛ぶ準備を整えた。


僕「じゃあ、飛ぶね!!!!」
A子「え?あ、うん」





いっせいのせえええええええい
ほおおおおおおおおおおおうっ!じゃーーーーーんぷ!!!!





着地点はちょうどラインを超えたところにあった。ちゃんとかかとだ。つま先じゃない。かかとが付いた位置がラインを超えていたのだ。

オリンピック選手が金メダルとをとった気持ちが分かった気がする。
いや何一つわかってないのだけど。

僕は周囲の冷たい視線を浴びながらもお構いなしに喜んでいた「よっしゃぁ!!!!」と声を荒げ、こぶしを強く握りしめ喜べる限りの喜びを表現した。


僕は「はぁhぁ」と息をあらげながらA子ちゃんに迫り、思いを告げた。
頼むから息位整えてからいけよ。と言いたい。


僕「立ち幅跳びでこの線を超える。夢が叶ったから僕と付き合ってください」


夢ってなんだよ。どうしたんだよ。

立ち幅跳びへ止めどない熱量はどこからやってくるんだよ。

誰か止めろよ。止めてくれよ。



A子ちゃんはひとしきり笑ったあと、お腹を抱えながら僕にこう言った。

「ごめんね。付き合ったりとかそういうのは無いかな。」


そりゃそうだよな。うん。そうだよ。そりゃ。

A子ちゃんとの距離なんか何も縮まっていなかったのだろう。立ち幅跳びで一気に0距離に!なんて思惑は大きく期待を外れ丘の向こうに見えるいい感じの海に沈んでいった。


多分この日のことを一生忘れることはない。
どうかこのブログの読者が僕と同じ過ちを犯さないことを祈る。



立ち幅跳びに過信するな。

以上わたらいももすけでした。


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