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南海トラフ巨大地震発生の法則~本州南岸の大地震は黒潮大蛇行が左右する

■はじめに

最悪で19万9千人の犠牲者が出て、31兆円以上の経済被害が予想される南海トラフ巨大地震。
この震源域でM8~M9クラスの地震の発生確率は30年以内に70~80%とされている。

前回1946年の昭和南海地震が起きてから76年
国土交通省によると、次の地震までの間隔を88.2年と予測している。
だが、その算定はあくまでも統計的確率論によるものであって、実際はもっと早く起きるかもしれないし、もっと遅く起きる可能性もある。
あまり、その数字にこだわってもいけない。

南海トラフは3つの部分に分けられ、それぞれ「東海地震」「東南海地震」「南海地震」と呼ばれる。

【図】南海トラフの3つのエリア

このうち、どこが揺れるのか、一部なのか、連続して来るのか、あるいは3つ同時に揺れるのか?
それも、起きてみないとわからないとされる。

このように、この巨大地震が明日起きるのか、来年起きるのかは誰もわからない。
だが、過去十数回の南海トラフ巨大地震の発生傾向を解析すれば、その起こり癖や発生時期の傾向は見えてくる。

※私のnote記事の多くではコメントで質問などを受け付けていますが、遠慮されるのか書き込みが少ないです。
このノートでも、南海トラフ巨大地震や黒潮のことなど、常時質問を受け付けています。

■「黒潮」に着目

そのカギの一つが、本州南岸を流れる「黒潮」だ。
この黒潮が南へ大きく蛇行する現象を「黒潮大蛇行」と呼ぶ。

【図】黒潮大蛇行

黒潮大蛇行の発生中は、南海トラフ周辺で大規模な地震は発生が抑制される。

そのことを私がWebニュースメディアで発表したのが2016年のことだった。
この当時は、黒潮と南海トラフ地震の関係など、メディアで報道されることは殆どなかった。
だが、過去の研究を調べて見ると、このことを発見したのは私が初めてではなく、50年ほど前に当時の気象庁・岡田正実氏という先駆者が既に研究されていた。

だが私も独自に研究を重ね、今回の調査結果により、黒潮大蛇行の発生中には本州南岸の大蛇行の渦の中では大規模な地震がほとんど起きていないことが判明した。

これは、黒潮流路と本州南岸の大地震の発生時期の相関性について、ほぼ決定的な根拠となり得るものだろうと考えている。

■発端

2016年頃、過去の南海トラフ巨大地震の発生時期を調べていて、気づいたことがあった。
それは、過去に起きた南海トラフ巨大地震のうち、発生日付がわかっている16件は、すべて7月から翌2月に発生していたことだ。

私は過去に25年間ほどSE(ソフトウエアエンジニア)としてソフトウエア設計開発をしてきて、データ解析には自身がある。
そのため、地震前兆研究家と名乗るようになった後も、コンピュータによるデータ処理の経験を役立てるような形で研究を続けてきた。

そのため、大地震の発生時期に季節の偏りがあるかどうかなどの調査は何度も行ってきた。
だが、このような季節の偏りは、他の大地震では見られない。

この傾向には、何かしら要因があるはずだ。

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