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kintoneヘルプの現場から

「Excelの本を10冊読むといいですよ」と明確な口調で言われて、「Webじゃだめなんですか・・・?」と返した私。
今週、kintoneの計算式のヘルプをPMにレビューしてもらう時間(約1時間半)がありました。そこでの印象的だった言葉です。

Webではだめ?という私の問いには、「Webでもいいですけど、検索から探すWebでは、体系的に説明しているページを見つけるのは難しい」というような返答でした。

ヘルプサイトの記事は、普段はライターチーム内のレビューを済ませたあと、仕様的に不安な内容はkintone QAのチェックを通します。通常はそれで公開しています。だけど、「機能説明で、注意する点が多いもの」「注目される機能で、説明が難しいと思われるもの」などは、例外的に開発PM(プロダクトマネージャー)にレビューをお願いすることがあります。割合でいうと、2ヶ月に1~3回くらい。頻繁に更新されるヘルプページの中で、PMレビューをしてもらうのは1割程度です。サイボウズのほかの製品と比べても、特別多いわけではなく、PMがヘルプレビューをする機会は、ほか製品でもけっこうあります。

主に文章や構成を重点的にチェックするライターと、仕様観点でチェックしてくれるQAとはまた違って、PMは「どうユーザーに伝えるか」という視点で徹底的に見てくれます。職種によって、こんなにも視点や見える世界が違うのか、と思う。PM全般がそうというわけじゃなくて、今kintoneの機能を作っているPMが、ドキュメントを大事にする人であり、誰かに何かを伝える力に長けているんですよね。

今週のヘルプPMレビューから、約1年前のIF関数リリース時のレビューを思い出しました。このnoteの画像は、2020年1月のkintone Cafeで「kintoneヘルプはなぜわかりやすくなってきたのか」という発表をさせてもらったときに、そのIF関数リリース時のことをお話したときのスライド。壮絶なレビューなんて書いていたのか(笑)(レビューしてくれたご本人にもちゃんと”こう書くね”っていう許可は得ているんだけど、、でもごめんなさい^^;)。
いやあ、今回もかなりの熱量だった...。
機能を作った人は、それがどう伝えられるのか気になるんだろうなと理解しつつ、指摘が難しくて、改善点も多くて、私はZoom越しに文字通り頭を抱えました。自分の力不足を痛感。

具体的に「ここは”列”という言葉じゃなくて”フィールド”で」などの指摘もしてくれますが、概念的なお話も多いのがPMレビューの特長ですね。

計算式カテゴリーのページを上からざっと読んでいったPMが、今回は車に例えて話してくれました(毎回いろんなたとえ話をしてくれて、それがちょっと楽しみでもある)。
”免許取って車に乗るとき、車の構造全部理解してから乗らないですよね?ギアやクラッチのこと全部理解して運転していないですよね?(もっと詳しくギアやクラッチのこと話してくれたけど、私がそこに疎いため記憶できず)。それと一緒で、計算式使うときに、型や仕組みを全部読ませてから使ってもらう必要なんてないんですよ。
基本から応用に向けて設計をするんです。困りごとを想定して読み直す。計算式を使って何かをしたいを想像したとき、たとえば「ドロップダウンの選択に応じて、消費税の計算をしたい」と思ったとき、どうぐぐるかな?どう読み進めていくかな?って考えないと。”

先週のレビューでは、「病院の診察室」の例が出てきました。
具合悪いとき、病気の専門的な話からはじまりますか?まずは「これが原因です、こうやったら直ります」ですよね?エラーの対処も同じですよ?

いつだったか、のっぺりしたページを書いてしまったときは「でた。これ、ヘルプでよくある『空は青いです』『鳥は空を飛んでいます』みたいな文章ですね。事実だけ書いてどうするんですか」と言われたりしました。

ぐうの音もでません。

そんなたとえ話の中、明確に「Excelの本を10冊読んでみるといいですよ」と言われたのは印象に残りました。
今日、本屋さんの「Excel」の棚に行ったら、その書籍量に驚きました。社会人なりたてくらいの時は、Excelの本を買って読んだ記憶もあるんだけど、もう10年以上(つまりサイボウズに入ってから)MS Officeの書籍からは離れていた気がします。Excelってこんなにメジャーなのか・・と妙なところに感動。kintoneもこうなりたいな!
あらゆるExcel本を手に取って、主に関数、数式の章をぱらぱらとかたっぱしから見てみました。

まず「この関数を使うと、◎◎ができます」あるいは「◎◎をするには、この関数を使います」というできることベースの出だしからほとんど始まります。これは最近ヘルプでも意識しているところ。
そして数式の書式。引数の話。次に具体的な使い方。
そういう構成はヘルプでも取り入れているのですが、Excel本は、最初のちょっとした説明や、数式や引数の説明の流れが理解しやすいなあと感心しました。基本的な説明から「こんなケースでは」という例を交えて、無理なく体系的に学べるようになっている。

そうか、だから「本を読みなさい」と言ったのか。そうか、納得。。
こういう構造を理解するなら、書籍だな。

本によって微妙に書き方も異なるので、「10冊」という量も納得でした。
たくさん手に取った中で、テキスト量が多めだけど読みやすく、見出しと本文の構成とフォントが好みだった「たった1日で即戦力になるExcelの教科書」を購入しました。
さて、これをどう活かせるかな。
1年前、IF関数を書くときに計算式ヘルプを全面的に改定したけれど、その時に読むべきだったな!と痛感!
でも今気づけてよかった。

今書いているヘルプはできる限り修正して、来週もレビューしてもらうことにしました(OKでなかった)。とほほ...。

kintoneヘルプの制作現場では、そんな熱量の高いやり取りが繰り広げられています、というお話。


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