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【研究】日本付近の深さ500km以上の深発地震の後に大地震が起きる傾向

■はじめに

このノートでは、過去1900年以降に日本付近で起きた深さ500km以上の深発地震から1ヵ月以内に日本付近で大地震(M6.5以上)が起きた例を示す。
扱うデータとしては、以下のものを用いる。

◎日本付近の深さ500km以上の深発地震(1900/01/01~2021/09/30)
 ※今後公開後も必要に応じて更新していく予定。
 地震データ:米USGS(1900年~)、気象庁データベース(1919年~)

■深発地震について

まず、「深発地震」の定義などから解説する。
以下は、Wikipedia「深発地震」より。

◎日本付近で発生する幾つかの深発地震は、浅発地震の前兆となっている可能性を指摘する研究者も少数ながら存在する。

・関東地方:
太平洋プレートの沈み込みにより発生する飛騨地方のM5以上の稍深発地震と関東地方の40kmから70kmの深さで発生するM5.5以上の地震には、有意な相関が認められる。
※宇津徳治:関東地方の地震と飛騨地方の稍深発地震の相関について
『地震 第2輯』 1975年 28巻 3号 p.303-311,
※吉田明夫:関東地方の地震と飛騨地方の稍深発地震の相関再考
地学雑誌 1994年 103巻 3号 p.201-206,

・十勝沖地震
1952年と2003年の地震ではM8クラスの本震の発生に先立って、プレートのもぐり込み先を震源とする深発地震が増加していた。

※茂木清夫:2003年十勝沖地震および1952年十勝沖地震に先行した深発地震活動(続報)
『地震 第2輯』 2005年 57巻 3号 p.275-278, doi:10.4294/zisin1948.57.3_275

■百瀬が発見した法則性

以前に私は、日本で発生する「異常震域」を伴う有感地震と、その1ヵ月以内くらいに発生する大規模な地震との相関関係を発見し、自分のブログとTOCANA(2020/12/09)で発表した。

それとは別に、異常震域を伴わない深発地震でも、深さ500km以上の地震では、多くの場合に直後に国内で大地震が続いていたことに気づいていた。
そそして、2021/05/30に小笠原諸島西方沖で深さ546kmの深発地震(M5.4、最大震度1)が発生したのを機に、同様の深発地震の後で大地震が続いた例を調べてみた。

すると、深さ500km以上の深発地震とM7.0以上の大地震の発生時期について、相関性があることを発見した。

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