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半径1kmで探検した記録。

実家の裏山に登ってきた。

数年前の大雨で、所々大木がひっくり返っている山の中。通常の山道を、時々それてみるのが自己流の山の楽しみ方。普通の道ではないところを歩くときは、普通に道を歩くときよりも足元や五感をフルに使う。ここに足をのせても大丈夫かな。変な草や痛いとげとか生えてないかな。ここを通ったら、どこに向かうかな。どこにたどり着くかな。裏山は、20代後半になっても探検する場所にことかかないみたいだった。少しほっとした。そして、まだまだほんの少しのリスクを冒そうとする冒険心も変わらずあるみたい。

そんな山道を少しずれたりしながら、(でも大まかにはずれずに)道を進んでいくと、道が二股に分かれていた。予定では、左の道を行く予定だ。左に行くと、幼い頃よく家族とピクニックしに行った見晴台がある。右の道は、どこに続いているのか知らない。そもそも、こんな道あったっけ。なんとなく、どこに続くかわからない右の道に惹かれた。

「よし、右の道に行ってみよう。もしも迷いそうだったら、引き返せばいいし、少しだけ向かってみよう。」

恐る恐る、道を行く。はじめての道。そして、やっぱり通常のコースではないみたいで、明らかに道ではあるけれど、人があまり通っている形跡がなく草や枯れ葉で少し歩きにくい。曲がり角を曲がると、道は所々に坂や段差がありつつも、まっすぐ山の下の方へ伸びていた。先は見えない。どこに向かうんだろう。私の足で進んでいるのに、目的地を自問自答しているって変な感じだ。少し坂になっているところは、新鮮な枯れ葉が広がっていて、滑りやすい。登山用のでもなく普通のスニーカーで来てしまったので、気をつけないとどこまでも滑り落ちてしまいそう。段差と坂道とを2個ずつようやっと超えると、道は左に急カーブしていた。まだ行こうかどうしようか、いやまだ行ってみよう。

今度はちょっと草や枝が道を覆うように所々伸びている。いよいよ、もうここは引き返した方がいいのかな。それでも、まだ少し、あの先をみてから。まだいける。

枝や道にかかった倒木の下を潜り抜けると、今度は道が途切れていた。道の真ん中に直径30cmくらいの木で、先が二股に分かれた木が横たわるように倒れていて、道は少し崩壊しているみたいだった。土砂崩れの後だろうか。いよいよ行けないかもしれないと、考えこむ。戻ろうか。だけど、ふとその道の先をみると、その先には道が見えた。崩壊しているところをおりて、先の道へとよじ登る。1mほどの土の壁みたいになっていて、近くの太めの草木を足場に使った。登った先は、やっぱり道だった。そして、その道を曲がると、そこには民家があった。山を降りられた。私も妹もほっとして、そして冒険を無事に潜り抜けたことに少しの達成感と自信を得て、思わず2人で顔を見合わせ、笑い合った。

家から半径1kmの冒険談。





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